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姉淫魔が鬱になっちゃった話  作者: みぎゃー


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10/19

#10.魔の頂点、サタン

リリスはすっかり鬱から回復し、外界へ飛び立ちリリムを探しに行った。

そして爽快な気持ちで自宅を出た後に見たのは、街の惨状。


方々で男達がやる気を失いただボーっとしており、

女達はその様子を見ながら泣いている。

明らかに異常な光景だった。


「一体、私が出産に苦しんでいる間に何が起こっていたの!?

 リリムは、妹は無事なのかしら!」


リリスは急いでリリムを探した。

直感が冴え渡っていた彼女は、すぐに妹の姿を見つける事が出来た。


「リリム!やっと見つけた。アレ、リリ…ム?」


そこには、壊れてしまった人間界の様子を見て高笑う妹の姿があった。


「最高のショーよねぇ、アッハッハ!!

 ・・・ん、アレ?お姉ちゃん?どうしたのかしら、出産は?」


高笑いから一転、心配そうな表情を浮かべるリリム。


「無事に終わったわよ。

 私の鬱の根本原因を持ち去って消えて行ったわ。

 そんなことより、この街の状態は一体何なの?

 コレ全部、あなたがやったの?」


リリムは洗いざらい、全ての事をリリスに伝えた。


「そんな…。他の淫魔達も全滅する事になるなんて…。

 リリム、アンタ自分がやってる事の重大さがわかってるの?」


「だって、だってお姉ちゃんが!!

 あんな風に惨めにただ孕まされて、見ていられなかった。

 もう、人間なんて滅ぶしかないじゃない。

 このまま置いていても、また悲劇を生み出すだけだよ!!」


「リリム…だけどもう取り返しは付かないのね…。

 私達淫魔は人間のオスの精液と言うエサがあって成り立つ存在。

 であれば、人間のオスが全滅するのならばもう存在出来ない。

 このまま滅びるのを待つしか無いと言うのね…。

 まぁ、だけどそれが貴女の選択なのなら…。」


「…私だって、本当はこんな事望んでないよ。

 だけど、もうお姉ちゃんのあんな姿を見たくない。

 それに、他の淫魔達の誰にだって、あんな事は起こって欲しく無い。

 ねぇ、私のやった事は間違いだったの?」


そこへ、ルシファーが現れた。


「リリス、リリム。久しく顔を出せずにすまなかったな。

 コレは…一体どういう状況だ?それにリリス、鬱は治ったのか?」


二人はルシファーに事の経緯を説明した。


「なるほど…リリムのやり方は非常に崩壊的だが、わからなくも無い。

 しかしここまで来ると私の力も超えている…。

 いや、正確には不可能では無いが、コレを再生すればそれはもう、

 新たな星を作り出すのと同義、これまでの長い星の歴史を消してしまう。

 受け入れるしか無いのか、この崩壊を…。」


しかしそこへ、地の底から響く低く耳を壊す程の声が聞こえた。


(貴様らには手に負えんだろう。しかし、吾輩ならどうだ?)


「こ、この声は…サタン様!?」


ルシファーが耳を塞ぎながら呟く。


(人間達のリビドーが一か所に集まっておるな。レヴィアタンか。

 大方、そこの淫魔が依頼したのであろう。何、罪には問わぬ。

 面白い事をしたものだ。しかし、崩壊は今では無い。

 このリビドーを再び人間達に与え配ろうぞ。

 しかしリビドーは生きる為の活力だ。

 淫魔達はコレまでその作用を理解せずにただ搾精していた。

 本来、お前達淫魔は鬱状態にあるのだ。そしてそれを緩和する為、

 定期的に搾精により気分を安定させる必要があるのだ。」


それに、リリムが反論した。


「そんな!だけど姉は、鬱になった時、頑張って搾精していました。

 なのに何故、鬱になってしまったのですか!

 リビドーが気分の安定ややる気に必要なら、姉は、姉は、

 誰よりも一番元気でやる気が漲っていたはずです!」


(…搾取した精液は、本当に自分の為に使えていたか?)


リリスはドキリと胸を鳴らした。彼女には心当たりがあったのだ。


「お、仰ります通り、…その、あの…淫魔族上層部への上納の為、

 搾精した精液は全て納めておりました。自身の為には使わず、

 ただひたすらに上への為だけに搾精しておりました…。」


「お姉ちゃん...だから鬱になっちゃったんだね…。

 私の分まで上納を頑張ってくれて…本当にごめん。」


(しかし、これまではリビドーの配分バランスが間違っていたようだな。

 本来、淫魔が鬱状態である事は決して良いものでは無い。

 今後は淫魔にも十分なリビドーを配し、十分なやる気を持って

 人間の男達を誘惑して搾精するが良い。

 代わりに人間の男達のリビドーは少し抑えさせてもらうぞ。

 何、攻撃性が減って狩り易くなるだけだ。

 人間如きが魔物の淫魔達を襲う事など、本来あってはならぬ事だ。)


これまでのあらゆる淫魔達の苦労、人間側の異常な優位性。

それらは世界のバグであったのだ。サタンはこれを機に、

そうしたパラメータ調整を行った。淫魔達がもっと伸び伸びと

人間の男達を弄び遅い、楽しく人間狩りが出来るように。

そうして人間達は魔物を恐れるように。謙虚であるように。


ルシファーは自らの上位存在であるサタンの采配に、

ただただ感嘆であった。これほどまでに上手く世界を改変するとは。


(それと、ルシファーよ。お前は魔物達の統領として存在しているが。

 少々目が足りぬのでは無いか?お前にも妻が必要かも知れぬな。

 どれ、そこにおる淫魔はどうだ?優秀そうでは無いか。)


言われて、ルシファーは魔物の王にも関わらず照れてしまう。


「え、リ、リリスの事で御座いますか?

 いえ、私にはそんな、勿体ないほどの良い女で御座います…」


(そちらでは無い。妹の方だ。これだけの大惨事を引き起こす力、

 その秘めた能力はもしかすると、吾輩を超えるかも知れぬ。)


「え、リ、リリムと!?

 そんな、しかし私にはリリスと言う思い人が…」


(お前、NTR(寝取られ)好きか?)


突然、俗っぽい単語を用いて聞いて来るサタン。

完全にルシファーをからかって遊んでいるようだった。


「え、ね、寝取られなど、そのような性癖は私には御座いません!」


(だったらお前、一度人間に寄って妊娠させられたリリスより、

 新品で処女のリリムの方が良いんじゃねーの?)


いつの間にかサタンはこの場に実体の姿を現していた。

それは魔族の首長たる威厳と言うよりは、荒れ果てたヒゲ、

黒々として逞しいヒゲ、手入れされていない汚らしいヒゲ、

コレラを兼ね備えた、有体に言ってそこら辺にいそうなオッサン、

まるで浮浪者寸前のような汚らしい身なりをしたオッサンだった。


「さ、サタン様!?お姿を現しになってもよろしいのですか!?」


(ん?あぁ、別に減るモンじゃねーし、ってか腹減ったし。

 こんな姿を見せるとよぉー、お前らが失望しちゃうかなって。

 やっぱアイドルは、神秘性が必要っしょ?

 ってかリリス、吾輩におにぎり作ってくれや。)


その一言で一同は察する。

「あ、このおっさん絶対にリリスを娶る気だ。人にはアレコレ言って、

 結局自分は寝取られ(NTR)属性の性癖持ちなんだ」と。


「え、えぇ、わかりましたわ…。

 えぇと…私、もしかしてサタン様の妻になるんですの?」


(お、察しが良いな、さすがはリリスちゃん。

 淫魔界隈の上層部?そんなモンならなくて良いべ。

 魔物の頂点の妻になれば、そんなのよりずっと偉いべ。)


こうしてリリスは、目指していた淫魔界隈の上層部など霞むほど、

全ての魔物達の頂点の立場に立つ事となった。

サタンは鼻をほじりながら、取れた大きな鼻くそを食べた。


「さて、と。それでは私達は人間界に向かい、淫魔達にこの事を伝え、

 人間界を再び正常な場所へと作り変えるか。」


早くこの場から逃れたくなったルシファーは、言い訳を述べた。


「そ、そうですね。これからよろしくお願いしますね、旦那様♬」


リリムも必要以上にイチャラブぶりを見せつけて、

早くこの場から逃げようと画策する。


(おっけー、ほんじゃまたね、バイバ~イ。

 さ、リリス。寝取られた経験を事細かに教えてくれないか?)


こうしてリリスはサタンの寝取られ性癖のズリネタになるような、

人間に侵された時の屈辱的なエピソードをサタンに語らされた。

彼女は果たして、再び鬱を再発してしまわないだろうか…聊か心配である。

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