急展開
数日後。僕は初めての任務を開始した。それはグラジオラスの捜索だ。
これはもともと任務として取り上げられてなかったが教官達の協力と了承を得て捜査を開始した。
フェルン達は新たなアージスに続く道の開拓をしている。これは数年掛かるとされており各チームのエース達が率先して開拓を進めている。
僕は数日はここに帰ってこれない。最後の新鮮な空気を存分に味わったあと待ち合わせ場所に向かう。
もともと一人で行く予定だったがフェルン達やメークから猛反対され三人の仲間が駆けつけてくれるらしい。
「やぁ!久しぶり。私はドールフェ」
「アメジーと申す。捜査依頼に協力していただき感謝する」
アスピリクターの二人であった。僕は少し会釈をしてもう一人の到着を待つ。すると風のように一人の男性が現れた。
「すまない遅れてしまった。我が名はディリーべだ」
ドールフェはもう!と頬を膨らませている。
「もう!遅いよ。あ、この人がイマジナーさん」
ディリーべはその瞬間目を輝かせてこちらにすり寄ってくる。
「君が……イマジナー?!君が数年に一度の逸材!ああ!満たされる!」
アメジーはディリーべの頭を軽く小突く。
「こら。初対面の人に失礼だ。たく……とりあえずこの依頼はあくまで捜索だ。下手な戦闘は避けていきたい」
「全て破壊すれば良いのでは?」
ティリーべの言葉にアメジーはこめかみを押さえてあきれたように首を横に振っている。
「ディリーべ。必ずしも勝てるとは限らないだろう。それにイマジナーの初任務だ。変にトラウマを植え付けるのはあまりにも可哀想だろう」
結界の近くまで歩くと一つの扉が目にはいる。ドールフェがパスワードを入力する。
「そうと決まれば早速行こっか!」
扉が開くと初めてこの地に来た光景を思い出す。赤く染まる空と荒野が広がる。所々に森など緑は見受けられるがあまりにも不吉な雰囲気でとても入りたいとは思えない。
砂と土が混ざったような感触が足から伝わる。アメジーを先頭に森の周りを巡回する。鳥の鳴き声がより一層この緊張感を高めている。
「おや、これは……夢像の匂いがするねぇ」
ディリーべが早速不吉な事を言い始めた。ドールフェは、辺りを見回し安全か否か確かめている。
「ディリーべ。さすがに冗談でも言っていい事と……」
アメジーが訓戒の言葉を放った瞬間。地面から巨大なミロワールが現れて亀裂が入る。
アメジーとドールフェは状況を理解したとたん、我先に逃げ始めた。
「イマジナーさん!ディリーべ!後は頼んだ!」
「おやおや……逃げ足は速いですね。ここは私が行きましょう。ミロワールぐらいすぐに片付けますよ」
「いや……後ろ見て!」
「えっ?」
ザブン!ミロワールは高く飛び跳ねてそのままディリーべを丸呑みにする。砂ぼこりが高く上がりミロワールは地面に潜る。
残されたのは無残に残っている彼の刀だけだ。彼の匂い温かさすらのこっていない。恐怖で声も出ず体は硬直したままだった。
「なーんてね!」
地面から勢いよく出てきたのはディリーべだった。彼はナイフ一本でミロワールを倒してみせた。粘液でドロドロになっておりそれでも楽しそうに笑っている。
「イマジナーさん焦ったでしょ。でもミロワールはこうやって倒さないといけないから夢像の中で一番嫌われてる存在らしいよ!」
彼からとてつもない腐敗臭と生臭い匂いが充満してきて思わず口を手で塞ぐ。
彼はそんな匂いを気にせずナイフを回して手遊びしながら逃げた二人のもとに向かう。
「全く……臭いからって逃げないでよ」
ドールフェは完全に目を細めてドン引きした表情をしている。それも何度も同じ事を見てきたような反応だ。
「今後1週間は近づかないで……ここからでも臭うから」
「イマジナー、悪いが最後尾でこいつがはぐれないように見守ってくれないか?」
罰ゲームみたいな提案であったが、僕は彼が迷子にならないように隣にいるしかなかった。




