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辺境農民の俺、騎士になったら世界を救うことになりました  作者: ニャンコ
第一章 『辺境農民、騎士になる』

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第二話前編 『白金の魔女の弟子?』

 体力自慢の農民の子が、

騎士として活躍する話。


 ではなく、魔法を学んでいくということに

     そして、

 ファンタジー世界ですからね、

色々と盛り上がりというか、華やかさも

出していこうと思います。

 グレン・テミストクレスは、

   いつもと変わらない時間に起きた。


 王都の宿舎で借りている小さな部屋。

 窓から差し込む朝日を浴びながら、

   グレンは簡素な朝食を済ませる。


 そして、

いつものように騎士団へ向かおうとした。


「……あ」


 扉を開けたところで、

      昨日の出来事を思い出した。


 魔力測定。


 そして、

      大魔導師級。


 自分には魔法の才能がある。

そう言われた。

       だが、


「魔法……か」

     グレンは首を傾げる。


 使ったことがない。

 そもそも、使い方を知らない。


 農村に魔法を教えてくれる場所など

なかったし、魔法使いと話したことすら

            ほとんどない。


 そんな自分が、

    本当に大魔導師級なのだろうか。


「……よく分からないな」


 考えても仕方がない。

 グレンは騎士団へ向かった。


 午前中は剣の訓練だった。


「そこだ!」


 木剣が打ち合う。


 グレンは汗だくになりながら、

    ひたすら剣を振っていた。


 入団してから、

   まだそれほど時間は経っていない。


 だが、

訓練生だった頃とは明らかに違う。


 正騎士として扱われるようになった

ことで、周囲の視線も変わっていた。


 そして、その中でも一人。


「相変わらず、凄まじいな」


 少し離れた場所から

  グレンを見ている騎士がいた。


 カイル・ベルナール。


 以前、

グレンの前に立ちはだかった男だ。


 グレンにとっては、

    今でも届かない存在だった。


「ベルナール騎士」


「ん?」


「どうして、

  あいつをそんなに気にするんです?」


 若い騎士が尋ねる。


 カイルは腕を組んだ。


「別に気にしてるわけじゃない」


「いや、見てますよ」


「……まあな」

     カイルは笑った。

「面白いんだよ、あいつは」


 その視線の先で、

    グレンは木剣を握り直す。


 何度も何度も、絶え間なく振り、

そしてまた、

 何度でも振る。


 疲れているはずなのに、止まらない。


「普通なら、あれだけやれば休む」


「でしょうね」


「だが、あいつは違う」

     カイルは小さく笑った。

「まだ届かないって顔をしてる」


 その言葉通りだった。


 訓練が終わる。

 グレンは肩で息をしながら、

     額の汗を腕で拭った。


「……もっとだ」


 木剣を見つめる。


 もっと強くならなければ。

 家族を守るために。

 故郷を守るために。


 そして、

いつか、カイルに勝つために。


「グレンさん」

     突然、声を掛けられた。


 振り返る。


 そこに立っていたのは、

      一人の少女だった。


 騎士団の制服ではない。


 簡素なメイド服を着ている。


 栗色の髪を後ろで束ね、

     両手には白いタオル。


「あの……これ」


「?」


「汗、すごいので……」


 少女は少し恥ずかしそうに

     タオルを差し出した。


「ありがとうございます」

     グレンは素直に受け取った。

「助かります」


「い、いえ」

     少女は頬を赤くする。


 彼女の名は

      ミーナ・ベル。


 王都に出てきて間もない、

    農家出身の少女だった。


 家計を助けるため、

   王都でメイドとして働いている。


 彼女は以前から、

  騎士団の雑用を手伝うことがあった。


 そこで、何度もグレンを見ていた。

 誰よりも早く来て。

 誰よりも遅くまで訓練する。

 休めと言われても訓練する。


 傷を負っても、

翌日には何事もなかったように剣を振る。


 ミーナには、

   それが不思議で仕方なかった。


「……グレンさん」


「はい?」


「少し、休んだほうがいいと思います」


「大丈夫です」

     即答だった。

「まだいけます」


「……」

     ミーナは困った顔をした。

 この人は本当に休む気がないらしい。


「では、失礼します」


「あ、はい」


 グレンは軽く頭を下げる。


 ミーナはその場を離れながら、

      ちらりと振り返った。


 すると、グレンはもう、

       別の訓練へ向かっていた。


「……本当に、凄い人」

     思わず呟く。


 それは恋というよりも。

 もっと純粋なものだった。

    努力する人への、憧れ。


 自分も農家の娘だからこそ、

グレンがどれほどの想いで

   頑張っているのかが分かった。


 その日の午後。


 グレンは騎士団を出た。

向かった先は……

王立魔導学院。


「……ここか」


 巨大な門を見上げる。


 王都でも

  屈指の規模を誇る魔法教育機関。


 当然、グレンには縁のない場所だった。


 少なくとも昨日までは。


「グレン・テミストクレス様ですね?」


「はい」


 門の前に立っていた少女が確認する。


 学院の制服を着た、美しい少女だった。

 淡い金色の髪に碧い瞳。


 年齢は

グレンとそう変わらないように見える。


「学院長がお待ちです」


「学院長が?」


「はい。こちらへ」


 少女はにこりと微笑んだ。


「私はリリア・フェルナード。

  学院長室付きの補佐をしております」


「グレン・テミストクレスです。

        よろしくお願いします」


「ふふ。

 そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ」


「いえ、

  俺はこういう場所に慣れていなくて」


「それは……そういえば昨日まで

魔法を使ったことがなかったそうですね」


「はい」


 リリアは少し目を丸くした。


「それなのに、大魔導師級……」


「俺にもよく分かりません」


「ですよね」

     リリアは苦笑した。


「学院でも、

  朝からその話で持ちきりでしたから」


「そんなにですか?」


「はい」


 グレンは少し困った顔をした。

自分の知らないところで

        話が大きくなっている。


   どうにも落ち着かない。


 やがて二人は、

  学院の最奥にある部屋へ辿り着いた。


「こちらです」


 リリアが扉を開く。


「学院長。グレンさんをお連れしました」


「おお」


 部屋の奥。

 巨大な本棚に囲まれた机の向こうから、

           声が返ってきた。


 そこにいたのは、

     昨日、グレンが出会った女性。


 王立魔導学院の学院長。

そして、

       白金の魔女。

    エレノア・アルヴェリス

               だった。


「待っておったぞ、グレン」


「学院長先生」


「うむ」


 エレノアは満足そうに頷いた。

 そして、じっとグレンを見る。


 その碧眼が、まるで

  宝物を見つけた子供のように輝いた。


「実に興味深い」


「……?」


「二百年以上生きてきたワシでも、

 こんな魔力の持ち主は見たことがない」


「二百……」

     グレンの表情が固まる。


 目の前の少女は、

    どう見ても年下にしか見えない。


「学院長先生は……

        おいくつなんですか?」


「女性に年齢を聞くとは、

         なかなか大胆じゃの」


「あ、すみません」


「くくっ。まあよい」

     エレノアは楽しそうに笑った。


「それより本題じゃ」

     椅子から立ち上がる。

「グレン」


「はい」


「おぬしに、もう一度問おう

       魔法を学ぶ気はあるか?」


 グレンは黙った。


 魔法。

昨日まで、

    自分には関係のないものだった。


 しかし。

     大魔導師級とまで言われた。


「……あります」


「うむ」


「使えるようになりたいです」


     エレノアの目が輝いた。

「しかし、騎士は辞めぬと」


「はい」

     グレンが即答する。

「騎士は辞めません」


「……」

     エレノアが止まった。

「なぜじゃ?」


「家族を養わなければいけません」


「金ならワシが、」


「それは、出来ません」

     即答。

「俺は、自分の力で家族を支えたい」


 エレノアは、しばらく黙っていた。

     そして。

「……なるほど」

     小さく笑った。


「やはり面白い奴じゃ」


「?」


「では、」

     エレノアは机に腰掛けた。

「騎士を続けながら、

   ワシのところで魔法を学べばよい」


「いいんですか?」


「朝は騎士団。午後から魔導学院。

あるいは時間が許せば、その逆でもよい」


「そんなことが出来るんですか?」


「ワシが学院長じゃぞ?」


 エレノアは胸を張った。


「出来ぬことなど、殆どない」


 リリアが小さくため息をつく。


「学院長、それは少し言い過ぎでは……」


「黙っておれ、リリア」


「はいはい」


 この二人の親しさが見えた気がした。


 グレンは改めてエレノアを見る。


 不思議な人だった。見た目は幼い。


 しかし、その瞳の奥には

自分とは比べ物にならないほど長い時間を

生きてきた者の深さがある。


「……お願いします」

     グレンは頭を下げた。

「俺に、魔法を教えてください」


 エレノアは満面の笑みを浮かべた。


「うむ!」


 その瞬間。


 白金の魔女は、まるで新しい玩具を

    手に入れた子供のように笑った。


「今日からおぬしは、」

     少し間を置いて。

「ワシの弟子じゃ!」


 王立魔導学院。

    そこから始まる。

 剣しか知らなかった少年の

          もう一つの人生。





 後編へつづく




 時系列、キャラ相関関係。

そういうのって、

どうやって整理しているのでしょう?

 私は、メモをとりながら進める。

でもねー、書いていくウチに間違えちゃう

 今回も、気をつけてやろうと

思っているのです。


◆◆◆キャラ紹介コーナー◆◆◆


アルベルト・レイグラン

貴族のボンボン

レイグラン子爵家の次男。

事あるごとにグレンにつっかかる。

身分にこだわりが強い。

無駄にプライドが高い。

cv.もちろんイメージしてます。

言いたい!でも言えない(泣



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