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辺境農民の俺、騎士になったら世界を救うことになりました  作者: ニャンコ
第三章 『テルス』

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第十二話前編 『開戦』

 七大国にある伝承、伝説或いはお伽話。

その中の一節が、神託によって今、実際のものに


 キミは生き延びることが出来るか


 二度目の神託は、世界を駆け巡った。


 七つの星が集い、人類の希望となる。


 その言葉は、

もはや曖昧な伝承ではなかった。

 神々が示した七人の存在を、

世界中の人々が知ることとなったのだ。


 各国は、七人を中心として

    魔王軍と戦う方針で一致した。


 だが、その決定を

ゆっくりと確かめている時間はなかった。


「ご報告申し上げます!」


 帝城の一室に、伝令の声が響いた。


「魔王軍が、我らが帝国の

第一防衛ラインに迫っております!」


 その場にいた者たちの表情が変わる。


 ついに来た。


 魔王軍第一陣が、

    ルージアへと迫っている。


「第一防衛ラインの状況は?」

     ルージア皇帝が問いかける。


「現在、ルージア軍の約半数が配置を

完了しております。また、アステカを除く

五カ国からの援軍も、各国のほぼ半数に

あたる兵力が到着する見込みです」


「それで、戦況の見込みは?」


「……詳細は測りかねますが、明らかに、こちらが劣勢。全軍が揃わねば…」


 短い沈黙が落ちた。


 連合軍は、まだ揃っていない。


 それでも、第一防衛ラインを放棄する

わけにはいかなかった。ここで魔王軍を

食い止め、各国の軍が集結するまで

持ち堪えなければならない。


 その場にいた七人は、

    互いに視線を交わした。


 言葉はない。


 だが、それぞれが

同じことを考えているのは明らかだった。


 七人が、ほぼ同時に動き出す。


 アークが、一歩前に出た。


「陛下。私たちに出陣の許可を」


 皇帝は七人を見渡し、短くうなずいた。


「頼む。人類の希望たちよ」


「承知しました」

     アークは一礼する。


 そして七人は、帝城を後にした。


          ◆


 七人が城門を抜けると、

     グレンが魔法を発動した。


 全員の身体がふわりと浮き上がる。

 次の瞬間、七人は空へと飛び立った。


       風が吹き荒れる


 グレンの飛行魔法は、

常識外れの速度で七人を運んでいく。

 景色は瞬く間に後方へ流れ、

  地上の建物や山々も、

   あっという間に遠ざかっていった。


 しかし、その速度はグレン以外の六人に

とって、決して容易なものではなかった。


「グレン、少し速度を落とせ!」

     アークの声が飛ぶ。


 グレンがわずかに速度を緩めた。


「どうしました?」


「このままでは、

   全員が持たない。セレネ!」


「はい!」


 アークの指示に、

    セレネがすぐさま応じる。


 彼女は付与魔法を発動し、

    六人の身体に補助を施した。


 風圧と加速に耐えられるよう、

    飛行中の負担を軽減する。


「これで大丈夫です」


 セレネの言葉を聞き、

グレンは仲間たちの様子を確かめた。


「なるほど。これならば」

     グレンは再び速度を上げた。


 先程よりも、さらに速く。


 七人は風を切り、

第一防衛ラインへと向かっていった。


          ◆


 第一防衛ラインでは、

すでに激しい戦闘が始まっていた。


 押し寄せる魔王軍。

  それを迎え撃つルージア軍。


 数の差は明らかだった。


 前線では兵士たちが次々と押し込まれ、

陣形を維持することさえ

      難しくなっている。

 それでも、彼らは退かなかった。


「援軍が来るまで持ち堪えろ!」



「ここを抜かせるな!」


「へっ、やけに気合い入ってんなイワン」


「たりめぇだろ。

  この戦争終わったら

     アンナと結婚すんだからよっ」


    『言ったらダメなやつ』


 兵士たちは声を張り上げ

      武器を握り直す。


 恐怖がないわけではない。


 それでも、ここを突破されれば、

その先にある人々の暮らしが脅かされる。

だからこそ、彼らは踏みとどまっていた。


 やがて、

戦場の後方から新たな軍勢が姿を現した。


「アトランティス軍だ!」


 その先頭には、

    アトランティス王の姿があった。


       第一陣の到着


 援軍の姿を認めた

ルージア兵たちから、歓声が上がる。


 戦況が覆ったわけではない。


 魔王軍との戦力差は

依然として大きく、戦場は劣勢のままだ。


 それでも、援軍が来た。


 そして、人類には希望がある。


 神託に示された七人の英雄がいる。


 その事実が、

  兵士たちの心を支えていた。


「まだだ! まだ戦える!」


 誰かが叫ぶ。


 その声に、周囲の兵士たちも応じた。



「勇敢なるルージア兵士たちよ!

    我ら人類は必ず勝つ!

  世界が我らを支援しておるのだ!

    愛する者を守り抜け!」


 アトランティス王は、

健闘しているルージア兵と、到着したばかりで疲弊した自軍を奮い立たせた。


 一方、魔王軍の将軍は、

その光景を遠くから眺めていた。


 人類側の戦力は、

こちらに比べれば取るに足らない。


 それでも、

彼らは予想以上に抗っている。


「……予想よりも抗うのだな」


 将軍はそう呟き、

   再び戦場へ視線を戻した。


          ◆


 その頃、七人は第一防衛ラインへと

    到着しようとしていた。


 眼下に広がるのは、

    激しい戦闘が続く戦場。


 その向こうには、地平を埋め尽くすかの

ような魔王軍の姿があった。


 グレンたちは、

   空からその光景を見下ろす。


 人類の命運を懸けた戦いが、

   すでに始まっていた。






後編へ続く


 グレンの飛行魔法、エグいです。

お察しの通り、軍を運ぶのは出来ません。

では、なぜ到着が遅かったのか?

 ふっふっふっふっ

それはまだ言えないっ

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