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双月のヒナ 〜禁足地の戦乙女〜  作者: 哀川 とあ
序章  〜力の根源〜
2/51

特別編 エピソード1 〜ヒナ6歳の誕生祭〜

忙しい日々ですが、早めに執筆出来ました


本編までに主人公のエピソードを書いて、前提の記憶を皆様に知ってもらいたいと思い

この形にしました

まだまだ下手ですが、よろしければ読んで頂けたら幸いです



今日は、ヒナの誕生日だった。


その意味はよく分からない。

けれど、広場に集まった人たちがみんな笑っているのを見ると、

それだけで、いい日なんだと思えた。


---


夜の広場は、いつもより明るい。


焚かれた火の灯りが揺れて、

人の顔も、並べられた料理も、やわらかく照らしている。


笑い声が重なり、空気が軽く弾んでいた。


---


いい匂いがする。


焼いた肉の香ばしさ。

炊きたての米の甘い香り。


---


祈りが終わる。


歌が始まる。


---


あたたかい。


でも——


---


どこか、違う。


---


口が、勝手に動く。


---


「……たい……よう……」


---


「……つき……の……かげ……」


---


引っかかる。


---


「……わが……や……」


---


止まる。


---


でも——


---


「……わが……やいばに……」


---


その瞬間——


---


音が消えた。


---


耳に触れているものに気付く。


---


ピアス。


---


熱い。


---


赤く、光っている。


---


ドンッ


---


ドンッ


---


ドンッ


---


近づく。


---


砂けむり。


---


倒れた木。


---


一瞬、雪崩に見えた。


---


でも、違う。


---


その奥で、


黒い影が揺れている。


---


現れる。


---


巨大な影。


---


怖い。


---


動けない。


---


来る。


---


「ヒナ!」


---


お母さんの声が、聞こえた。


---


次の瞬間——


---


ドンッ!


---


目の前が跳ぶ。


---


体が浮く。


---


落ちる。


---


叩きつけられる。


---


息が、できない。


---


動けない。


---


手が見える。


---


動かない。


---


触ってるのに、わからない。


---


ぼんやり、見ている。


---


赤いものが、


ずっと流れてる。


---


いやだ。


---


いたい。


---


わたし……


---


しぬの……?


---


---


ドクン。


---


ドクン。


---


鼓動が、うるさい。


---


その奥で、


何かが重なる。


---


声。


---


わたしじゃない。


---


だれ……?


---


冷たい。


---


入り込んでくる。


---


「器……」


---


「血を舐めろ……」


---


いやだ。


---


でも——


---


「生きたいだろ……?」


---


心臓が跳ねる。


---


死にたくない。


---


---


指が動く。


---


血に触れる。


---


震える。


---


そして——


---


舐めた。


---


---


味が、広がる。


---


それが、分かる。


---


「……おいしい……」


---


---


ドンッ!!!


---


内側から、何かが弾けた。


---


衝撃が、外へ広がる。


---


空気が押し潰される。


---


目の前の巨大な影が、


口を開いたまま、


圧に押し出される。


---


遠くへ、飛んでいく。


---


見えた、次の瞬間——


---


わたしは、


意識を手放した。


---


---


——ドンッ!!!


---


空気が、弾けた。


---


踏ん張ったはずの足が、わずかに滑る。

胸を押し潰されるような圧。


---


視界の先で、


巨大な影が地面を削りながら吹き飛んでいく。


---


あの化け物が——


飛ばされている。


---


「……何が……」


---


空気が変わる。


---


冷たいのに、焼けるように熱い。


---


ゆっくりと視線を戻す。


---


そこに——


---


いた。


---


ヒナが。


---


いや——


---


ヒナ“だったもの”。


---


あ……あ……


---


なに……獣……?


---


まさか……っ!


---


ヒナ?

ヒナっ!!


---


---


赤い蒸気が立ち上る。


---


骨が鳴る。


---


形が歪む。


---


変わっていく。


---


「……ヒナ……」


---


次の瞬間——


---


消えた。


---


視線の先。


---


化け物の前に、


“それ”が立っていた。


---


拳が振り下ろされる。


---


ドンッ!!


---


ドンッ!!


---


何度も。


---


何度も。


---


止まらない。


---


「やめて……」


---


届かない。


---


動かなくなっても、


殴り続ける。


---


やがて、


止まる。


---


一瞬の静寂。


---


そして——


---


喰らいついた。


---


裂ける音。


---


砕ける音。


---


響く。


---


目を覆う。


---


それでも見てしまう。


---


止まらない。


---


喰っている。


---


あれは——


---


ヒナじゃない。


---


でも——


---


ヒナだ。


---


---


やがて、


静けさ。


---


そこには、


食い散らかされた残骸。


---


その傍らに、


血まみれのヒナが倒れていた。


---


走る。


---


「ヒナ!!」


---


抱き上げる。


---


温かい。


---


息がある。


---


「……よかった……」


---


強く抱きしめる。


---


「ヒナ……ヒナ……」


---


返事はない。


---


それでも——


---


生きている。


---


それだけで、


涙が溢れた。

大事な主人公のエピソードでした


次回も特別編エピソード2として

執筆致します

次回も主人公は成長しておりますかね?

わたしも成長したいです笑

投稿は不定期ですが次回も読んで頂けたら嬉しいです


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