〜プロローグ〜 終焉の赤き月と転移の少女
皆様 初めまして
この物語は1人の少女と太陽、月を題材にした神のお話…
プロローグから少しずつ書いて、形にしていきたいと思います
ルビはありませんが、今後改善していきます
世界観が分かるように 早い段階で
第一話まで間をあまり空けずに書くつもりです
良ければお付き合い下さい
表現の下手はお許し下さい…
――その夜、月は赤かった。
2026年3月3日。
空に浮かぶ満月は、血を滲ませたように深く濁り、世界のすべてを不吉に染め上げていた。
人々はそれを“レッドムーン”と呼び、珍しがり、笑い合い、やがて日常へと戻っていく。
だが――その夜を境に、世界は一日で崩壊した。
⸻
最初に“異変”に気づいたのは、音だった。
低く、地の底から響くような振動。
ガガ……ッ、という、何かが“裂ける”音。
⸻
アスファルトが、ひび割れる。
その隙間から、黒い何かが滲み出す。
影のようで、液体のようで、だが確かに“意思”を持つもの。
⸻
それは膨らみ、形を持ち、牙を生やす。
⸻
「な、なんだこれ……!?」
⸻
叫びは、途中で途切れた。
⸻
肉が裂ける音。
骨が砕ける音。
⸻
血が、飛ぶ。
⸻
それは一箇所ではなかった。
⸻
街中で、同時に。
建物の影から。
路地裏から。
地面の下から。
⸻
“孵化”する。
⸻
モンスター。
⸻
本来、この世界に存在しないはずの異形が、
まるで“最初からそこにいたかのように”現れる。
⸻
銃弾は弾かれる。
車は叩き潰される。
人は、逃げる暇もなく喰われる。
⸻
夜は、悲鳴で満ちた。
⸻
そして、その“夜”は終わらなかった。
⸻
朝になっても、終わらない。
⸻
空は曇り、光は弱く、
街はすでに“別の場所”になっていた。
⸻
軍が出る。
だが、通用しない。
⸻
炎を吐くもの。
影に溶けるもの。
空を裂いて落ちてくるもの。
⸻
次々と現れる。
⸻
「……あり得ない」
⸻
誰もがそう思いながら、
誰も止められなかった。
⸻
一日。
⸻
それだけで十分だった。
⸻
都市は焼かれ、国家は崩れ、
人類は――地上の支配者ではなくなった。
---
天奈神社。
崩れゆく世界の中で、最後まで均衡を保とうとしていた場所。
---
神殿の奥。
少女を抱きしめる女性――天奈陽月。
「ひな……大丈夫」
幼い少女はただ、母にしがみつく。
---
その前に立つ影。
祖母、天奈月世。
すでに人ではない、“月の神の器”。
---
「……もう遅いわ、陽月」
---
陽月は一歩前に出る。
「この子は――渡さない」
---
ひなを降ろす。
「目を閉じて」
---
詠唱が響く。
---
> 太陽と月の影……
> 我が身に集まりて、無と生を等しく与えたまえ……
---
光と闇が絡み合い、空間が裂ける。
未来へ送る。
それが唯一の手段だった。
---
だが、その瞬間。
世界が軋む。
歪みの中から、“声”が落ちた。
---
> 我が名はマッドネスビースト
> 良質なる陰陽の力の娘よ……
> 我の器となれ……
---
「……なに……?」
---
「なっ……なんで……!?」
---
完全だったはずの術に、“異物”が混ざる。
---
(違う……これは神じゃない……!)
---
止めれば、ひなは消える。
続ければ、“何か”も一緒に送られる。
---
一瞬。
---
「……ひな、生きなさい」
---
光が弾ける。
少女の身体が、空間へと溶けていく。
---
「ひな――!!」
---
その手は、届かない。
---
世界は崩壊した。
---
――そして。
---
満月の夜。
森の中。
---
ジ……ジジジ……
虫の声が、一定のリズムで鳴いている。
風はほとんどない。
だが時折、サァ……と葉が擦れる音がする。
---
「……おい、止まれ」
---
三人での見回り。
慣れた森。見慣れた夜。
――のはずだった。
---
「……なんだ、これ……」
---
空気が重い。
胸の奥を押されるような、嫌な圧。
---
ジ……ジ……
虫の声が、途切れる。
---
「……いるな」
---
視線を向ける。
木々の隙間。
月明かりの中に、“それ”はいた。
---
影のようで、影ではない。
形を持ちながら、定まらない。
---
「……ビースト? 種類はなんだ……?」
---
言葉にした瞬間、背筋が冷える。
分からない。
だが、分かる。
---
危険だ。
---
そして、そのすぐ近くに。
---
「……子供……?」
---
少女が立っていた。
血に濡れながら。
---
逃げない。
叫ばない。
ただ、そこにいる。
---
「……おかしい……」
---
ビーストが動く。
ゆっくりと、少女へ。
---
「まずい……!」
---
圧が強まる。
息が浅くなる。
---
サァ……サァ……
木々が揺れる。
---
「……戻るぞ!」
---
「はっ!?」
---
「増援だ!このままじゃ終わる!」
---
三人は走り出す。
---
(あの子……)
---
振り返りそうになる。
だが、止まらない。
---
ジジジジジ――!!
---
虫の声が一斉に戻る。
まるで急き立てるように。
---
「くそっ……!」
---
森を抜ける。
村の灯りが見える。
---
「戻ったぞ!!」
---
――そして。
---
「……話は聞いた」
---
静かな声。
だが、その中に緊張がある。
---
「ビースト? 種類はなんだ……?」
---
報告を繰り返す。
---
「……分かりません」
---
村長は一瞬だけ目を閉じる。
---
「……いい」
---
「全員で行く」
---
松明が灯る。
武器が握られる。
---
森へ戻る。
---
ジ……ジ……
虫の声が、どこか遠い。
---
サァ……
今度は風がある。
---
(……圧が、少し軽い)
---
進む。
---
開けた場所。
月明かりが差す。
---
そこに――
少女が一人、立っていた。
---
ビーストの姿はない。
---
だが。
---
“残っている”。
---
空気に。
---
「……消えたのか……?」
---
「……違う」
---
「いないだけだ」
---
村長はゆっくりと近づく。
---
少女は動かない。
---
血に濡れている。
だが――
---
「……傷がない……?」
---
あり得ない。
---
しゃがみ込む。
呼吸を確認する。
---
「……生きている」
---
抱き上げる。
---
軽い。
子供の重さ。
---
だが。
---
(……妙だな)
---
言葉にできない“重さ”。
存在そのものの違和感。
---
ドクン……
---
一瞬、鼓動が重なる。
---
「この子を連れて帰る」
---
誰も反対しない。
---
森を離れる。
---
虫の声が消える。
---
サァ……
木々だけが揺れる。
---
満月。
---
「……厄介なものを拾ったな」
---
腕の中の少女の唇が、わずかに動いた。
---
「……ん……」
---
その温もりを感じながら。
---
村長は歩き続ける。
---
この時、まだ誰も知らなかった。
---
この少女が、
世界を大きく変える存在になることを。
---
そしてその中に、
“喰らう者”が眠っていることを。
---
物語は、ここから始まる。
読んでくださり ありがとうございます
次回は第一話に続けるための、主人公のお話を、特別版として書きます
3部程を予定してますので、みなさま、お時間を少し下さい
完全な趣味の執筆となりますので、ご了承下さい




