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双月のヒナ 〜禁足地の戦乙女〜  作者: 哀川 とあ
序章  〜力の根源〜
1/70

〜プロローグ〜 終焉の赤き月と転移の少女

皆様 初めまして

この物語は1人の少女と太陽、月を題材にした神のお話…

プロローグから少しずつ書いて、形にしていきたいと思います


ルビはありませんが、今後改善していきます


世界観が分かるように 早い段階で

第一話まで間をあまり空けずに書くつもりです

良ければお付き合い下さい


表現の下手はお許し下さい…




――その夜、月は赤かった。


2026年3月3日。

空に浮かぶ満月は、血を滲ませたように深く濁り、世界のすべてを不吉に染め上げていた。


人々はそれを“レッドムーン”と呼び、珍しがり、笑い合い、やがて日常へと戻っていく。


だが――その夜を境に、世界は一日で崩壊した。


⸻


最初に“異変”に気づいたのは、音だった。


低く、地の底から響くような振動。


ガガ……ッ、という、何かが“裂ける”音。


⸻


アスファルトが、ひび割れる。


その隙間から、黒い何かが滲み出す。


影のようで、液体のようで、だが確かに“意思”を持つもの。


⸻


それは膨らみ、形を持ち、牙を生やす。


⸻


「な、なんだこれ……!?」


⸻


叫びは、途中で途切れた。


⸻


肉が裂ける音。


骨が砕ける音。


⸻


血が、飛ぶ。


⸻


それは一箇所ではなかった。


⸻


街中で、同時に。


建物の影から。

路地裏から。

地面の下から。


⸻


“孵化”する。


⸻


モンスター。


⸻


本来、この世界に存在しないはずの異形が、


まるで“最初からそこにいたかのように”現れる。


⸻


銃弾は弾かれる。

車は叩き潰される。

人は、逃げる暇もなく喰われる。


⸻


夜は、悲鳴で満ちた。


⸻


そして、その“夜”は終わらなかった。


⸻


朝になっても、終わらない。


⸻


空は曇り、光は弱く、

街はすでに“別の場所”になっていた。


⸻


軍が出る。


だが、通用しない。


⸻


炎を吐くもの。

影に溶けるもの。

空を裂いて落ちてくるもの。


⸻


次々と現れる。


⸻


「……あり得ない」


⸻


誰もがそう思いながら、


誰も止められなかった。


⸻


一日。


⸻


それだけで十分だった。


⸻


都市は焼かれ、国家は崩れ、

人類は――地上の支配者ではなくなった。


---


天奈神社。


崩れゆく世界の中で、最後まで均衡を保とうとしていた場所。


---


神殿の奥。


少女を抱きしめる女性――天奈陽月。


「ひな……大丈夫」


幼い少女はただ、母にしがみつく。


---


その前に立つ影。


祖母、天奈月世。


すでに人ではない、“月の神の器”。


---


「……もう遅いわ、陽月」


---


陽月は一歩前に出る。


「この子は――渡さない」


---


ひなを降ろす。


「目を閉じて」


---


詠唱が響く。


---


> 太陽と月の影……

> 我が身に集まりて、無と生を等しく与えたまえ……


---


光と闇が絡み合い、空間が裂ける。


未来へ送る。


それが唯一の手段だった。


---


だが、その瞬間。


世界が軋む。


歪みの中から、“声”が落ちた。


---


> 我が名はマッドネスビースト

> 良質なる陰陽の力の娘よ……

> 我の器となれ……


---


「……なに……?」


---


「なっ……なんで……!?」


---


完全だったはずの術に、“異物”が混ざる。


---


(違う……これは神じゃない……!)


---


止めれば、ひなは消える。

続ければ、“何か”も一緒に送られる。


---


一瞬。


---


「……ひな、生きなさい」


---


光が弾ける。


少女の身体が、空間へと溶けていく。


---


「ひな――!!」


---


その手は、届かない。


---


世界は崩壊した。


---


――そして。


---


満月の夜。


森の中。


---


ジ……ジジジ……


虫の声が、一定のリズムで鳴いている。


風はほとんどない。

だが時折、サァ……と葉が擦れる音がする。


---


「……おい、止まれ」


---


三人での見回り。


慣れた森。見慣れた夜。


――のはずだった。


---


「……なんだ、これ……」


---


空気が重い。


胸の奥を押されるような、嫌な圧。


---


ジ……ジ……


虫の声が、途切れる。


---


「……いるな」


---


視線を向ける。


木々の隙間。


月明かりの中に、“それ”はいた。


---


影のようで、影ではない。


形を持ちながら、定まらない。


---


「……ビースト? 種類はなんだ……?」


---


言葉にした瞬間、背筋が冷える。


分からない。


だが、分かる。


---


危険だ。


---


そして、そのすぐ近くに。


---


「……子供……?」


---


少女が立っていた。


血に濡れながら。


---


逃げない。


叫ばない。


ただ、そこにいる。


---


「……おかしい……」


---


ビーストが動く。


ゆっくりと、少女へ。


---


「まずい……!」


---


圧が強まる。


息が浅くなる。


---


サァ……サァ……


木々が揺れる。


---


「……戻るぞ!」


---


「はっ!?」


---


「増援だ!このままじゃ終わる!」


---


三人は走り出す。


---


(あの子……)


---


振り返りそうになる。


だが、止まらない。


---


ジジジジジ――!!


---


虫の声が一斉に戻る。


まるで急き立てるように。


---


「くそっ……!」


---


森を抜ける。


村の灯りが見える。


---


「戻ったぞ!!」


---


――そして。



---


「……話は聞いた」


---


静かな声。


だが、その中に緊張がある。


---


「ビースト? 種類はなんだ……?」


---


報告を繰り返す。


---


「……分かりません」


---


村長は一瞬だけ目を閉じる。


---


「……いい」


---


「全員で行く」


---


松明が灯る。


武器が握られる。


---


森へ戻る。


---


ジ……ジ……


虫の声が、どこか遠い。


---


サァ……


今度は風がある。


---


(……圧が、少し軽い)


---


進む。


---


開けた場所。


月明かりが差す。


---


そこに――


少女が一人、立っていた。


---


ビーストの姿はない。


---


だが。


---


“残っている”。


---


空気に。


---


「……消えたのか……?」


---


「……違う」


---


「いないだけだ」


---


村長はゆっくりと近づく。


---


少女は動かない。


---


血に濡れている。


だが――


---


「……傷がない……?」


---


あり得ない。


---


しゃがみ込む。


呼吸を確認する。


---


「……生きている」


---


抱き上げる。


---


軽い。


子供の重さ。


---


だが。


---


(……妙だな)


---


言葉にできない“重さ”。


存在そのものの違和感。


---


ドクン……


---


一瞬、鼓動が重なる。


---


「この子を連れて帰る」


---


誰も反対しない。


---


森を離れる。


---


虫の声が消える。


---


サァ……


木々だけが揺れる。


---


満月。


---


「……厄介なものを拾ったな」


---


腕の中の少女の唇が、わずかに動いた。


---


「……ん……」


---


その温もりを感じながら。


---


村長は歩き続ける。


---


この時、まだ誰も知らなかった。


---


この少女が、


世界を大きく変える存在になることを。


---


そしてその中に、


“喰らう者”が眠っていることを。


---


物語は、ここから始まる。


読んでくださり ありがとうございます

次回は第一話に続けるための、主人公のお話を、特別版として書きます

3部程を予定してますので、みなさま、お時間を少し下さい


完全な趣味の執筆となりますので、ご了承下さい

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