表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双月のヒナ 〜禁足地の戦乙女〜  作者: 哀川 とあ
序章  〜力の根源〜
1/50

〜プロローグ〜 終焉の赤き月と転移の少女

皆様 初めまして

この物語は1人の少女と太陽、月を題材にした神のお話…

プロローグから少しずつ書いて、形にしていきたいと思います


ルビはありませんが、今後改善していきます


世界観が分かるように 早い段階で

第一話まで間をあまり空けずに書くつもりです

良ければお付き合い下さい


表現の下手はお許し下さい…




――その夜、月は赤かった。


2026年3月3日。

空に浮かぶ満月は、血を滲ませたように深く濁り、世界のすべてを不吉に染め上げていた。


人々はそれを“レッドムーン”と呼び、珍しがり、笑い合い、やがて日常へと戻っていく。


だが――その夜を境に、世界は一日で崩壊した。



最初に“異変”に気づいたのは、音だった。


低く、地の底から響くような振動。


ガガ……ッ、という、何かが“裂ける”音。



アスファルトが、ひび割れる。


その隙間から、黒い何かが滲み出す。


影のようで、液体のようで、だが確かに“意思”を持つもの。



それは膨らみ、形を持ち、牙を生やす。



「な、なんだこれ……!?」



叫びは、途中で途切れた。



肉が裂ける音。


骨が砕ける音。



血が、飛ぶ。



それは一箇所ではなかった。



街中で、同時に。


建物の影から。

路地裏から。

地面の下から。



“孵化”する。



モンスター。



本来、この世界に存在しないはずの異形が、


まるで“最初からそこにいたかのように”現れる。



銃弾は弾かれる。

車は叩き潰される。

人は、逃げる暇もなく喰われる。



夜は、悲鳴で満ちた。



そして、その“夜”は終わらなかった。



朝になっても、終わらない。



空は曇り、光は弱く、

街はすでに“別の場所”になっていた。



軍が出る。


だが、通用しない。



炎を吐くもの。

影に溶けるもの。

空を裂いて落ちてくるもの。



次々と現れる。



「……あり得ない」



誰もがそう思いながら、


誰も止められなかった。



一日。



それだけで十分だった。



都市は焼かれ、国家は崩れ、

人類は――地上の支配者ではなくなった。


---


天奈神社。


崩れゆく世界の中で、最後まで均衡を保とうとしていた場所。


---


神殿の奥。


少女を抱きしめる女性――天奈陽月。


「ひな……大丈夫」


幼い少女はただ、母にしがみつく。


---


その前に立つ影。


祖母、天奈月世。


すでに人ではない、“月の神の器”。


---


「……もう遅いわ、陽月」


---


陽月は一歩前に出る。


「この子は――渡さない」


---


ひなを降ろす。


「目を閉じて」


---


詠唱が響く。


---


> 太陽と月の影……

> 我が身に集まりて、無と生を等しく与えたまえ……


---


光と闇が絡み合い、空間が裂ける。


未来へ送る。


それが唯一の手段だった。


---


だが、その瞬間。


世界が軋む。


歪みの中から、“声”が落ちた。


---


> 我が名はマッドネスビースト

> 良質なる陰陽の力の娘よ……

> 我の器となれ……


---


「……なに……?」


---


「なっ……なんで……!?」


---


完全だったはずの術に、“異物”が混ざる。


---


(違う……これは神じゃない……!)


---


止めれば、ひなは消える。

続ければ、“何か”も一緒に送られる。


---


一瞬。


---


「……ひな、生きなさい」


---


光が弾ける。


少女の身体が、空間へと溶けていく。


---


「ひな――!!」


---


その手は、届かない。


---


世界は崩壊した。


---


――そして。


---


満月の夜。


森の中。


---


ジ……ジジジ……


虫の声が、一定のリズムで鳴いている。


風はほとんどない。

だが時折、サァ……と葉が擦れる音がする。


---


「……おい、止まれ」


---


三人での見回り。


慣れた森。見慣れた夜。


――のはずだった。


---


「……なんだ、これ……」


---


空気が重い。


胸の奥を押されるような、嫌な圧。


---


ジ……ジ……


虫の声が、途切れる。


---


「……いるな」


---


視線を向ける。


木々の隙間。


月明かりの中に、“それ”はいた。


---


影のようで、影ではない。


形を持ちながら、定まらない。


---


「……ビースト? 種類はなんだ……?」


---


言葉にした瞬間、背筋が冷える。


分からない。


だが、分かる。


---


危険だ。


---


そして、そのすぐ近くに。


---


「……子供……?」


---


少女が立っていた。


血に濡れながら。


---


逃げない。


叫ばない。


ただ、そこにいる。


---


「……おかしい……」


---


ビーストが動く。


ゆっくりと、少女へ。


---


「まずい……!」


---


圧が強まる。


息が浅くなる。


---


サァ……サァ……


木々が揺れる。


---


「……戻るぞ!」


---


「はっ!?」


---


「増援だ!このままじゃ終わる!」


---


三人は走り出す。


---


(あの子……)


---


振り返りそうになる。


だが、止まらない。


---


ジジジジジ――!!


---


虫の声が一斉に戻る。


まるで急き立てるように。


---


「くそっ……!」


---


森を抜ける。


村の灯りが見える。


---


「戻ったぞ!!」


---


――そして。



---


「……話は聞いた」


---


静かな声。


だが、その中に緊張がある。


---


「ビースト? 種類はなんだ……?」


---


報告を繰り返す。


---


「……分かりません」


---


村長は一瞬だけ目を閉じる。


---


「……いい」


---


「全員で行く」


---


松明が灯る。


武器が握られる。


---


森へ戻る。


---


ジ……ジ……


虫の声が、どこか遠い。


---


サァ……


今度は風がある。


---


(……圧が、少し軽い)


---


進む。


---


開けた場所。


月明かりが差す。


---


そこに――


少女が一人、立っていた。


---


ビーストの姿はない。


---


だが。


---


“残っている”。


---


空気に。


---


「……消えたのか……?」


---


「……違う」


---


「いないだけだ」


---


村長はゆっくりと近づく。


---


少女は動かない。


---


血に濡れている。


だが――


---


「……傷がない……?」


---


あり得ない。


---


しゃがみ込む。


呼吸を確認する。


---


「……生きている」


---


抱き上げる。


---


軽い。


子供の重さ。


---


だが。


---


(……妙だな)


---


言葉にできない“重さ”。


存在そのものの違和感。


---


ドクン……


---


一瞬、鼓動が重なる。


---


「この子を連れて帰る」


---


誰も反対しない。


---


森を離れる。


---


虫の声が消える。


---


サァ……


木々だけが揺れる。


---


満月。


---


「……厄介なものを拾ったな」


---


腕の中の少女の唇が、わずかに動いた。


---


「……ん……」


---


その温もりを感じながら。


---


村長は歩き続ける。


---


この時、まだ誰も知らなかった。


---


この少女が、


世界を大きく変える存在になることを。


---


そしてその中に、


“喰らう者”が眠っていることを。


---


物語は、ここから始まる。


読んでくださり ありがとうございます

次回は第一話に続けるための、主人公のお話を、特別版として書きます

3部程を予定してますので、みなさま、お時間を少し下さい


完全な趣味の執筆となりますので、ご了承下さい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ