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双月のヒナ 〜禁足地の戦乙女〜  作者: 哀川 とあ
1章  禁足地の少女
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第3話  銀髪の少女

ロイド視点でのお話になっております


表現するのは難しいですね…


読んで頂いてる皆様には感謝です

     ―――――


巨体が跳ぶ。


「――ッ!!」


死ぬ。


ロイドは確信した。


避けられない。


間に合わない。


その瞬間だった。



――ヒュン。



風が鳴った。


いや。


違う。


何かが、

月光の中を走った。


次の瞬間。


ケルベロスの巨体が、

横へ吹き飛んだ。


轟音。


木々を薙ぎ倒しながら、

災厄の巨体が地面を転がる。


「……は……?」


ロイドの思考が止まる。


何が起きたのか、

理解できなかった。


ケルベロスが低く唸る。


土煙の向こう。


そこに、

小さな影が立っていた。


月明かりを背にした、

一人の少女。


白銀にも見える長い髪が、

夜風に揺れている。


華奢だった。


あまりにも。


こんな地獄には、

似合わないほどに。


少女は片手を軽く払う。


まるで、

道端の石でも蹴飛ばした後のように。


そして。


「……うわぁ」


呑気な声が響いた。


「めちゃくちゃ壊れてるじゃん」


その声音だけが、

この惨劇から浮いていた。


ケルベロスが唸る。


三つの首が、

少女へ殺意を向ける。


炎が漏れる。


空気が震える。


だが。


少女はまるで気にしていなかった。


赤黒い瞳を見上げながら、

小さく首を傾げる。


「んー……」


そして。


困ったように笑った。


「それ、月浴びちゃったんだ」


ロイドの目が揺れる。


月を浴びた?


何を言っている。


だが、

少女は当然のように続けた。


「ヘルハウンドの変異種だね」


さらりと。


まるで、

よくある話のように。


ケルベロスが咆哮した。


轟ッ!!


紅蓮の炎が、

一直線に少女へ放たれる。


森を焼き尽くす灼熱。


だが。


少女は避けない。


ただ、

片手を前へ出した。


瞬間。


月光が集まった。


白銀の光。


静かな光だった。


暴力的な炎とは真逆の。


優しく、

透き通るような輝き。


その光が、

炎を――裂いた。


「……は?」


ロイドの口から、

呆然と声が漏れる。


あり得ない。


あの炎を。


片手で。


少女は炎の割れた道を、

静かに歩く。


一歩。


また一歩。


ケルベロスが吠えた。


右の首が噛み付く。


少女の姿が消える。


次の瞬間。


ズドンッ!!


ケルベロスの首が、

地面へ叩き付けられていた。


「ギャアアアアア!!」


絶叫。


巨体が暴れる。


だが、

少女はその頭を片足で踏み付けたまま、

平然としている。


細い脚で。


あり得ない力だった。


「暴れないでよ」


少しだけ、

面倒そうに。


その瞬間。


少女は静かに右手を掲げた。


月光が集まる。


淡く。


透き通るように。


白銀の粒子が夜空から降り注ぎ、


彼女の手の中で形を成していく。


やがて。


そこに現れたのは、


一振りの光だった。


剣――


そう呼ぶには、


あまりにも幻想的だった。


刀身は実体を持たない。


透明な月光そのものが、


細く長く結晶化している。


輪郭は淡く揺らぎ、


まるで水面に映る月のように静かに煌めいていた。


白銀の輝きが、


周囲を柔らかく照らす。


それは炎のような暴力ではない。


ただ、


夜を静かに裂く月光そのものだった。


ケルベロスが低く唸る。


三つの首が、


本能的な恐怖に僅かに後退った。


少女は静かに剣を構える。


白銀の髪が、


月風に揺れる。


その姿は、


まるで夜の中へ溶け込む月の化身のようだった。


そして。


少女の唇が、


微かに動く。


何かを囁いた。


だが、


ロイドには聞き取れない。


声ですらないほど静かな響き。


それなのに。


世界だけが、


確かに応えた。


次の瞬間。


少女の姿が消える。


いや。


ロイドの目では、


追えなかった。


ただ。


夜の闇に、


一本の月光だけが走った。


細く。


鋭く。


静かな一閃。


音すら置き去りにして、


白銀の軌跡が森を横断する。


そして。


ケルベロスの動きが止まった。


三つの首が、


微かに揺れる。


沈黙。


燃える森の音だけが響く。


やがて。


ズルリ――


巨体が、


音もなく斬り裂かれた。


断面はあまりにも滑らかだった。


焼け焦げてもいない。


潰れてもいない。


ただ、


月光で切り取られたように、


静かに分かたれていた。


遅れて、


黒い血が宙へ舞う。


だがその血すら、


白銀の粒子へ変わり、


夜の中へ溶けて消えていく。


意識が段々と朦朧とする…


僅かに捉えた少女は既に、


ロイドの前へ立っていた。


何事もなかったように。


静かに。


その手の中の光の剣を、


軽く払う。


すると刀身は、


さらさらと月光へ崩れ、


夜空へ還るように消えていった。

銀髪の…はロイくんが意識朦朧の中での印象


で書いております


ほんとはどんな髪なのでしょうか…


次回も皆様にお話を届けられるよう、頑張り


たいと思っております


読んで頂き、ありがとうございました


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