次の行き先
宿へ戻って、荷物を片付けていく。
「終わったね」
大きく息を吐いて、肩の力を抜いていった。
「ええ。最後まで、ちゃんと」
アプリルが優しく微笑んでいた。
「で、これからどうする」
下の食堂へ行って、椅子に座りながらニコラさんが私達に問いかけた。
テーブルにはスープやパンなどが置かれている。
「お店は完全にお返しします」
「分かった」
ニコラさんは頷いた。
これで、もう戻れない。
少し寂しいのに、不思議と後悔はなかった。
そして彼は地図を取り出した。
「この街は、ここだな」
廃都の砂漠に近い場所を指さす。
「で、この国の首都はここから北にある」
道を辿るように、とある場所に指を置く。
二重丸がある場所。
「首都ならここよりも仕事はある」
そう落ち着きながら説明していった。
「人も多いし、流れも速い」
私はそれに耳を傾けていく。
「露店、給仕、倉庫、何でもな」
思ったより、色々ありそう。
良さそうに思えてくる。
「首都……」
その響き、この世界でも変わらない。
「大きい場所、だよね」
東京やソウルみたいな場所なのかな。
いや、世界が違うから雰囲気も同じじゃないけれど。
不安もあるけれども、期待も浮かんでいた。
今度こそ、普通に生きられるかもしれない。
「ですが、この街に留まるよりは安全ですわ」
アプリルはそう呟いた。
私を見つめながら。
「安全?」
ここでも安全はあるかもしれないけれど。
「探られている以上、固定される方が危険ですから」
あの人物。
それ以外にもいるかもしれないけれど。
もし、この街にあの聖女様がやってきたら、それこそ大変。
「まあ、古都って手もあるが」
ニコラさんはついでにという感じで、その言葉を出した。
指でその場所を。
「古都?」
どういう場所なんだろう。
「古い図書館と学者ばっかの街だ」
「確かにそうですね」
すると、ロータスが頷いた。
知っているんだ。
学院でメイドとして本の整理もやっていたけれども、意外だね。
「昔の記録だの、”異界”だの」
さらにニコラさんは続けていった。
「そういうのを追っている変わり者もいる」
「異界……」
私から見れば、この世界が異世界なんだけれども。
こっちから見れば、”敦賀佐奈”としての世界も異世界だよね。
他の異世界かもしれないけれど。
「気になりますわね」
アプリルが顎に手を当てて、興味深そうにしていた。
「でも、まずは首都、かな」
私はそう答える。
古都の異界っていうのも気になるけれども。
「ええ、そうですわね」
「今度こそ、生きていくためにも」
アプリルもロータスも頷いてくれた。
これで方向は決まった。
「紹介状は書いてやる。俺の名前くらいは、少しは通る」
「ありがとうございます」
私は頭を下げて、ニコラさんにお礼を言う。
「ただし」
一拍置いて続けた。
「決めるのはお前らだ」
私は軽く頷く。
「次は首都だね」
「ええ」




