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破滅の女神とは【27】

「そうなれば、ですね? どうなると思います? なんと、部屋数も一杯増えます! 増えてしまいやがります! ここがパインさんの中で一番の減点ポイント! もう、一番あってはならない事だと考えております!」


「……なんでだよ?」


「だって、部屋数が一杯あったら、パインさん専用の個室が出来てしまいますよね?」


「……まぁ、出来るだろうな?」


「そしたら、ミナトさんと一緒の部屋に寝れなくなっちゃうじゃないですか! 嫌ですよ! せっかくミナトさんへの感情が復活したばかりだと言うのに……これじゃあ、蛇の生殺しじゃないですか!」


「うん、分かった。引っ越そう!」


 超絶真剣な顔になって叫んでいたパインの言葉を耳にした瞬間、ミナトはソッコーで決断していた。


 その瞬間、パインは『ガーンッ!』って顔になり、ココナッツは違う意味で『ガーンッ!』っと、ショックを受けていた。


 ココナッツが衝撃を受けていたのは他でもない。


「……え? パインって……ミナトと一緒に寝てたの?」


 今知った、新事実!

 ココナッツは、顔面を蒼白にした状態でよろめき……自分の耳を疑う様な仕草を見せていた。


 直後、リオが口早に叫んで来た。


「そうなんですよ、ココナッツ様! このパインと言う泥棒猫は、お兄ちゃんが馬鹿なのを良い事に、口八丁で上手に言いくるめては、ちゃっかりお兄ちゃんのベットに潜り込んでいたんです! これは許せませんよね!」


「……た、確かに、これは許しては行けない破廉恥な行為ね……ふふ、それじゃあ引っ越しはいつにしましょうか? 今直ぐでも構わないわよ? うん、そうしましょうか?」


 物凄い勢いで叫ぶリオがいた所で、ココナッツも素早く話を畳み掛けようとして来た。

 

 ……かくして。

 ミナト達の自宅が、中心市街地の一角にある無駄に大きな屋敷へと、即日中に引っ越しが開始されると言う……中々に大概な状態へと発展して行くのだった。




          ◀︎◀︎◀︎◀︎◀︎




 他方、その頃。


「……さて、そろそろこの街ともお別れね〜?」


 夕暮れ沈む街並みの中、晴れやかな笑みを混じらせながらも口を動かすりんごの姿があった。


 ミナトが卒倒した後、りんごは自分の娘でもあるパインとココナッツの二人と、あれこれと話を始めた。

 

 会話のメインは、他愛のないお喋りだ。

 ココナッツが自分の非を認め、しっかりと反省をした上でパインに謝りを入れ……その上で、しっかりと仲直りをした状況を確認していたりんごは、それ以上深く言及する事をやめにしていた。


 りんご的に言うのなら、パインとココナッツは同じ存在だ。

 双子の女神と言うよりも、ほぼ全く一緒の存在……限りなく同一人物に近いレベルと述べても差し支えない。


 それだけに、パインとココナッツは互いに協力し合える要素が、最初から存在していたのだ。


 そして……二人が力を合わせる事が可能になったのなら、


「もう、この街は安泰よね?」


 りんごは誰に言う訳でもなく呟いた。


 唯一の不安材料があるとするのならば、なんらかの拍子で破滅の女神になってしまう危険性があるかも知れないが……それすらも、今の二人ならば乗り越えて行けるだろう。


 否、違う。


 二人ではない……三人だ。


 かつてのアダムが転生し、再びパインとココナッツの二人と巡り逢った。

 元々、安泰と述べても良い状況が生まれていた上に、更なる盤石の要素が追加されたと見ても過言ではないだろう。


 強いて言うのなら、あの二人がミナトを争う様にして取り合う様な事をしなければ良いのだが……。


「……まぁ、それはそれで楽しい事になるかも知れないけどね」


 ……それでも、片方が破滅の女神になる事はないと、りんごは思っている。


 何となく……本当に何となくではあったのだが、ミナトはきっと二人が悲しむ様な事をしないんじゃないのかな?……と、思えてならなかった。


 どうして、そう思うのか?

 実は、根拠と言う根拠はない。


 強いて言うのなら……勘だ。


 何とも曖昧で、不確定な話ではあるんだけど……しかし、それでもりんごは思うのだ。


 ミナトと言う少年は、かつてのアダムよりも、色々と上手にパインとココナッツの二人と付き合ってくれる……と。


 だから……だから。


「頑張りなさいよ……母さんは、アンタ達をいつでも見守っているんだから」


 答え、りんごは感慨に浸るかのような口調で、優しく微笑んでいた。


 ……そして。


「……と言う、しんみりした空気を独りで寂しく作り出しているりんごさんでした……まる!」


 りんごの微笑みは、間もなく苦々しい物へと大きく変化して行った。

 

 理由は簡単。


 余計なナレーション染みた物を、マイク片手にやってくれるみかんの姿があったからだ。

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