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破滅の女神とは【18】

 それら一連の流れを見て、りんごはクスッ……っと、軽く笑いながらも、


「ふふ……やっと、昔を思い出してくれたみたいね」


 軽やかな口調で、声を吐き出していた。


 何気に、りんごが見たかった構図が、今のパインとココナッツが見せる態度だ。

 まぁ……内臓破裂級の苦しみを受け、見る間に顔を蒼白にしては、嫌な汗が止まらなくなってしまったミナトの姿はともかく。


「パインとココナッツはいがみ合う存在じゃないわ? 協力し合う存在なんだから」


 りんごは笑みのまま答えた。


「いや……りんご。あれは全然協力している様には見えないんだが?」


 程なくして、みかんが不思議そうな顔になってりんごへと声を掛けた。

 自称・主人公は、ここに来てようやく言葉を発する事が出来た。


 だからだろうか?

 心成しか? 少しだけ嬉しそうだ。


 単なる会話をするだけだと言うのに、心成しか嬉しそうな顔をする事が出来る時点で、地味に変なヤツと言えたのだが……りんごの観点からするのであれば、みかんと言う存在その物が変人の教科書の様な存在であった為、特に違和感を抱く事なく、普通にスルーしていた。


「良いのよ。あれもまたコミュニケーションの一つだしね? 互いに本音を言い合える仲とでも言えば良いのかしら? 少し前に見せたココナッツの様な、独りよがりで一辺倒な上に、思い上がった思考を元に威張り散らしているのであれば、話は全然違って来るけどね? 今の様に自分の気持ちをストレートにぶつけ合う態度なら大歓迎よ?……それに」


 そこまで答えると、りんごは柔和な笑みを色濃く作ってから、再び口を開いて答えた。


「私は、パインだけを贔屓するつもりはないわ? 今回はココナッツがちょっと調子に乗っていたから、その部分を正す為に懲らしめたけど……実際には平等に接するつもりよ? もちろん、ココナッツにだってアダムを愛する権利はあると思っている物」


「……ほうほう。つまりだ、りんご? お前はあの二人が無駄に一人の男を取り合う姿を見て『微笑ましい光景ね☆』とか言うつもりなんだな? みかんさん的に言うと、全然微笑ましくないぞ? むしろ、殺伐としているのだが?」


 上機嫌のまま答えたりんごに、みかんはかなり素朴な台詞を返してみせた。


 この言葉に、りんごの眉が捩れた。


 特に『微笑ましい光景ね☆』と言う部分に、りんごはイラッ! っとした。

 みかんなりに、りんごの声真似をしていたからだ。

 しかも、ビミョーに似ているから、余計腹立たしい!


「うるさいわね! 別にそんな『微笑ましい光景ね☆』なんて思ってないわっ⁉︎ 単純に純粋に、今ある光景を見て、母親としてホッと安心しているだけよ!」


「……一人の男を奪い合っている光景を見て安心する母親なんているのか? いたら、世も末だぞ……?」


「いちいちしゃくに触る事を言うのねぇ……ともかく! これは、アンタには関係のない話よ!」


「そうだな……みかんには関係ない話だ……が、りんご。お前も関係なくね?」


「私は母親だから関係あるのよ!……ああ、もうっ! 腐れキノコと話しをするとイライラして仕方ないわ! ともかく放って置いて頂戴! パインとココナッツの二人が、私の知っている普段通りの二人に戻った事を確認出来たから満足よ! 後は、若い子同士でやれば良いのよ!」


「ぷっ……まるで年寄りみたいな言い方だな、りんご?……ああ、そうか。りんごは確かに大年増だった」


「私よりも年長者のアンタにだけは言われたくないわよっ!」


「みかんは二十歳だぞっ! お前より全然若いわっ!」


「なんで、自分の姉が妹の私よりも年下になってんのよっっ!」


 みかんとりんごの会話は、相変わらずグダグダだった。

 ここに関して言うのであれば、ある意味でいつも通りだった。


 よって、周囲にいたメンバーも特に気に止めた様子がない。


 一応、近くにはういういやいよかんの二人なんかも居たのだが……戦闘が終わってから以降は、完全に興味を失ってしまったらしく、


「なぁ、いよかん? これからどーする? 私さぁ〜? 腹減っちゃってな〜? 街に戻ったら飯屋に行かね?」


 能天気な口調でいよかんを食事に誘ったういういに対し、


「ああ、良いね〜! キータも美味しい食べ物が一杯あって良い街だよね〜! 私、ハタハタだっけ? あれ、食べてみたい!」


 いよかんもいよかんで、観光気分全開の台詞を臆面もなく返していた。

 とどのつまり、みかんとりんごの会話なんて、耳にすら入れてなかった。


 本当……みかん達のパーティーはマイペースな連中の集まりだった。

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