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破滅の女神とは【17】

「結局……パインと私の差なんて……全くと言って良い程になかった。いて私があなたよりも勝った物は……運だったんじゃないのかな? 偶然あなたが『破滅の女神になってしまった』と言う事を除けば、私とあなたとの差なんて毛程もない……本当はね?」


 俯き加減のまま答えたココナッツ。

 すると、パインが即座に声を荒げる形で否定して来た。


「そんな事ない! そんな事ないよ、ココナッツ! あなたは頑張った! 長い長い時間を掛けて……こんなに素晴らしい街を、国を作った! 偉業を成し遂げた!……その間、私はただ寝ていただけ……こんな私と、今の今まで頑張って来たココナッツを一緒になんて出来ないよ……だから、ココナッツは素直に自分を称えても良いと思う……私の様な出来損ないの野良女神なんかより、全然立派な女神だ……って、誇って良いと思う」


「ありがとう……パイン。だけど、やっぱり言わせて貰うわ? ごめんなさい……私の思い上がりから、あなたを散々苦しめて来た事は、どうしても謝るべきだと思う……恥ずかしい事に、お母様から怒られて初めて気付く愚かな私だけど……出来れば許してくれたら……嬉しいな」


「許すも許さないもないよ、ココナッツ! 私の視点からすれば、ココナッツは頑張ったもの! 逆に私はただ寝てただけで、ぐーたらな女神としか、他に言えないもの!」


 素直に謝罪の念を顔に浮かべて答えたココナッツの手を取り、パインは元気に叫んだ。


 ……すると。


「じゃあ、アダムと私が付き合う事になっても、許してくれるかな?」


 ココナッツはニパッ! っと、愛らしい笑みを作った。


 自分に対して治療魔法リカバリィを発動させ、身体の怪我を回復させていたのは、ここから数秒後の事だった。


「……え?」


 パインはポカンとなる。

 ハッキリ言って、ココナッツの発言は意味不明だった。


 そして、治療魔法を発動させ、自力で復活を果たしたココナッツが、次に起こした行動も!


「私は完全に悟ったよ! ミナトさんは、アダムだと言う事に……ミナトさんが母様あくまに殺されたと思った時……私の中で、何かが弾けたよ……そして、気付いたんだ。ああ、これは昔……アダムが自殺した時に感じた衝動と一緒だ……ってね?」


 答えたココナッツは『シュンッッ!』っと、風を切る勢いでミナトの背後に回ると、そのままギュッ! っと、ミナトを抱きしめた。


「……っ⁉︎」


 ミナトはポッカーンってなる。

 予期せぬ急展開に、頭が追いついてないと言わんばかりの顔になっていた。


 他方のパインも、思い切り呆気に取られてしまった。


 ただ、パインはパインなりに、ココナッツの気持ちを知っている。

 ……と言うか、むしろ知らない方がおかしいレベルだ。


 ココナッツも言っているが、パインはもう一人の自分と述べても差し支えのない存在だった。


 このお話を細かく読んでいらっしゃる方ならご存知かも知れないが……パインとココナッツは、元々一人のイヴとして生まれて来る所が、ちょっとした手違いで二人になってしまった……いわば双子の姉妹みたいな存在だ。


 双子の場合だと、その後の環境も相まって、最終的には全くの別人へと変化して行くのだが……パインとココナッツの場合は幼少期から向こう百年程度は全く一緒に居る事が多かったからなのか? 現在でもかなり類似する場所が多い。


 その中の一つが、ミナトに対する情熱だ。

 

 厳密に言うのなら、アダムに対する情熱なのだが、現状のミナトはアダムとイコールで結ぶ事が可能な程度にはなっているので、アダムとミナトは同一人物と言う事にして置く。


 すると、どうなるだろう?

 今のココナッツは、パインと同等あるいはそれ以上にミナトを愛していると言う事になってしまうではないか!


「ちょぉぉぉぉっと待ちましょう! そこは大きく駄目です! 凄く駄目です! 別段、ココナッツの事を私は悪く言うつもりはないですし? あなたが誠意を込めて謝罪してくれた事も認めますよ? ええ、そこは溜飲が下がる思いです! 気分もサッパリして清々しいです!……ですけど! それとこれとは別の話だと思いませんかっ⁉︎ 違い過ぎて、何処から講釈を垂れて良いのか分からなくなってしまってますよ、パインさん! 取り敢えず、言葉は要らないです! 直ちにミナトさんからは〜な〜れ〜ろぉぉぉぉっっっ!」


 パインは衝動的に動いては、後ろからミナトに引っ付いていたココナッツを、強引に引き離そうとしてみせる。


 しかし、ココナッツは離れない!


 果たして。


「ぐはぁっ!……おい、パインッ! お前、俺を殺す気かぁっっ!」


 後ろから絡める形で抱き締めているココナッツの腕をパインが力一杯引っ張る事で……結果的にミナトの腹部がギュゥゥゥゥゥッッッ! っと締め付けられ、内臓が破裂しちゃうんじゃないのか級の苦しみを受ける羽目になって行くのだった。

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