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その七十八
三河家の城に一晩泊まる。そしてまたぞろヘリキャプターで今度はニート養成所に移動する。上様が入っている例のワーカホリック用の施設へおもむくのである。
朝食をいただいたのちにすぐ先の施設へ向かうことにしたのは昨夜三河様より、
「これを大写毛様に届けていただきたい」
と書状を手渡されていたからである。わたくしチーフは思いのほかせっかちなのだ。
大写毛様は大勢いた側近たちを一人もふ菓子国に同行させなかったが、妹のキティさんだけは、
「まあキティもあっちにいると、あぶないかもな」
としぶしぶお供を許可していた。ふ菓子国のお住まいに着くと、そのキティさんが、
「おはよう」
とすぐ出迎えてくれる。
「キティさん、しばらくです」
「急なんだもん、お食事、たいしたものないわよ」
「食べてきました。書状を渡したら、すぐ帰りますので」
妹さんにたずねてみると、大写毛様は朝から図書館に行っているという。
「開館時間の三十分もまえから行って開くの待ってるんですよ。何人もそういう人がいるんですって」
「そういうもんですよ。上様も順調にレベルアップしてるようだな」
「三千世さんも、そうしてるの?」
「やってる時代もありました。『図書館紀』のときはね。お弁当持っていったり」
「兄はスーパーで昼食買ってるみたい」
「お金があれば、それでもいいんですよ」
「『おつとめ品しか買わない』って、このあいだも威張ってるんですよ」
「たいしたもんだなぁ。そういう自負心も出てきたんですね」
キティさんがおっしゃるには、以前の大写毛様は何度も何度も側近たちに裏切られてきたので、つねにピリピリしていた。しかしこのように皇帝の座を降りてただのニートになってみると、性格も表情もみるみる明るくなり、神経症的な例のスリラーダンスもいっさいやらなくなったという。




