7
その七
モモヨくんの予想通り、ぼくのポイントはまだ失効していなかった。しかもモモヨくんいわく、
「ゴールドマークを獲得してるなんて、凄すぎます」
とのことで、なにか普通では得られないマークだかシールだかも、どうやらいただけるらしい。
「恩師の書斎に調味料の空き箱ありますか? 贈り物用の」
「たしか本棚の一番上の段にあったな」
「恩師からチーフに渡しておくよう頼まれたんですけど、書斎入ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
モモヨくんは恩師から送られてきたメールを確認しながらぼくが獲得しているポイント分のシールみたいなやつをその空き箱から出してきた。
「はい、チーフ」
「ありがとう」
とはいえ、そのポイントは、スーパーでもコンビニでも地元の商店街でも、けっきょく使えないらしい。
「なーんだ。また恩師のはったりか」
ぼくは、わざわざ紙に貼り付けるのも途端に面倒になった。てきとうにそこらあたりにうっちゃっておく。
「チーフ、失くしちゃいますよ。わたしが貼っておきましょうか?」
「うん。お願い」
モモヨくんはすこしかんがえてから例の〝モテモテノート〟に、このシールを貼り付けてくれた。
「恩師にお礼のメール送っておいたほうがいいですよ」
「うん。ぜんぜんありがたくもないけどね」
そんなわけで、スマホを手に取る。
「あ」
すると例の同士からメールが一件入っていた。長文を億劫がるたちの同士はだいたいいつもこんな感じなのだが、今回も、
「吉報です。電話ください」
とだけ記している。ぼくは通話に切り替えた。
「もしもし、山城さん」
「ああ、環さん、ちょちょちょ、ちょっといま手がはなせなくて――すぐわたしから、かけなおしますね」
こういって電話を切った同士の山城さんは、二、三分後、
「もしもし、ああ、すいません。いまスパゲティー茹でてたものですから」
とそのボロネーゼをもぐもぐやりながら折り返してきた。すさまじいモグつきであった。大迫力であった。大迫力の説明によると、なんでも山城さんはきょう行った地方の古書市で古本を買ったとき、
「いっぱい買ってくれたから、これ、おまけで付けますよ」
と生写真を一枚もらったのだが、その生写真の裏にはなにげに「天堂愛」というサインが入っていたようなのだ。
「ホホホ、ホントですかぁぁぁ!」
「ええ。しかも撮影会をやってる場所も店主からちゃんときいてます。握手もしてもらえるらしいですよ」
「山城さん、偉い!」
「環さんが捜している子と同一人物かわかりませんけどね。違ってたら、すいません」
「そんなぁ、恐縮ですよ。違ってたとしても、とにかくありがとうございます」




