69
その六十九
ややぽちゃロリ熟女さんのご自宅にいると、ついついくつろいで長居してしまう。しかしいまは同門のモモヨくんではなく、エロエロレギンスさんが留守番をしてくれているのである。
「やっぱりちょっと悪いな……」
ぼくは隠者屋敷に帰ることにした。屋敷の玄関を開けると、
「あれ……」
だがしかし、エロエロレギンスさんは不在であった。取り決め通り、枕の下にはパンティーに包まれた伝言を残している。
伝言には、
「藤吉郎様に呼ばれたので、いったん唐辛子帝国にもどります。なるべく早く帰ってきます」
と記されていた。すっかりわすれていたけれど、エロエロレギンスさんは、天下(?)を狙っているかもしれない、わたくし環三千世の動向を探るために、こちらに派遣されているのであった。
「きっとその経過報告だろう――あぁ、今夜はちょっと寂しいな……」
中西さんのお茶のお師匠さんからお詫びのメールが届く。マチコお姉さんは、代わりの見合い相手をかならず近日中に用意すると記していた。正確にいうとお姉さんは中西さんのお母さまのほうを推奨していたのだが、まあそのあたりは本人のなかではもうごっちゃになっているのだろう。
ぼくはなんとなく誰かとしゃべりたかったので、電話してみる。
「もしもし」
マチコお姉さんはすぐ電話に出てくれた。
「もしもし環です。いま電話大丈夫ですか?」
「だいじょうぶよ」
「中西さんの件ですけどね、悪いのはぼくのほうなんで、気にしないでください」
「ごめんなさいね」
「ぜんぜん。あと代わりなんて、とんでもないですよ。そもそもぼくは条件もよくないし」
「そんなことありませんわ」
「そんなことありますよ」
マチコお姉さんは、三十五、六のころの松尾嘉代似の婦人と、ショートカットの芦川いづみにそっくりの婦人をセッティングできるかもしれない、と匂わせてきた。ぼくのスケベ魂がまたぞろざわつきはじめる。
「三千世さんて、料理屋〈むら野〉の常連さんでらして?」
「ええ。親父が商売がらみで、つかってるものですから」
「わたしに紹介してくださらない?」
「これから行きますか?」
「でも、よくって?」
「ずっと禁酒してたんですけど、今晩は飲んじゃおうかな」
「その御婦人もお酒好きなんです」
「えっ! その……松尾嘉代のあれの人ですか?」
「芦川いづみに似てる子もお酒好きよ」
「芦川いづみもいいな……」
「松尾嘉代に似てる人は、飲むと、みだれちゃって、色気がたいへんなことになってよ」
「みだれちゃうのか……」
「お写真だけでも見てみますか?」
「今夜かならずもってきてください。店の場所知ってますか?」
「ええ」
「じゃあ現地待ち合わせで」




