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その六十七
最初は白雲コネクションでお昼ごろ会合する予定だったのだが、御老師様の都合で夕食時まで待つこととなる。
「いったん帰るのも面倒だな」
「ここにいればいいじゃない」
「あっ、そうだ――走ってこよう」
「じゃあ、わたしもロボットタヌキのお散歩に行きます」
まだまだ時間のあるぼくたちは、そんなわけでKの森総合公園へ出かけた。
「わたし里山ゾーン登ってきますね」
「いつものベンチで四十分後に待ち合わせましょう」
「はーい」
ややぽちゃロリ熟女さんといったん別れたのちに一周一キロのコースに入っていくと、
「おや」
きょうはいつもとちがうキッチンカーが横っちょに停まっていた。
この公園に出入りしているキッチンカーはほとんど男性がやっている。だからぼくは売っているものや店員の人相を軽くチェックするくらいで、ランニングを小休止することはまずない。
しかしこの初見のキッチンカーには、もよりのホームセンターで青汁の店頭販売をしていた宮野涼子似の娘がなにげにたたずんでいた。ぼちぼちキャオである。ぼくは足踏みしながら声をかけてみる。
「その節はルービックキューブ、ありがとうございました」
宮野涼子似の大柄な娘さんは、
「ああ! あのときの」
とぼくのことをおぼえていてくれた。
「あのルービックキューブは、思いのほか役に立ったんですよ」
「お子様にあげたんですか?」
「いや、お偉いさんなんですけどね、たいへん喜んでくれたんです」
宮野涼子似の大柄な娘さんはソフトクリームを売っていた。支払い方法は現金のみである。
普通なら義理とスケベ根性とのハイブリッドでもって、一つくらいはぜったい買う。しかしこのときはスマホとハンカチしか、ぼくは持っていなかった。走ったらすぐロリロリ邸にもどるつもりだったからである。
「すいません、今度買いますね」
とぼくは、その旨を伝えた。
「お支払いはあとでもいいですよ」
「でも、なんか悪いなぁ」
「わたし、ここに来るの不定期なんですね――だから電話で確認してくださると、助かるんです」
宮野涼子似の娘さんはキッチンカーから降りてきて、
「はい」
とソフトクリームをこちらに手渡すと、ボールペンでシャシャッとご自身のケータイ番号をメモした。
「お客さんのケータイも教えてくれませんか?」
「いいですよ」
ぼくは宮野涼子似の大柄な娘さんからボールペンを借りると、メモ用紙に番号と名前を書いて娘さんに渡す。
「すみません」
「こちらこそ」
モテモテ動画の投稿者はケータイ番号を紙に書いて手渡してきた場合は相当脈があると断言している。そしてナニできる確率も八十二パーセントと見積もっている。




