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その五十
御老師様の話をきき終えるとぼくたちはいったんコネクションを出て、またおなじ手順でややぽちゃロリ熟女さんの実家にもどった。
「じゃあ、約束のあん摩、やってあげるね」
「お願いします」
ややぽちゃロリ熟女さんにマッサージをしてもらいながらも、ぼくは御老師から頼まれた事柄の段取りをかんがえていた。
「どうしようかな……」
「迷ってるの?」
「うん」
「わたし、もう一回くらいなら、できるわよ」
「キャオ」
「『キャオ』って、もう――わたしだって、まだまだ若いんだから」
ぼくが〝キャオ〟と発したのは、〈国境なき無師団〉が懇意にしている「ふ菓子国」に皇帝を幽閉するにあたって、それを誘導する最適な人物に思い当たったからである。
「沼口隊長だ!」
御老師様の話をききながら、その場で御老師に提案したわたくし環三千世の作戦は、つぎのようなものであった。
「皇帝は〝ギンギンアンデス〟っていうメロンを欲しがってるんですよ」
「ふむふむ」
「だからとりあえず、それをチラつかせて、ふ菓子国に誘導すれば、いいと思うんです」
「なるほど」
「ただ問題は誘導係なんです」
「小蝶ちゃんがいうには、大写毛氏はめちゃくちゃ勘がいいらしいからな」
「ええ。見破られないようにしないと」
かつて沼口隊長はピンク・レディーみたいな宇宙人にさらわれたにもかかわらず単独で地元にもどってきていた。あれもきっと仕込みだろうが、だとしたら逆に隊長の演技力はたいへんなものだということができるわけである。
報奨金は小蝶さんが出してくれるだろう。お金を払えば隊長はかならずこの話に乗ってくる。イカバルタンは例外なのだ。
とりあえずぼくは沼口隊長が駐屯している〈きなこ神社〉へ向かった。
「じゃ、いってきますね」
「わたし、もう一回したかったのに」
テントのなかをのぞくと、沼口隊長は〈ほっかほか、ほかほかほかほか、ほかほか亭〉の、のりタル弁当を食べていた。
「ああ、環さん!」
沼口隊長はのりタルを食べて英気を養ったからだろう、元気がよかった。しかしぼくが探検の仕事を提案すると、
「無理です」
と即答してくる。
「しばらく、バイトが入っちゃってるんですよ」
「どんなバイトですか?」
「高齢者施設のキャンプに同行するんです。指導者として。ほとんどの人がキャンプ未経験だから責任重大なんですよ」
「たぶんこっちのほうが、お金はいいですよ」
「でも、もう報酬も、もらっちゃったしなぁ」
「いつごろ帰ってきますか?」
「半年くらい、ずっと指導員として、まわるんですよ」
「そんなに……」
「その法人、全国規模で施設を持ってるんです。五十だか六十だかって、いってたかなぁ」
「ずいぶん評価されましたね」
「まあ当分飯には困らないですよ。うははははぁ」
そんなわけで、ぼくの計画はあっけなくくずれてしまった。




