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その五
モモヨくんはキャプチャするVHSをすげ替えるために駅には行かずに先に屋敷に帰っていた。三原氏を見送ったのちにぼくのほうも帰宅する。
「冷蔵庫みたら鶏大根つくれそうなんです。晩ごはん、それでいいですか?」
と妹弟子は洗濯物にアイロンをかけながらきいてきた。
「いいよ」
とぼくはこたえる。そしてシューズをはきかえて今度は公園に向かう。年配の旦那に会えたら先の〈秘密戦隊〉のことをうかがってみようとかんがえていたのだが、きょうも旦那は公園に来てはいなかった。年配の旦那とは走る時間帯が微妙にズレているのだろう、思えばしばらく会っていない。
一周一キロのコースで四キロほど走り、そのまま屋敷まで走って、だいたい五キロということにしようと思っていたのだが、コースから外れようとすると、ちょうどエロエロレギンスの子がコース内に入ってきた。
そんなわけでぼくは予定を変えて、もう五周ほどコースを走ることにする。しかしエロエロレギンスの子はぼくよりも走るスピードは速いし、コースも里山ゾーンの上り下りなども交えて走るトレイル系のランナーなので、このたびもお話しする機会を得ることはできなかったのだった。無念である。マンモス無念である。
「こんにちは」
「ああ、どうも」
顔見知りの〈Kの森総合公園〉の用務員さんと軽く言葉を交わす。用務員さんがいうには公園の奥のほうのまだ開拓していない森みたいな場所で、キャンプだとかトレイルランの訓練だとかを勝手にやっている人たちがまたぞろ増えてきているようだ。
「どうもテレビかなんかで、一時ソロキャンプとかいうのが流行ったみたいなんですよ」
「あのやらせっぽい探検隊の番組の影響もあるんですかね」
「でも川口探検隊が流行ってたのは、ずいぶん昔だけどね――お兄さん、若いのによく知ってるね」
ぼくはキャプチャするVHSに録画されていた先の古いテレビ番組をわりと面白がって観ているのだ。
ところで、キャプチャしたビデオのなかで、ぼくがいちばん熱心に観ているものは「桃色の裸婦」という連続ドラマである。
ちなみに「好きな異性」の枠にも「ナニしたい」うんぬんの枠にも上位にランクインしている天堂愛ちゃんという女優は、このドラマに出演しているのである。
とはいえ天堂愛ちゃんは、インターネットで検索してもまったく情報が出てこない。だからもしかしたら、この一作だけで女優の仕事は辞めてしまったのかもしれないのである。
それでも三十五、六のころの松尾嘉代や「大鉄人17」の十八話と十九話に出ていた上田かおり(役名はるか)さんよりも上位にいるわけだから、たいへんな逸材であったことは読んでくださっている方にもわかっていただけるはずである。
ネットで調べられなかったので、ぼくはダメ元で同士にいちおうお願いしておいた。図書館をホームグラウンドとしている同士は、古書市などにもよく出向いている。だからわたくし環三千世は、そこに活路を見出したのである。
「天堂愛……うーむ、知らないなぁ」
根が真面目な同士は腕を組んで考え込んでいた。
「まあでも、もし何かみつけたら連絡しますよ」




