46
その四十六
ややぽちゃロリ熟女さんのお宅に泊まることとなったぼくは、翌朝、
「なんか、まだちょっと、ふらつくな……」
といつもより遅めに起床した。ややぽちゃロリ熟女さんはすでに起きていた。とりあえず、シャワーをお借りする。あたまから水をかぶると、すこしからだがシャキッとしてきた。いいかげん冷えてきたので、お湯にもどす。
昨夜着ていたものはもう洗濯を終えて、きちんと畳まれて脱衣室の棚に置いてあった。乾燥機から出てきたばかりなのだろう、衣類にはまだ温もりがあった。
ダイニングルームを覗くと、ややぽちゃロリ熟女さんは朝食の用意をしていた。
「三千世さん、ご飯でいい?」
「いいですよ」
「わたし、いつも朝はご飯なのよ」
「ぼくもご飯ですよ」
「あら、そうなの」
「うん。昔からね」
「好きなもの、飲んでてね」
「はい。すいません」
冷蔵庫を開けると、オレンジジュースがあったので、それをいただく。皇帝に献上するメロンも冷蔵庫に入っていた。メロンは〈いなげや〉の箱に入っていた。ギンギンアンデスという文字は見当たらなかった。ゆうべから見当はついていたが、やはりこれはただのメロンなのだろう。
なんとなく手持ち無沙汰だったので、テーブルの上に置いてあったリモコンで普段は観ないテレビを点けてみる。健康食品の番組がやっていた。出演者はなにかに大げさに驚いていた。ぼくはすぐテレビを消す。
テレビのラックには何枚かDVDが重ねて置いてあった。ぼくはふと思いついて、ややぽちゃロリ熟女さんにたずねた。
「ロリロリさん、三原監督の映画、もってませんか?」
「あるわよ。監督さんに直接いただいたのが」
ぼくは重ねてあったDVDを調べてみる。イカバルタンが登場する映画のDVDはビニールがかかったままだった。
おそらくややぽちゃロリ熟女さんは、この映画をまだ鑑賞してはいないのだろう。パッケージだけ見ていると、たしかにちょっと視聴する気にはなれない。
「これ開けていいですか?」
「どうぞ」
ぼくは朝食をいただいたのちに映画を鑑賞してみることにした。ギンギンアンデスにもバイアグラにも上様が納得してくれなかった場合、最終的にはぼくがビンビンマツタケを取ってこなくてはならない。京子の人質問題が効いているからである。
だからイカバルタンの情報をできるだけ収集し、弱点をみつけておきたかったのである。ぼくだって、まだ死にたくはないのだ。
そんなわけで、映画を観る。かなり辛かったが、とにかく視聴しつづける。
「キャオ」
「どうしたの?」
「めっけたぞ」
まずは一つ、イカバルタンの弱点をぼくは発見した。
「メモアプリに書いておこ。しめしめ」
イカバルタンはカモメが苦手だったのである。
「キャオ」
このあとすぐ二つ目の弱点もみつける。二つ目はウミネコである。イカバルタンはウミネコも苦手なのだ。
「キャオ! キャオキャオ」
三つ目もみつける。三つ目は梅干しだ。
「よーし! これなら戦えるぞ。しめしめ、しめしめ。じつにしめしめだなぁ」
ゆうべとはまたちがうエプロンをかけたややぽちゃロリ熟女さんが、ぼくのとなりにすわってきた。そしてからだを寄せてくる。
「なにがしめしめなの?」
「弱点みつけたんです」
「こっちも、もう戦えるんじゃない?」
「こっちは戦えること自体が弱点なんです」




