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その二十五
翌日の朝飯でもぼくは牛鍋を食べた。モモヨくんは、
「もういらない」
とのことだったので、こちらでぜんぶ食べてしまうことにする。モモヨくんはパン断ちをしているので、ご飯とみそ汁とたまご焼きと鮭と漬物で軽く朝食を取っていた。
ぼくのほうはご飯も食べたが、たまごサンドイッチもまだ一切れ残っていたので、牛鍋、白米、サンドイッチという変則的な朝食になっていた。それでも冷蔵庫のなかが片付いたので気分はよかった。元気も出てきた。
「朝から肉食べると活力がみなぎるなぁ」
そんなわけで、今朝はフォルダの整理からスタートする。某作品の某熟女系女優は朝からやはりぼくとおなじように活力がみなぎっていて、浮気相手の家にいわゆるナニのほうを頼みに行こうとしていた。
「いても立ってもいられないって、感じだなぁ」
某熟女系女優は旦那への言い訳だろう、
「散歩に行ってきます」
と断ってマンションを出た。某女優はカムフラージュなのか、スポーツウェアに着替えてもいる。
「チーフ、お客さんですよ」
ぼくのイヤホンを後方からはずしてモモヨくんがこうおしえてくれた。
「お客さん? 朝からだれだろう……」
玄関に出ると、エロエロレギンスさんが、そわそわしながらたたずんでいた。いても立ってもいられないという趣であった。
くノ一のお嬢さんは、
「朝から突然すみません」
とあやまったのちに、わたくし環三千世にまず、
「三千世様、親方様からのお土産どうされました?」
ときいてきた。
「牛肉ですか?」
「ええ」
「牛肉ならゆうべ食べましたよ。たいへんおいしかったです」
「そうですか」
「朝も残りを温めて食べました。活力がみなぎってます」
「みなぎってますか?」
「みなぎってます。超みなぎってます!」
「やっぱり、もう症状が出始めているのかもしれないわ……」
エロエロレギンスさんは大粒の涙をこぼしながら、
「早く出かける支度をしてください」
とせかしてきた。だからぼくは、いよいよこの子はいても立ってもいられないのだなぁと思いつつも、その理由をいちおうたずねてみる。
くノ一のお嬢さんがいうには、いま現在お国のほうでは「牛牛病」なるものが流行していて、行動制限みたいなものも発動されているという。
ちなみにその「牛牛病」なるものに感染してしまうと、比喩ではなく、本当に人が牛に変わってしまうらしいのだ。
「ほおほお、人が牛にねぇ、気の毒だなぁ、嫌だ嫌だ――ん?」
「親方様が贔屓にしている牧場の牛が感染源なんです」
「じゃあ、ぼぼぼ、ぼくがぼくが、たたた食べた食べた牛肉は……」
「感染しているお肉です」




