↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨乳が価値のない世界へ――セクハラに疲れ、看護師を辞めて、異世界で聖骨院を開業する  作者: 橋守 六花
第三章 ギルド開設編 〜治療の光と、つきまとう影〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/102

第九十六話 遊毒茸が招く、冤罪と戦争の影

 ファルケ国を出てから丸二日、アルバスたちは無事モズ国の港へと到着した。

 ファルケ国が用意してくれた馬車へと乗り込む。


「この港から栽培場まで、馬車で一日半かかります……そして近くにコンカ家の別荘、という名の監視小屋があるそうです」


 目的地に向かう道中、ストリとレンカクがコンカ本宅から押収した資料について、テリクスが説明する。


「詳しい位置関係はわかるか」

「はい、こちらの地図に」


 アルバスは地図を見て眉をひそめる。

 そしてギブスと通信機で、連絡を取り合っているバッセルに質問をする。


「監視小屋の奥に栽培場か……監視は何人かわかるか?」

「ギブスからの報告だと、長方形の塀が建てられており正面入り口にモズ国の騎士が二人。

 その周辺を四人のコンカ家の家臣が、栽培作業をしながら、交代で巡回もしているそうです」

「できればモズ国の騎士を避けたいところだが、入り口は他にないのか?」

「残念ながら発見できなかったそうです」


 地図を見ながらしばらく考え、アルバスはコルヴァンに視線を送りながら口を開いた。


「どう思う?」


 その一言で全てを悟ったようにコルヴァンも答える。


「まあ、やるしかないでしょう」

「さすがコルヴァンだな……羽澄は連れてこなくて正解だった、絶対反対しただろうし」


 にこやかなアルバスの様子に、小さくため息をついて。


(確かに一番心配するのは、羽澄だろうな)


 と、母国で待つ愛おしい人を思い出していた。



 それから三日後、モズ国にリューゲル国の船が到着する。

 ガルーダ国王を迎えたのはモズ国の国王、そして五十人ほどの騎士たちだった。


「ずいぶん警戒しているようだが、いささか失礼ではないか?」


 ガルーダ国王が、騎士の多さを不満げに指摘する。

 しかし国王は、悪びれる様子もなくニヤけながら答えた。


「軍事国家として、迎える国よりは騎士を多く準備することにしている。

 我が国なりのプライドだと思ってくれ」

「……まあ、いいだろう。

 しかし、日数をかけて来たのだから、それなりの対応を期待している」

「ああ、もちろんだ……我が国の訪問を歓迎する」


 国王同士のお互いを探るような会話に、周囲の緊張感は計り知れない。

 普段冷静なヒルンダも、表には出さないが内心、気が気ではない。


 カモイ国王が先導し、お世話係と十人の騎士を船に残し、ガルーダ国王とトキアス……そしてヒルンダを始めとした幹部たちを連れて、モズ国の城へ案内されるのだった。



――パタン


 モズ国の護衛に先導されながら、話し合いの場である謁見室のドアを閉めたトキアス。


「ずいぶん時間が掛かったようだが……世界を股にかける商人のトキアス殿が、まさか緊張されているのか?」

「当然リューゲル国とモズ国の国王に挟まれれば、誰でも緊張はするでしょう」


 モズ国の城に着くと、交渉前の身支度として厠を案内される。

 それも一人ずつ、必ず二人以上モズ国の見張りが付く徹底ぶりだ。


「見張りも身体検査もしたというのに、時間制限もされるとは……なかなか手厳しいですな」


 トキアスは少し不機嫌をアピールするようにため息をつくと、カモイ国王はじっとその顔を見つめ――そして頭を下げた。


「気分を害したようで申し訳なかった、心から謝罪しよう」


――この男に交渉の主導権を握らせるわけにはいかない。

 となれば不本意であっても、機嫌を損なわないよう頭を下げるのが一番の得策と言える。


「まさかカモイ国王が頭を下げてくださるとは、私の方こそ少し感情的になりました」


そう言いながら軽く頭を下げるトキアス、だがその表情に反省の色は見えない。

食えないトキアスの立ち回りに、カモイ国王はこっそり舌打ちをした。


 そして話し合いはカモイ国王から始まった。


「この度はわざわざお呼びだてして申し訳ない、リューゲル国とは以前から同盟を組みたいと思っていたのだ。

 何せ鉱山はこの世界で一番大きく、資材が豊富……そして宝石の名産地でもあり、優秀な魔法使いも多いと聞く」

「褒めていただき光栄だ」

「そしてもったいないとも思う……それだけの資材や優秀な人材があれば、領土を広げるなど容易いだろうと」

「……そのようなこと、思ったこともないな」

「なら、これから考えれば良い……戦闘において、優秀な人材が多い我が国と、資材が豊富なリューゲル国が組めば、全ての国を統一できる」

「……」


 予想していたとはいえ、ストレートな話にガルーダ国王は眉をひそめた。


「悪いが我が国は戦争をする気はない、たとえ勝利に自信があったとしても、無駄な血を流すことはしない」

「やはり、国が豊かだと平和ぼけになるのだな」


 ガルーダ国王の考えに、不満そうに呟くカモイ国王は自国の考え方を語り出した。


「我が国は土地柄作物も一部の地域しか育たず、採掘場となる山もない。

 自らの力を他国に売り、その金銭で国民の生活を守ってきた。

 しかし、この軍事力を活かせる場は少なく、他の国に比べ貧しい生活を強いてきた。

 だが今……目の前に戦争という名のチャンスが転がっている。

 しかもリューゲル国にな」

「我が国に、チャンスとは……何のことだ」

「遊毒茸だ」


 その言葉に緊張が走る。


(確かに増強剤として違法薬物を使うなら、遊毒茸はチャンス……だろうな)


 納得しながらも口を噤み、カモイ国王の言葉を待つ。


「リューゲル国で遊毒茸に関わる問題が、いくつも発生しているらしいな」

「詳しいな」

「彼らに助けを求められたのだ」


 そう言って部屋に入ってきたのは、神妙な面持ちのコンカ・カルガノとサイシン。


「ガルーダ国王、申し訳ございません……親としてこんな恥ずかしいことはありません」

「……どういうことだ、何があった」


 ガルーダ国王の言葉にもう一人部屋に入れられたのは、魔法で腕と口を拘束されたギブスの姿。

 ガルーダ国王の前に座らされ、生気がなく呆然と空中を見ている。


「実は我が息子、ギブスが遊毒茸の栽培と違法薬物に手を出しておりまして。

 ……各国に増強剤と偽り、売り込みをしていたのです」

「リューゲル国内でも、禁制治療布の販売をしており……弟としてとても情けないです」


 カルガノとサイシンが悲しそうに訴えてくる様子を、冷静に見つめる。


「息子は今、違法薬物で幻覚を見ている状態です。

 コンカ家として責任を感じ、リューゲル国を離れようとしていたときに、モズ国からお声をかけていただいたのです」

「その増強剤が、戦争のチャンスだと思ってな」

「何を、言っている……増強剤ではない、違法薬物だぞっ」

「そっちこそ何を言っている、そちらの国では違法薬物なんだろうが……我が国では増強剤として使用可能とする法が改正された」

「なっ」

「だから特に問題はないのだよ……ただギブスはそちらの国では法を犯している……だから我が国に迎えようと思う。

 そしてコンカ家も、ギブスの責任を取る形で我が国に移住する」


 息を飲むガルーダ国王たちに告げられたのは、アクロが見つけた遊毒茸の生息地は、ギブスが作っていた栽培場だったこと。

 そしてギブスが作った増強剤を、全てモズ国が買い取ること。


 そして。


「これが最後の交渉だ、我が国と同盟を組み、安くで鉱石を卸せ。

 そして生息地……ではなく、栽培所から遊毒茸を提供し戦争に協力しろ。

 さもないと、最初の戦争はリューゲル国で行うことになるぞ」


 一番恐れていた交渉が始まった。


初登場

モズ国 国王:アウトリ・カモイ


登場人物

第二王子:ヴァルディア・アルバス

護衛騎士剣士:サーン・テリクス

新冒険者ギルドマスター:アルセイ・バッセル

国王:ヴァルディ・ガルーダ

女宰相:ホウヅキ・ヒルンダ

ギブスの弟:コンカ・サイシン

ギブスの父:コンカ・カルガノ

貴族でギルド運営:コンカ・ギブス

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。