表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨乳が価値のない世界へ――セクハラに疲れ、看護師を辞めて、異世界で整骨院を開業する  作者: 橋守 六花
第二章 聖癒布躍進編 〜消えた王女の行く末〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/67

第五十九話 王国を支える、たった一人の犠牲者

「こちらへどうぞ」


 男の騎士が、丁寧な言葉でアルバスたちを案内する。

 案内されたのは牢屋の中ではなく、通路の奥にある壁。


「そこ、壁じゃなくて扉なんですよね……ガシラさんが先ほど入っていきました」

「……彼は今、国王の側を離れられないので、ここに来ることはないでしょう」

「何故離れられないとわかる?」

「表向きは護衛……実際は国王と王妹の見張り……ですね」

「見張り……どうも穏やかじゃないね」


 アルバスの返しに先ほどの騎士は苦笑すしかなかった。

 その騎士が壁を触ると羽澄の言うとおり扉が開き、牢屋とは違う真っ白な廊下が現れた。

 しばらく進むと扉が現れ、それを開けると、中央にベッドがあり、他は生活感がなかった。

 アルバスたちがその部屋を見回していると、騎士二人が素早い動きで地面にひれ伏した。


「無礼を働き……殿下の背中を小突き、申し訳ございませんっ」

「いかなる処罰も受けます、失礼も承知の上です……ですが、どうかお力を貸して頂けませんでしょうかっ」


 必死な男女の声に顔を見合わせる羽澄たち、しかしアルバスとレンカクは驚く様子もなく、二人に優しく声をかけた。


「やはり……俺の目に狂いはなかったな」

「格好付けて言うほどでもないでしょう、お二人の演技はわかりやすいのですから……もう少し身分を隠す動きをするといいでしょう」

「ケツァル国王の一人息子、リュミエ王子殿下ですね? 一度お会いしたことがあったはず。

そしてこの麗しいお嬢さんは……多分、王妹陛下の娘さんかな?」

「……どうして、そこまで分かるのですか」

「生まれついた仕草だね、王族のマナー講師は厳しい人がそろっているから……」


 アルバスも自分の講師を思い出して身震いする。


「さて、おぬしらを信頼する、しないの前に、封印を解いて欲しいのだが……できるかな?」

「はい、私が解除できますので」


 そういうと騎士の格好をした女性が淡い光を放ち、全員を包み込む。


「……解除、できていますか?」

「コルヴァン」

「はっ」


 名前を呼ばれたコルヴァンは、真っ先に羽澄の腕に回復魔法をかけた。


――パアァ……


「あっ――コル、ヴァン……」

「良かった、治った……」

「ありがとう……でも多分、アルバス様は結界を期待されたんだと思うよ」

「……あ」


 羽澄の言葉に、コルヴァンがアルバスを見ると、にやにやしたいやらしい笑顔がそこにはあった。


「まあ、封印が解かれたのがわかったから……よしとしよう」


 ミロルが声を出さずに、コルヴァンの脇腹を肘で突く。


「失礼、しました……結界を張ります」


 真っ赤になりながら結界を張り、盗聴等の魔法がかけられていないことを確認する。


「レンカク殿、二人の様子はどうだ」

「問題ないですね、洗脳も、嘘もついていないです」

「よし……それでは、二人のことを信頼しよう。

 先に伝えなければならないことがある」


 レンカクの確認が終われば、アルバスは早口に説明する。


「ぶしつけで申し訳ないが、血統共鳴魔法で連絡取れるなら、ガシラ殿に触れられると、洗脳される可能性がある……と伝えてくれ」

「「!!」」


 二人は驚き、男がアルバスに問いかける。


「それは、本当、ですか?」


 震える声に、アルバスは深く頷いた。


「罪人カルロは、強制崇拝魔法で人を洗脳し、悪事を働いていたんだ」

「先ほどガシラさんが、騎士を洗脳している姿を見ましたので……おそらくカルロから奪ったのではないかと」

「この国は魔法鑑定者を独占している……確か魔法を移すこともできたはずだ」


 アルバスと羽澄の話に、騎士二人はゴクリとつばを飲み込む。


「……今、父上に報告しました」

「私も、お母様にお伝えしました……正直、まだ信じられませんが」

「洗脳されたものは、俺が解除する事ができる……もちろん洗脳されないことが大事だがな」

「アルバス様の観察眼とお気遣い、そして優秀な人材たち……どうやら我々は本当に、とんでもない方々に無礼を働いていたようですね」


 男の騎士がそういいながらフルフェイスを外す、現れたのは国王に似た、少し幼くもたくましい少年の姿。


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません、僕はアルバス様のおっしゃるとおり、第一王子のリュミエと申します」

「わたくしは王妹の娘、フィリネです。よくわかりましたね」


 そう言って深々と頭を下げるフィリネだが、いっこうにフルフェイスを外す様子が見られない。


「フィリネ姉様もフルフェイスを脱がれては?」


 リュミエは国王の息子でフィリネは王妹の娘だが、年齢はフィリネの方が上らしく、姉のように慕っているようだ。


「いえ、アルバス殿下がおっしゃるような、麗しくもかわいらしくもないので……取りたくないです」

「アルバス様……ちょっとデリカシーないですよ」


 フィリネは引き気味なうえ、羽澄の言葉がアルバスに刺さる。


「申し訳ありませんでした、王女フィリネ……」

「僕は麗しいと思うので、気にすることはないと思うのですが……」


 謝るアルバスに、リュミエがフォローともいえない微妙な言葉を投げかけ、フィリネは渋々フルフェイスを取る。

 現れたのは王妹似であり、どこか羽澄にも似ている美少女、フィリネが顔を真っ赤にしてアルバスを睨んでいる。


「あまり、からかわないでください」


 どうやら言われ慣れていないだけらしい。


(本当にかわいらしいのに……とは、言わない方がいいんだな、うん)


 と、一つ学んだアルバスだった。



「今、我が国は財政の危機に瀕しています」


 そういいながらリュミエは中央にあるベッドに近づく。


「その原因は彼女に頼りすぎたことです」


 そのベッドは大きな魔法石でできており、一人の老婆が眠っていた。


「彼女はダイール……この世界で唯一、聖権魔法が使える人間です」


 決して寝心地が良くないベッドに眠っている……その姿に思わずアルバスは口を開いた。


「この者は、その……生きているのか?」


 ぴくりとも動かず、石の上に寝ているその姿は異常だった。


「……生きているというよりは、生かされていると言った方が正しいでしょう」


 リュミエは悲痛な表情で「本来なら、とっくに引退されている年齢ですので」と、言葉を続ける。


「少しでも長く生きられるよう、動きを最小限にして、魔法石の力で命を繋いでいる状態です」

「今のダイール様は、魔法を管理するだけの存在……先ほどの強制崇拝魔法を移すのも、指示すれば魔法石が反応して自動的に行ってくれます」


 リュミエとフィリネの説明は、到底理解できるものではない……人間扱いをされず、道具のように扱っていた。


「……こんなことが、許されているのか」


 アルバスから出た言葉は、自然と怒りが含まれている。


「こんなこと、許されてはいけないと、僕も思います……だけど、これはダイール様が望んだ罪の償い方なんです」


 辛そうな表情でリュミエが語ったのは、ダイールが犯した罪の話。


初登場

(前回の騎士二人)

王息子:セレーヌ・リュミエ

王妹娘セレーヌ・フィリネ


魔法鑑定士:ダイール


登場人物

第二王子:ヴァルディア・アルバス

神選会の教祖:チャルボ・レンカク

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ