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巨乳が価値のない世界へ――セクハラに疲れ、看護師を辞めて、異世界で整骨院を開業する  作者: 橋守 六花
第一章 聖骨院開業編 〜偽りの王子〜

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第二十話 その布は、国を動かすだろう

20:10に番外編 人物紹介をアップします。

「話し合うのは聖癒布の材料調達方法、販売方法、金額について」


 ロウフはメモをとりながら、にこにこと話を進める。


「ギルドマスターたちには話たけど、薬草関連は冒険者ギルドにクエストで材料確保。

 布は職人ギルドから購入するというのはどうかな」

「それは大変助かります」

「効果によって布の色を変えるのもいいわね、無地ならまとめて格安で提供するわ。

 貴族狙いで、虹色羊の毛で作った布なら、肌の色と馴染むから売れるかも」

「冒険者ギルドもも丁度いい初心者クエストを検討していたところでな、薬草の量を多くすれば、報酬も多くできるしこちらも助かる」


 材料が記載されているメモを診ながら、アクロたちは疑問がわき上がる。


「比較的簡単に取れて安全なものばかりだな……魔法で効果を高めているのか?」


 その質問に対してはコルヴァンが答えていく。


「そうです、効果が高い薬草は危険を伴います。

 そこを魔法で補強しているとイメージしてください」

「でも魔法効果を付与し続けているってことよね? 誘導魔法もそうだけど、効果は消えないの?」

「はい、消えません。

 まず、魔法をジェルに付与して、星蜘蛛の繭で包む。

 その後にシートを貼れば一年ほど効果が継続することがわかりました」

「このシートにそんな役割が! ……で、ジェルの作り方は?」

「言えません」

「えー、残念」

「ロウフさんにならって言えば、商人として企業秘密です」

「コルヴァンさん、手厳しいなぁ。

だけど模倣品が出る可能性は? 偽物とかな……この材料が分かれば可能性はあるよ」


 ロウフの指摘に答えたのは羽澄だった。


「それは大丈夫です、ここに記載されている材料は、全て記載されているわけではありません。

それに魔力を通すと二色に光る仕掛けがあり、これで偽物との見分けが可能です」


 実は現代からも材料を調達していた、それは片栗粉――水に溶くと強い粘りを持つ白い粉だ。

 粘りけの補強と、薬草のにおいを消す効果がある。

 二色に光る仕掛けも、アクセサリーとして調達した宝石を砕き、二色の粉末を混ぜ込んでいる。

 これが見抜かれることはまずないだろう。


「ぬかりないね……分かった、深く詮索するのはこれくらいにしておこう」


 こうして質問を交わしながら話を進めていく。

 色々と話し合いを重ねた結果、金額が決まった。



【聖癒布】


◯卸価格(聖骨院販売価格)

 温癒布/冷癒布:一枚・銅貨十枚 十枚・銅貨八十枚

 鎮炎布:一枚・銅貨十五枚

 鎮痛布:一枚・銅貨十八枚

 再生布:一枚・銀貨一枚


◯商人ギルド販売価格

 温癒布/冷癒布:一枚・銅貨十三枚 十枚・銀貨一枚銅貨十枚

 鎮炎布:一枚・銅貨十八枚

 鎮痛布:一枚・銅貨二十一枚

 再生布:一枚・銀貨一枚 銅貨二十枚


【利益配分】 


・整骨院→卸価格

・商人ギルド→卸売価格との差額

・職人ギルド→布仕入れ料金

・冒険ギルド→クエスト依頼手数料



「温冷癒布は、魔法では治せないこりや張りを治せるんだから、もっと高くして、うちの取り分も増やしたいところだけど。

 まあ、今はこんなもんかな」

「平民も手を出しやすくするのが聖骨院の意向なんだし、妥当だと思うわ。

 それに鎮痛布も、魔法が効かない頭痛も治せるのにこの金額って、本当にありがたいわー」

「再生布も、この機能なら応急処置として使えるからな。

 話し合っている間に、再生布で怪我が治っておるし……確かに体力回復もされている。

 あくまでも回復魔法の補助として使うには、良い値段設定だな」

「あと肌と馴染む布を使った場合は、銅貨六枚増額が丁度いいわね」


 あれよあれよという間に決まる聖癒布の値段と販売方法に、羽澄は真剣な顔で販売を決意した理由を語り出した。


「実はこの聖癒布は平民が聖骨院で治療するために考えました。

 そこでこの売り上げの一部を、保証という形で、平民が受けるために使用したいと考えています」

「必要になってくるのが、ギルドの仕組み、と言う訳か」


 アクロが目を見開き、重みのある言葉で羽澄に聞き返すと、羽澄はまた怖がるように震える。


「そ、そうで、ございます、ごめんなさい、すみません」

「もう、アクロさん! 羽澄ちゃんが怯えちゃうから、あまり怖い凄まないでください」

「わしは怖い顔など生まれてこの方、したことがないのだが……解せぬ」


 ヴェルに茶化されて拗ねるアクロに苦笑して、ロウフは話し合いを続けた。


「治癒師ギルドがないので、この保証に関しては、一時的に商人ギルドで預かろうと思う」

「いいんですか? それだと大変助かりますが」

「いいよ、この先羽澄君たちが、治癒師ギルドを作ってくれると信じているから」

「そう来ましたか」

「……責任重大ですね」


 羽澄とコルヴァンの戦々恐々とした声に、ロウフは笑いながら「冗談だよー」とごまかした。


「それに国がこの商品に目を付ける可能性もある、話が出た場合商人経由の方が何かと都合が良いでしょ

 あと神選会がいやがりそうな商品でもあるし……商人ギルドが、責任を持って守るよ。

 その代わり聖骨院以外の販売は、うち独占で頼むよ」


 ロウフの言葉に少し緊張感を持ちつつ、羽澄たちは商人ギルドに頼ることにした。



「いやー、これでこの国の治療環境がだいぶ変わるかもね。

 ……さて、ここからはギルドマスターとそれぞれ代表のみの会議になる」


 聖癒布について話がまとまれば、羽澄たちがここにいる理由はなくなる。


「本日はありがとうございました、話がまとまって嬉しいです」

「こちらこそ、保証に関しては、聖癒布の販売が開始する前にすりあわせよう」


 こうして部屋を出ようとした羽澄たちだが。


「あー、羽澄君、渡したい物がある」


 トキアスが声をかける。


「これは、羽澄君が使いこなした方が良いだろう」


 渡されたのはいつか見た青い宝石、考えた映像を録画出来る魔法道具だ。


「しかるべき時に使ってみてくれ……そしてその映像を見せてほしい、私が欲しい映像だったら買い取ろう。」

「……その時が来るかどうかは分かりませんが、承知しました」


(たぶん、フォルンさんの件なんだろうな……)


 トキアスの思考を読むことは出来ないが、何か少しでも手がかりが欲しいのだろう。

 そう思いながらギルド連合館をあとにした三人だった。


登場人物

大富豪:ハルビア・トキアス

宝晶生成術兼鍛冶屋 大将:アルケミ・ヴォルクス(ドワーフ)

商人ギルドマスター:ロウフ

職人ギルドマスター:ヴェル

冒険者ギルドマスター:アクロ

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