表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨乳が価値のない世界へ――セクハラに疲れ、看護師を辞めて、異世界で整骨院を開業する  作者: 橋守 六花
第一章 聖骨院開業編 〜偽りの王子〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/53

第十八話 距離感ゼロの上司

「あらー、なんて面白い展開」

「いや、全然面白くないって」


 コルヴァンは一度教会に戻り、ミロルに状況を説明した。


「なので、トリガ夫婦は聖骨院に入らないよう気をつけて、驚くだろうから」

「確かに、しかも……ルバ様、だっけ? 絶対お忍びでしょ」

「絶対、俺もそうだと思う」


 コルヴァンは頭を抱えて「ほんと昔から……」と、幼い頃の苦悩を思い出す。


「まあ二人は大丈夫よ」


 慰めるように、ミロルがそう言いながら、教会のベンチを見ると。


「はあ、また大工ができて、リウスの弁当が食べられるなんて幸せだ」

「私も、今までアウレに頼りっぱなしだったから、自分で稼げるなんて……夢みたい」

「だけどリウスの体が一番大事だから、無理だけはしないでくれ」

「ふふっ、分かった……はい、あーん」

「あーん」


 仲むつまじいトリガ夫婦のやりとりを、ミロルはほっこり、コルヴァンは少しテレながら見つめる。

 怪我のせいで苦しくなっていく生活から、解放されて幸せそうだ。


「こんなことで赤くなるなんて、コルヴァンは初心ね……それとも誰かと想像した?」


 そんなミロルの突っ込みに、コルヴァンの頭には羽澄の姿が……。


(羽澄は、あーんとか、するか?)


 本来ならそこで羽澄が出てくることを不思議に思うのだが。


(いや、やらないだろうな)


 と言う結論に落ち着いた。



 ミロルとの話を終え、教会から戻ると、そこには壁際に追い込まれた羽澄に、覆い被さるように手をついているルバの姿。


「えいや」


 そして羽澄の一言で、ルバの腕が取られ、横に回転しながら関節技を決められている。


「いだだだっ」

「……まだ懲りないんですか、ルバ様」

「いや、そこは俺を心配するところじゃないのか!?」

「明らかにルバ様の過失です、擁護はしません」


 そんな二人のやりとりに、シコウは楽しそうに笑った。


「コルヴァン先輩とルバ様のやりとり、昔に戻ったみたいですね」

「確かにー、ルバ様に指摘できるのは、コルヴァンさんしかいないからな」


 シュバも懐かしむように呟くと、今度はロガモが冷静に呟く。


「というか、今回の目的はナンパではないでしょう」

「はいはい、分かっていますよー」


 投げやりにルバが呟いたあと、鋭い視線で羽澄を睨む。


「シュバとロガモの治療を依頼する、が、悪くなったら、それなりの処罰があると思え」

「……誰に言っているのか、思い知るといいでしょう」


 羽澄は挑発を受け止め、挑戦し返すようににやりと笑った。



「ではまず、シュバさんから、どうぞ座ってください」


 指示通りベッドに座り、手順良く治療の準備をしていく。


「まずコルヴァンさんに電気魔法にて、筋肉をほぐし、魔力の流れを良くして貰います。

 次にコルヴァンさんに透視魔法を使って貰い、骨の位置や状態を見ます」

「へえ、説明してくれるんだ……真似されちゃったらどうするの?」


 意地悪く質問してくるルバの声に、冷静に答える。


「電気魔法を真似するなら、出来るだけ弱く、痛みを伴ったらすぐやめてください。

 透視魔法については、正直体の中を見るので、やめておいた方が良いですね」

「真似して良いんだ」

「この注意を守ってくれれば、全然。

 ただ、骨を動かす技術は、見よう見まねで真似しようと思わないでください」


 説明しながらも透視を終え、これから施術に入る。


「まだ始めて数日ですが、試行錯誤しているところです」


 今度はコルヴァンが口を開く。


「最初は説明が足りず、患者を不安にさせていたので、出来るだけ羽澄が説明してくれています」


 まだ開業したばかりだが、出来るだけわかりやすくしようと話し合って決めていた。


「それでは、まず肩の骨を元の位置に戻します。腕を抱きしめる形になるので、少し我慢してください」


――むにゅん


 言葉通り腕を抱きしめられて、宣言されていたとは言えシュバはつい。


「やわらかっ」


 と声を出してしまった。


「治療だぞ、変なことを考えるな」


 即座にコルヴァンから鋭い声が飛び、怒られた気分になるシュバ、よわよわしく「すみません……」と謝ってしまう。


「いえいえ、不快かもしれませんが、我慢してください。

それでは、少し痛いですよー。さん、にぃ、いち、はいっ」


――ガコッ


「痛っ」


――パァ


 治療からの魔法は連携が取れており、以前より治療時間は確実に短い。


「…はい、腕動かしてみてください」

「は、はいっ」

「え、そんな治療で治るの?」


 一瞬の出来事に、ルバは疑うような声を出したが。


――ぶんぶん


「!! 動きました、腕が回せますっ」


 シュバが嬉しそうに報告する姿に、ルバも指摘のしようがない。


「あとは体のゆがみを治して、ロガモさんも治療しましょう」



「あ、あ、あ、ありがとうございます」


 ロガモも治療が終わり、なぜか真っ赤な顔で羽澄に礼を言う。


「いえいえ、怪我が治って良かったですね」


 顔が真っ赤になっている理由を知らず、羽澄はただただ治ったことを喜んだ。


「へー、本当に治すんだ」


(なるほど、これはすごいな)


 目の前で繰り広げられた治療に、ルバはわずかに目を見開いた。

 そしてにやにや笑いながら、羽澄にお願いをした。


「俺にも治療して、丁寧に診てくれ、さっきみたいに」

「あなたはどこも悪くないので、そんな必要ないです」


 冷たい目できっぱりと断る羽澄は、図星を突く。


「それに、視線に下心が見えるので絶対治療しません」


登場人物

平民夫婦(大工):トリガ・アウレ(夫)

         リウス(妻)

上司:ルバ

元槍騎士:ホージ・ロガモ(クール、ツッコミ役)

元魔法剣士:カグー・シュバ(明るい性格で、ボケがち)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ