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巨乳が価値のない世界へ――セクハラに疲れ、看護師を辞めて、異世界で聖骨院を開業する  作者: 橋守 六花
第三章 ギルド開設編 〜治療の光と、つきまとう影〜

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第九十八話 事件が終わり、その先へ

「コルヴァンっ、おかえりなさい!!」


 ファルケ国の港にて、船から降りようとするコルヴァンに抱きつく。


「おっと……危ないよ、羽澄」


 冷静に注意するものの、コルヴァンもやっと会えた羽澄を優しく抱き止める。


「ただいま、羽澄」

「一応私たちもいるんだけどー。

 ねえ、フォル……」

「トキアス様、ご無事で何よりです」

「フォルン、迎えに来てくれたのか……ありがとう」

「……こっちもか」


 帰りはトキアスが高速艇に乗り、バッセルがヒルンダとギブスと共に王族の船で帰ってきていた。

 そんなトキアスにフォルンは駆け寄り、結果ミロルはポツンと一人ぼっちになってしまう。


「アルバス様、必ずご無事で帰ってくると信じておりました」

「もちろん約束は果たすよ、それに可愛いフィリネ王女のお呪いのおかげだろう」

「……」

「怒った?」

「怒って、ないです……はずか、しい」


 アルバスとフィリネもいつの間にかいい雰囲気になっており、一緒に乗ってきた護衛のテリクスは、ひたすら荷物を下ろしている。

 ミロルは天を仰ぎながら呟いた。

 

「……帰ったら、私も翔さんに抱きつこうっと」


 その時現代で、翔がくしゃみをしたとかしないとか。

 ともかく、全員無事に帰路につき、それぞれ感動の再会を果たしたのだった。



 国王も無事リューゲル国に到着し、ガルーダ国王がアルバスとストリにこの事件について報告をしていた。


「なるほど、お父様は諸国会議へ出向かれる……ということですね」

「ストリ、その通りだ。

 コンカ家だけの話なら我が国で処分を下して終わりなのだが、モズ国が違法薬物を使おうとしたからな。

 しかも法律を変えてまで……国民のことを考えての決断だとしても、許されるものではない」


 ガルーダ国王は神妙な面持ちを浮かべる息子二人に、真剣な声色で話を続ける。


「主要十二国の国王が、中立国のシュバーン国にある大陸盟約堂に集まり、モズ国の暴走として議題に上がる。

 しかし我々も、コンカ家の罪を国内で防げなかった責任を問われるだろう」

「できる限りのことは、したと思いますがね」


 アルバスのフォローにガルーダは頷いた。


「そうだな、私もモズ国が首謀であり、リューゲル国に責任はないと思っているが……そう簡単にいかないのが、外交だよ」


 カモイ国王も言っていたが、リューゲル国は豊かな国だ。

 その豊かさを妬み、揚げ足を取り足を引っ張る……そんなことを考える国は少なくないだろう。


「ともかく諸国会議でコンカ家の処遇を伝える。

 そして、遊毒茸の処分方法を見つけたファルケ国を讃えつつ、二カ国連携して最悪の事態を防いだことをアピールするさ」

「それがよろしいかと」

「それで、その……コンカ家とギブス殿はどうなるんですか?」


 おずおずとストリが問いかけると、ガルーダ国王はとたんに優しい笑顔で答えた。


「安心しろ、コンカ家は裁判にかけられるが、ギブスは被害者だ。

 長年虐げられ、今回無実の罪をなすりつけられそうになった精神的苦痛の賠償や、モズ国で薬を注射された治療費をカルガノに請求する。

 おそらく裁判で、コンカ家名が消えることになるだろうが……ギブス自身は、今まで通り過ごしてくれればいい」

「家がなくなるのなら、彼が望むなら王家の庇護を受けられるよう手配するのはどうでしょう」

「アルバス、それはいい考えだ……が、ギブスあの性格からして、よくないことを考えていなければいいが……」

「大丈夫ですよ」


 心配そうなガルーダ国王の声に、ストリは自信のある表情で微笑んだ。


「彼には、支えてくれる仲間がいますから」

「……それも、そうだな」


 アルバスも納得したように呟き、ギブスに寄り添うバッセルの姿が容易に想像できた。


「ああ、後……二人には感謝する」

「どうしたんですか? 突然」


 アルバスがガルーダ国王の言葉を不思議そうに返すと、懐中時計を取り出してきた。


「アルバスの魔法、とても役に立ったよ……ストリの魔増術のおかげだ」

「いえいえ、ミロルさんが魔法鑑定でこの能力を見つけてくれたおかげです」


 魔法が使えるお守り――それは、ミロルの鑑定魔法によって無職だった青年の才能が見出され、具術師としての道を得た。

 加えてストリの隠れた才能――魔増術によって、魔法を封じた術石から魔法を解放することで生まれたものだった。


「魔増術が封じられた術石をはめれば、他の術石の魔法を増幅させ、誰でも魔法を使えるようになる……お兄様のアイディアには毎回驚かされます」

「俺もまさかこんなに上手くいくとは思わなかったよ……まあ魔増術の効果が十日しか持たないが、今回の旅には丁度良かった」


 魔増術の効果が切れた今、この懐中時計は守護具としての役割だけを残している。


「トキアスも透明化魔法だけでなく、ミロルさんの魔法鑑定も使いこなしていた……珍しい魔法を持つ逸材を記録していたが……やはり優秀な商人はめざといな」

「父上、それは褒め言葉ですよね?」

「もちろんだ……トキアスを敵にはしたくないものだ」


 ガルーダ国王の言葉に、息子二人は大きく頷くのだった。


登場人物

第二王子:ヴァルディア・アルバス

ファルケ国 王妹娘セレーヌ・フィリネ

アルバス護衛剣士:サーン・テリクス

大富豪:ハルビア・トキアス

第三王子:ヴァルディア・ストリ

国王:ヴァルディ・ガルーダ


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