表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/107

# 97 鍛練の森へ その2

セバスチャンの話を聞き、しばらく休憩した後私たちはまた『迷いの森』を目指した

「それにしてのこの新しい草原はなんなんだろうね? ここまで町を広げるのかな?」

「そうですね……門の位置を考えると検問の強化の為とも考えられますかね」

「なるほどなるほど。確かにそれもありだね」なんにせよ国が広がるのは良い事なんだろうし更なる発展が楽しみだね


「いゃ〜思ったより遠いね〜。まだ門が見えて来ないよ? もうお昼過ぎたんじゃない?」

「腹時計が時間を告げてるっ訳?」レイがからかう様な視線を向けて来る。「うっ……否定出来ない所がなんか恥ずかしくて悔しい」

《ボクもお腹空いたぁ〜もうお昼ご飯?》天ちゃんの明るい声にちょっと救われる

「レイもお腹空いたからそんな言葉が出たのではないですか?」シェリーが嬉しそうにレイにツッコミを入れている。うん、今日も平和だ

「お昼にしましょうか? すぐに準備致しますね」セバスチャンがシェリーと共にテーブルをセットしてくれる。なんか今日は食べてばかりな気がするけど、テクテク歩いてるだけでもお腹は空くのです。

「わぁ〜サンドイッチだぁ。美味しそう〜。どれから食べようかなぁ〜。玉子にツナにハムチーズにポテサラサンドに……カツサンドもある〜」

「沢山用意しましたのでどうぞ」とセバスチャンにおしぼりを渡される

「うん。ありがとう。いただきます」色んな種類が食べられる様にひと口サイズにカットされたサンドイッチはとても食べやすくて次々と手が伸びた

「こっちのはジャム? 色んな色があって綺麗だね」私は赤いロールサンドを手に取った「これはいちごジャムかな?」

「はい。いちご、ブルーベリー、ママレード、ピーナッツバター、チョコとご用意致しました」シェリーが説明してくれる

「うんうん。どれも美味しそう。ひと口サイズだからパクパク行けちゃうね」

「サラダとスープもございますので召し上がってください」シェリーに差し出されたスープカップを受け取り、私たちはピクニックの様なランチタイムを楽しんだ


ランチ後も私たちはたわいのないお喋りをしながら迷いの森を目指した。ワイワイと歩いていると不思議と苦にならず迷いの森が見えて来た時もまだまだ元気だった

「あぁ〜やっと到着だね〜。遠かった〜」

「お疲れ様でございました」シェリーがにこやかに声を掛けてくれる

「うん。シェリーも。みんなもお疲れ様。もうひと頑張りだね」私たちは迷いの森の入口を目指した


「さぁ、レベルアップよ〜。訓練とは違って実戦だからちょっと怖いけど……ちゃんと動ける様に頑張らないと……」トーンダウンしながらも私は気合いを入れ直した


「お嬢様」

「ん? 何? どうしたの?」セバスチャンの真剣な眼差しに少し肩に力が入る

「今日はここまでで森に入るのは明日になさってはいかがでしょうか?」

「? 明日? 今日はレベルアップしない……って事?」

「はい。迷いの森は陽があまり差し込みません。昼間でも薄暗い森です。これから陽が傾くとあっという間に暗くなって参ります。この時間から森へ入るのは危険かと」セバスチャンの言葉に固まる

「……暗くなる……確かに危ないね……でも……」気持ち的には少しだけでも森に入りたかった

「森に入っても休息を取れる安全な場所をすぐに見つけられるかも分からないわね」レイが発する

「そうですね。暗くなる前に森から出る事が出来れば問題はございませんが、不安材料がある今は万全を期す為にもこれから森へ入るのはやめた方が宜しいかと。無理をする必要はないのではないでしょうか?」と、セバスチャンが更に続ける

セバスチャンだけでなくレイからももっともな事を言われた。確かに無理をする必要はない。迷いの森……鍛錬の森には今入らなきゃダメな訳では無いのだから

「うん。分かった。今日はこの後ゆっくり休んで明日に備えよう。ごめんね、つい気がせいちゃって」

「いいえ。お気持ちはよく分かります。私の方こそお嬢様の気持ちに反する事を申し上げて」

「ううん。セバスチャンの言う事もレイの言う事もよく分かったよ。私、考え無しだから……みんながこうしてちゃんと言ってくれる方がずっと嬉しいし納得出来るよ。ありがとう」

「まぁ、猪突猛進的な所もサクラらしくて良いと思うわよ」

「うっ……そんな事ない! って言いたいけど……なんか悔しい」愉しげなレイを恨めしげに睨む


野営の為のテントを張る場所を探して、みんなで野営の準備をする。とは言えシェリーとセバスチャンがテキパキとやってくれてて私は邪魔にならない様に気を付けてただけなんだけどね……

特にやる事がなかったので……念の為に結界を張りついでにステルスも掛ける。みんなに生暖かい目で見られたけど良いのだ。使い所があまりない魔法だからこんな時くらいはね


「サクラ様……」テント内を整えながらシェリーに声を掛けられる

「ん? なぁに? 私は何をすれば良いかな?」てっきり指示をくれるのかと思いシェリーに向き直る

「いえ、先程は申し訳ございませんでした」俯きがちに謝罪を言葉を投げかけられる

「えっ? なになに? 謝られる様な事なんて何もなかったよ? 」

「いえ、今日は森へは入らないと決まった時なのですが……」

「うん」

「ワタクシは何も言う事が出来ませんでした」

そう言われれば確かにシェリーからは何もなかったね。と今更ながら不思議な気持ちになる

「そう言えばそうだね。あの時は何も言わなかったけどシェリーは何か思う事があったの?」

「ワタクシは……自分自身の思いが恥ずかしかったのです……」

「セバスチャンやレイが言った事をワタクシも考えました。ですが……それは建前で……ワタクシの本音は『鍛錬の森へ今はまだ入りたくない』でした。そんな考えが頭を過ぎった事が恥ずかしくて不甲斐なくて……申し訳ございません」シェリーが唇を噛み締める

「シェリー……」

「もちろんっ、鍛錬の森でレベル上げをする事は承知しております。覚悟は出来ているはずなのに……いざとなると尻込みしてしまう自分もいて……」

「ねぇシェリー? 私も同じだよ? 私も初めて魔物と対峙した時は凄く怖かった。何度か戦闘にもなったけど……怖くて怖くて不安で……必死だった。精霊の森に入る事になった時もそう。やっぱり魔物と戦うなんて怖くて出来ることなら逃げ出したかった……。でもね、あの時はアレスとアレクが一緒に居てくれた……ふたりが先に立って戦ってくれて私たちを守ってくれて……その時にね、なんて言うのかな……凄く安心出来たの。私はひとりじゃないんだって。怖くて震えてた身体も心も暖かくなって震えも止まったの。信頼出来る仲間が居るって凄い心強いんだなって思った。で、私も一緒に戦う事が出来た。私もみんなを守れる様になりたいな。って凄く思ったの。私もまだまだ全然弱くて頼りにならないけど……みんなで協力し合って補い合って行けたら何倍も強くなれるんじゃないかなって思ってる。シェリーが不安になる気持ちはすご〜くよく分かるよ。私もそうだから……」

「サクラ様……ワタクシは……どうすれば……」

「シェリーはシェリーらしく、シェリーで居れば大丈夫。私は割と当たって砕けろ。出たとこ勝負で頭より体が先に動く……って言うか思いついたらそのまま突っ走っちゃうタイプ? でもシェリーはちゃんと全体を把握してキチンと順序立てて言葉にしたり行動に移したりするでしょう? いつもさり気なく私の行く先を示してくれてる。ホント感謝してるんだよ。シェリーにはシェリーにしか出来ない凄い所が一杯あるんだからっ! もっと自信を持って良いと思うよ」

「サクラ様……」

「それにね。魔物との戦いは私はもちろんセバスチャンやテンちゃんにレイも居るんだから。不安な事なんてないよ。大丈夫。ひとりじゃないよ? みんなが守ってくれる。そしてシェリーも私たちを守ってくれる。気負う必要なんてないから。大丈夫だよ。ねっ?」

「守る……ワタクシにも出来るのでしょうか……」

「うん。もちろんだよ。シェリーはとっても慎重だけど指示を出してくれる時は大胆かつ繊細だからっ。シェリーは凄く頼りになる存在なんだからっ大丈夫」私はまだ少し不安げなシェリーに親指を立てた。シェリーも苦笑混じりではあったけど笑顔を向けてくれた


《分かった。ボク頑張るよ》突然天ちゃんの声が響いた……。レイと話してるみたいだけど……

シェリーと顔を見合わせ「天ちゃん、何を頑張るの?」と天ちゃんに聞きながら近づいた

《サクラさまっ! あのね、えっと……後で分かるよ。ボク頑張るから》


――つづく――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ