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# 93 訓練施設 の強化その4

「はうぅ〜」セバスチャンの無駄のない華麗な動きに思わず感嘆の吐息が漏れる。やっぱカッコ良い〜

そんな私の感想とは真逆に近い「……っ」と息を呑む気配がして視線を向けるとシェリーが目を見開いて固まっていた……やっぱり実戦って感じだと受け入れにくいのかな? なんだか申し訳ない気持ちになる……

「シェリー? 大丈夫?」私の問い掛けにハッとした様に視線を私に移動する

「……大丈夫です……問題ありません」シェリーの目に力がこもる

「申し訳ございません……ワタクシはこれまでサクラ様が魔物と戦うお姿を見て参りました……何も出来ないもどかしさを感じでおりましたがワタクシは……」黙ってしまったシェリーに声を掛けようとすると

「実体を持って戦闘を見るのは以前とは比べ物にならない緊張感がございます……サクラ様はこの様な中で戦われておられたのですね……」シェリーの真剣さに少し圧倒される

「シェリー……」


「サクラ様、ワタクシは最適なサポートが出来るように精進致します。ワタクシの訓練室(へや)にも同じ機能を付けてください」

「えっ? 同じ?……シェ、シェリー? シェリーは直接攻撃はっ」

「申し訳ございません。言葉が足りませんでした。ワタクシは中には入りません。ですがこの様に向かって来る機能が欲しいのです。中に標的になる物を設置して頂けないでしょうか?」

「標的……? なるほど……分かった。いや、良く分かんないけどシェリーの役に立つのね? 任せて」

次に飛んでくるクレーを待つセバスチャンに声を掛けセバスチャンの訓練室(へや)から出てシェリーの訓練室(へや)に移動した


「じゃあ戦闘モードの追加と、フィールド内に的になる物……」人型の置物を設置する

「こんな感じ? 的も動く様に設定する? 的の数とかも変更出来る様にしとくね。シェリーの使い勝手に合わせて変更してみて。他にも欲しい機能があったら教えてね」一通り設定をしてシェリーにパネル操作を説明する

「サクラ、私の所にもシェリーのと同じ機能を付けておいて」レイからのリクエストされる

「了解。追加するね」後でレイの訓練室(へや)に行かなきゃね


「よっし、完了。後はそれぞれで訓練開始ね。みんな無理はしない様に訓練してね」

「それはセバスチャンに言った方が良かったかもね」レイがクールに言い放つ

「ははっ。確かに……セバスチャンが一番無茶しそうかもね」昨日から今日とセバスチャンの様子を思い出して苦笑する

「サクラ様も。くれぐれも無茶はなさらないで下さい」シェリーに真剣な……いや哀願を含んだ眼差しで見つめられる

「う、うん。分かった。ちゃんとするよ」なんか見透かされてる気がして少し狼狽える

「約束でございますよ?」念を押されてしまう

「だ、大丈夫だよ。ほらっクレーは攻撃して来ないしさ……うっ……ごめん……」誤魔化すより昨日の話した方が良いかなと思い直す

「なんかやらかしたの?」レイが楽しそうに目を細める

「昨日、少しご様子がおかしかったのでもしかしたら……とは思っていたのですが……」シェリーが悲しそうに目を伏せる。うっ……この表情(かお)は反則でしょう?!


「あっ……あのね……みんなのパネルには入れてないんだけど昨日私の所には『ランダム』って言うのを入れてたの。順調に練習出来てたんだけど……運悪く? 結構な数が凄いスピードで出て来ちゃってね……じっとしてれば良かったんだけどその時はパニックっちゃって……つい盛大な魔法を放っちゃって……もちろん私に怪我もないし魔力はクレーと壁に吸収されたから問題はなかったよ……うん……」

「そんな事が……」シェリーが驚きと悲しみの混ざった表情をする


「なるほどねぇ〜。それでサクラだけ温かい飲み物を飲んでた訳だ」んッ? 飲みのも?

そう言えばあの後シェリーが入れてくれたのはホットのカフェオレだった。冷たくなってた手と身体が暖まった……

「シェリーありがとう〜」ガバッとシェリーに抱きつく

「私、何も考えないで出されたコーヒー飲んだけど凄く癒されたよ。手も身体も暖まって緊張がほぐれた……今頃気付いてごめん。ありがとうシェリー」私はうるうるとシェリーを見上げる

「い、いえ、ワタクシはただサクラ様のお顔の色が優れない様に感じただけで……ですがお役に立てたのでしたらなりよりでございます」シェリー少しはにかむ様に微笑んだ。うっ、可愛い……

「ランダム機能ね〜そう言うのセバスチャンが喜びそうね」

「そう……かもね。セバスチャンだったら上手く使えこなせそう」私にはちょっと危なかったけど……


《ボクも『らんだむ』欲しい〜》

「天、あなた分かって言ってるの?」レイからツッコミが入る

《分かんないけど凄いんでしょ? ボク凄いの欲しいな〜》

「あ〜はいはい。訓練が進んで天が凄くなったら付けて貰いましょう。まずはこれで訓練よ」

《分かった〜ボク頑張って凄くなるよ。サクラさま、そしたらボクも『らんだむ』ね》

「ふふっ、分かった。レイの言う事ちゃんと聞いて訓練頑張ろうね」


レイと天ちゃんのコンビは上手くいっている。レイは意外と面倒見が良いんだよね。見た目が可愛い子猫さんだからつい幼い子に感じてしまうのだけど……

実は一番大人でしっかり者なのかもしれない。視野が広くて色んな事に気付いてさり気なく促してくれる

ただちょっと小悪魔的な性格のせいか、シェリーとは時折衝突している。……でも思い返すとレイがわざと仕掛けてる感じがしなくもない

もしかしたら何か意図があるのかもしれないな〜なんて漠然と思っている


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


それぞれの訓練室(へや)でそれぞれのペースで訓練を重ねた

セバスチャンからの提案で『クレー』を『魔物』の形で出現させる事になった

この世界の魔物はまだそれほど知らないので、私の内(なか)の某ロールプレイングゲームの魔物キャラ達を登場させてみた

攻撃はして来ないけどステータスに変化を付けてみた。索敵・解析の役に立ってくれる事を願って


そして皆それなりに訓練を積み、出発の日を迎える……

最初の目的地は【鍛錬の森】だ

ここでレベル上げをしてから他の街へ旅立とうと思う


――つづく――


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