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# 84 鍛錬の森 その2

『相談は不要』……セバスチャンの言葉に驚き彼をジッと見つめてしまう

「どうして? みんなの協力が必要でしょう?」

「『鍛錬の森』はノーム様のお力です。人が介入出来る領域ではありません」

「人が介入出来ない領域……」


《そうじゃのぉ。通達で良かろうて。規則を示し、それに対応出来るか否かじゃ》

「ノーム様の仰る通りです。『鍛錬の森』のルールに則って修行場として活用出来るか……更に細かいルールを決めるのがこの国の代表者たちの仕事になるでしょう」


人が介入出来る領域ではない……確かにそうだ。修行が出来る森なんて人間には作れない……私は……

「ノーム様、私たちあれこれ希望を並べてしまいました。勝手を言ってすみません……」

《ふぉっふぉっふぉっ。儂がサクラならどうするか聞いたのじゃ。気に病む事ではないのぉ。儂は今の人間をまだよく理解出来てはおらぬ。『鍛錬の森』が人間にとって良き場所になって欲しいからのぉ》

「ノーム様……」少し淋しそうな声に聞こえたの気のせい?


《鍛錬の森の規則はこうじゃ》


迷いの森を鍛錬の森として利用する規則

1.精霊王の許可を得た者が認めた者

2.制限時間は3日

3.森で負けた場合は強制終了

4.強制終了となった者は次回から指南役と同行

5.指南役は戦う事を認めない

6.再び強制終了となった者は残り時間を剥奪


要約するとこんな感じだ。意外とシンプル? 昔のルールとあまり変わらない……って思ったのは私だけ?


《そうじゃのう。昔は今よりも魔物は多く凶暴であった……『鍛錬の森』は魔物と戦う者たちが臆すること無く戦える様に……言うてみれば予行練習も兼ねておったのじゃ。戦いには慣れも必要じゃが、己の力を過信する事も己の命を軽んじる事も……あってはならんと考えておった》

「そうなのですね……確かに修行と実践は違いますしね……」初めて魔物と対峙した時身がすくんだ事を思い出す……

《己の命を粗末に扱う輩には厳しい指南を望むぞぉ。指南役の手を借りねばならぬ程無謀な輩は……鍛錬の森ではなく人の手によって戦い方を学んで欲しいのじゃがのう》

「人の手? ……だから強制終了になったら残り時間は剥奪だったのですか?」

《そうじゃ。だがお主らは負けを認めない者も再度森へ入る事を望んだ……》

「でも指南役は戦ってはいけないって事なんですよね?」

《指南役の役割はなんじゃ? 》

「えっ? 無謀な戦いを防ぐ為に指導する人?」改めて聞かれると具体的な事は考えてなかったかも

《うむ。指南役は指導者じゃ、己の力量を測れぬ者を導く存在。手を煩わせた時点でそやつは失格じゃ》

「手を煩わせた……指南役が参戦したら失格って事ですか? うっ……厳しい……ですね……」

《鍛錬……己の心身を鍛え技に磨きをかける事じゃ。己と敵の力量を測る事すら出来ぬ者には森に入る資格はないのじゃ》

「分かりました……すみません……私は簡単にレベルアップ出来て良いな……なんて安易な考えでした」

《いや……それで良いのかもしれんのぉ……儂が深刻に考え過ぎておるだけもしれん……》

「いいえ……」私は静かに首を振った

「私たちは鍛錬する場を与えられたのです。戦う事の意味を考えるチャンスなのかもしれません……」鍛錬の森は負けても再チャレンジ出来る……だけど現実は……勝てなくても離脱出来ればまだ良い方だ……でも……


「あっ……指南役は戦っちゃいけないって事は戦いに不安を感じてしまった人のフォローはどうすれば……」

《昔は皆が戦わなければならんかった……じゃが……昔と違い今は選ばれた者が魔物の討伐に当たっておるのじゃろう? 戦いを強いる必要があるのかのう?》

「うっ……それは……えっと……もちろん強いるのはダメだと思います。ただ自信を無くして迷ってしまった人に自分の力を過小評価して欲しくないんです……自信を取り戻して……その後に自分は戦闘には向いていないって結論を出すのは良いと思うんですけど。あっ、でも自分は戦えるって復活してもらえると嬉しいかもです」

「確かに実力者の自信喪失はもったいないですね。やり方は色々あると思いますので詳細は追って詰めて行けば良いと思います」セバスチャンからの提案に頷く。色々か〜。流石だね……シェリーも考え込んでるからきっと思いついた事があるんだろうな〜。後で教えて貰わなきゃ


「あっ!!そうだっ!!ノーム様、森の中で野営……って言うか休息を取るとその時間も含まれますか?」

《ほぉ〜サクラは森の中でずっと過ごすつもりなのかのぉ》

「はい。夜は結界を張って休めたら良いな。なんて思ってました。あ〜結界とかダメですかね……戦う事を目的としてるんだから結界張るとか無理なのかな……」

《ふぉっふぉっふぉっ。サクラはたくましいのぉ。昔の人間は日々自身の限界近くまで鍛錬を積み、少しづつ時間を伸ばして行ったものじゃが……ん? シェリーが青くなっておるぞ?》

ノーム様の言葉にシェリーに視線を移す……固まってる?

「シェリー……ごめん……森での寝泊まりは……ダメかな? 結界張れば魔物に襲われる事は無いから大丈夫だと思ってたんだけど……」

「申し訳ございません……制限時間が来るまで森から出ないと言う事が頭になかったので……少し……面食らってしまっただけです……短期集中も宜しいかと……」

「様子を見ながらでも良いのではないですか? すぐに時間を全て使ってしまわなくても良いのですから」

「あっ……そうだね。レベル1だから少し実戦経験を。って話だったよね。修行時間は残してても良いよね。うん、そうしよう?」

《結界を張れる者は限られておるからのぉ。森の中に行動起点となる場所を定めようかのぉ。その場所では鍛錬は中断扱いじゃ。休息・睡眠・作戦会議、好きな事をするが良いじゃろうて》

「ありがとうございます!!そう言う場所があるととっても嬉しいです!!鍛錬に集中する事が出来ます」


《うむ。まずはサクラ、そなたらで試してみるが良い。魔物の強さは弱いものから徐々に強くなるからの。心してかかるが良いぞぉ》

「はい。頑張ります!!」


――つづく――

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