# 77 新しい仲間 再び?
「えっと……ダメ? 反対……かな?」
《サクラさま〜精霊さんがボクたちと一緒に旅をするの? ボク、精霊さんと遊びたい》
「天ちゃん。ありがとう」私は天ちゃんを抱きしめる
「あたしは別にサクラが決めたんならそれで良いわよ」レイは興味無さげに天ちゃんに埋もれている
「サクラ様……今すぐ返答しなければなりませんか? 反対とか……そう言う訳ではなくて……まだ状況が飲み込めていないと言うか……」ダイアナが珍しくしどろもどろになって言う
「ワタクシも……もし旅の途中で精霊様にもしもの事かあっては。と考えると……軽々しく返事をする事が出来ません」
「えっ? みんなそんな深刻に考えてるの? ごめん……私考え無しだった?」ダイアナとシェリーが顔を見合わせている……
《そう構える事もないじゃろうて》突然ノーム様の声が聞こえて来た
「ノーム様!!」私と精霊さんの声がハモった……
《コヤツの代わりに儂が同行しても構わんぞ〜》
《ノーム様、私が同行する事を許可して下さったではありませんか。それにノーム様は》
《ふぉっふぉっふぉっ。言うてみただけじゃ》
あれっ……なんか精霊さんノーム様に遊ばれてない?
《今すぐ旅立つ訳じゃなかろうて。しばらくコヤツと一緒に過ごしてみてはどうかのぉ。まぁ悪いヤツではない事は儂が保証するぞぃ。それにコヤツもそれなりに強いぞぉ》
ノーム様の言葉は心強いな……
「それは良いですね。素敵なアイデアです。旅に出るのも『エルドラド』が軌道に乗って落ち着いてからだし、それまでにはまだ時間はたっぷりあるよね。その間に親睦を深めましょう? どうかな?」
「そういう事でしたら……」
「ワタクシもその案でしたら賛成です」
「ありがとう、ダイアナ・シェリー」
《しん……ぼく……? ってなぁに?》
「あ〜えっとね。もっともっと仲良くなりましょう。って意味だよ」天ちゃんの問に答えていると……
「間違いではございませんが、この場合『親睦』より『親交』の方が宜しいのではないでしょうか」シェリーから訂正が入った……
「わ、分かった。親交を深めよう! お互いの事をもっともっと知って仲良くなろうね。って意味だよ」
《分かった〜。ボク精霊さんと仲良くする〜》天ちゃんは嬉しそうに精霊さんの回りをクルクルと回った
《ありがとうございます》精霊さんの声も嬉しそうに聞こえた
親睦と親交……どう違うんだろう……後で調べよう……
「じゃぁそういう事で! みんなこれからもよろしくね」
シェリー・ダイアナが「はい」と頷く
《ありがとうございます。こちらこそよろしくお願い致します》精霊さんも心なしか安堵した声色に聞こえた
《精霊さん、ボクお家の中を案内するよ。こっちこっち〜》
天ちゃんが早速精霊さんと親交を深めている
天ちゃんと精霊さんが移動するのを見送って私たちは何となく顔を見合わせた
「ここは精霊様の空間だからもしかして案内しなくても知ってたりしませんか?」ダイアナが疑問をぶつけて来た
「ワタクシもそんな気がしました。違うのでしょうか?」
「うーん、どうなのかな〜。私はこの木は大家さんみたいな感覚でいたんだけど……間借りしてるって言うか……この空間の事は把握しててもただそれだけで、詳しくは気にしていないんじゃないかな〜……この森には沢山の精霊さんがいるけど積極的には関わってくれる精霊はいないから……そんな気がしたんだけど……だからこんな風に話が出来る精霊さんに出会えて嬉しいな」
《そうじゃのぉ、知ろうと思えば全てを把握する事は可能じゃろうが……せんじゃろうのぉ。あやつは真面目な性格じゃから特に……まぁ、今日はサクラの「旅に出る」と言う話が聞こえて慌てて儂の所に来たようじゃがのぉ〜ふぉっふぉっふぉっ。まぁ、本人に聞くのが1番じゃろうて》
そう言ってノーム様の気配が消えた……
「ノーム様って神出鬼没だね」私のつぶやきにふたりが頷いた
家の中を一通り案内した天ちゃんが精霊さんと一緒にリビングに戻って来た
「早速だけど、貴方の事聞かせて貰っても良いかしら?」
《はい。なんなりと》
「ありがとう。みんなは何を聞きたい?」
……静寂がリビングルームを包み込む……
「え〜っと。じゃあ私から良いかな?」
「はい」「お願い致します」ふたりが神妙な顔で答える
「貴方は何処に住んでいるの? ノーム様は祠の奥に住処……空間があったけど貴方にもこの木の中に別の空間みたいなものがあるのかしら?」
「はい。別の空間ではなく私はこちらのお庭を住処とさせて頂いております」
「そうなんだ。ここの庭に……ん〜だからここの庭は広いのかな? 貴方の力なのかしら?」
「……少し違うかもしれません。確かにこの庭には私の霊力……魔力が満ちておりますが、同時にサクラ様の魔力にも包まれておりますので……この空間が広く感じられるのは主にサクラ様のお力かと。サクラ様が思う広さになるのだと思います」
「私が思う広さ? そっか……なんか納得。どこまでも果てしなく続く広い庭って良いな〜とか思っちゃってたから。ふふっ」
「サクラ様、それはもうお庭とは呼べないのでは? 草原がお庭……って」ダイアナからツッコミが入る
「おぉ〜なんか、ここから見える土地は全てうちの庭よ! って感じ?」それはそれでなんか良いな
「でっ! 貴方はここでどんな風に過ごしているの? ずっとここに居たんだよね? どうして今まで話し掛けてくれなかったの?」矢継ぎ早に質問する
「はい。順を追ってお話しますね。私はずっとここに在りました。私たち精霊は基本的には人との接触を禁じられております。話し掛けなかったのではなく話し掛けてはならなかったのです……これは精霊と人との歴史に関係するものですので……今回は土の精霊王であるノーム様にお許しを乞い、こうして皆様の前に姿を現す事が叶いました」
ノーム様から聞いた話が脳裏をよぎる……
「また……人と精霊……交流を持てる様になると良いのにね……」簡単な事ではないのかもしれないけどそう願わずにはいられなかった
「……はい……私も人と精霊が昔の様な関係に戻れる日が来ると良いと思っております」
「ありがとう。貴方たち精霊のみんなにそう思って貰えると嬉しい……共に生きて行ける日が来る様に……私たちも出来る事をやって行くね」うん。この世界で生きて行けるのは自分たちの力だけじゃない……共に……生きて行きたい
「ありがとうございます。この森に住む精霊たちも喜ぶと思います。皆、サクラ様方の事が大好きですから」
「えっ?!ホントに? ありがとう……嬉しい……」
――つづく――




