# 78 精霊さんとの交流
「次に私が日々どう過ごしているかなのですが……」
うんうん。
「サクラ様……身を乗り出し過ぎではございませんか? 精霊様がお困りのご様子です」
「あっ……ごめん……つい……ハハッ」
「いえ。興味を持って頂けて光栄です」柔らかな声色が心地よい
「ほとんどの時間を瞑想に費やしております。他は森や村……この国に『精気・正気』の乱れが生じていないか調べたり……そしてノーム様の元でこの世界の歴史を学んでおります」
「『セイキ』って精霊の『精』に気力の『気』?」
「はい。それともうひとつ『正しい』『気』両方の『気』を探っております」
「『精気』と『正気』……」
「はい。天地万物を生成する根源となる精気。そして植物や人が生命感にあふれているさま……正気です。これらの『気』を探る事でこの地の状況が推し量れます」
「ふぇ〜。凄いね。『気』を感じる取る事で様々な事が分かるって事なのね。どうやるの? 私にも出来るかな?」
「……えっ……ええ。可能だと思いますが……」
「そうなのっ! じゃあ教えて。あっ、ごめんなさい、違うっ。教えて下さい。お願いします」深々と頭を下げる
「……」しばしの沈黙の後「承知致しました。私で宜しければ……」と返答が返って来た
「っ、やったぁ〜ありがとう!」小さくガッツポーズ
「あの……ワタクシは出来る事なら……この世界の事を知りたいと思っております。精霊様の知識を……ワタクシにご教授頂けないでしょうか?」シェリーが意を決した様に精霊さんを見つめた
「……はい。ノーム様にお伺いを立ててからで宜しければ……」少し困った様な、でも嬉しさも感じさせる様な返答が返って来た
「あっ、わっ私もっ……歴史も『気』の探り方も教えて頂きたいです」ダイアナが姿勢を正す
「はい……歴史に関してはお教え出来るかもしれませんが、『気』に関しては貴女には貴女なりの会得方法があるのでありませんか? まずはそちらを極め、その後他の方法を学ぶ事がより技に磨きがかかると私は思いますよ」
精霊さんの言葉にダイアナが目を丸くしている
「そっか、ダイアナに『指南書』があるものね。まずはそこを極めるって事かな?」
「はい……分かりました。修行を続けます。そして更なる高みを目指せる様に鍛錬を!」ヤル気に満ちたダイアナの瞳の輝きが眩しい
「うん。私も! 頑張ろうね、ダイアナ!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私は『瞑想』を学んだ……
『気』を探れる様になる為にはまずは己自身の『気』を磨く事が必要だからだと。
う〜ん。やっぱり何事も基礎からコツコツと。って事なのかな〜
『瞑想』はまずは集中力を高める所からスタートだ
心を静めて無心になる事が第一段階です。と言われたのだけれど……
『心を静める』は何となく分かるけど『無心』は難しい……
そこで、まずは何か一つの事柄に集中出来る様になる事を勧められた
五感を研ぎ澄まし……どれかひとつに意識を集中させる……
最初のうちはひとつの事柄に意識を向けるのは難しかった。色んな所へ意識が飛んでしまう……雑念だらけの自分がもどかしかった
少しずつ……心を平静に保てる様になり、第一段階をクリアした
《次は自身の内に意識を向けて下さい》
「自身の内?」
《はい。意識を沈めて行く様に深く深く……ご自身と向き合い、そして感じて下さい》
「……はい」
こうして私は『瞑想』が日課になった
瞑想も集中力が上がったおかげか、長い時間瞑想する事が出来るようになった
自身のうちへと沈んで行く事で自分の力をより鮮明に理解出来た様な気がする
魔力とは何なのか……は、分からないけど、自分の中にある力をどう扱えば良いのか分かる様になって行った
そして更に奥深く意識を沈めて行くと『スキル』の扱い方も見えて来た
そして……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「サクラ様? 何をされているのですか?」
瞑想タイム後、リビングで作業しているとシェリーから声が掛かった
「シェリー、今日のお勉強は終わったの?」
「はい。今日はここまでです」少し不満気な声の気がした……
「サクラ様はよろしかったのですか?」
「え? 何が?」
「この世界やこの国の歴史でございます」
「あ、あ〜。ん〜、興味が無いって訳でもないけど……ごめん……」
「楽しいですよ。サクラ様!」ダイアナもやって来て力説する
「へぇ〜。そうなんだ……あ〜、いつか聞かせて? ははっ……」笑って誤魔化す……
正直、私はこの世界の歴史を受け止める自信が無い……今は……
人ひとりの人生だって山あり谷ありの波乱万丈の歴史があったりするのだ。それが国や世界の単位なんて……
まぁ、全てを教えてくれる訳じゃないだろうけど……
いつか……何百年何千年と生きて……受け止められる位私が成長したならば……その時は聞きたいかな
それに、ダイジェストな歴史ならこれから先、耳にする事もあるだろうし……
必要な時にふたりにレクチャーしてもらえればそれで事足りる気がするのだ
いや……違うかな? シェリーとダイアナ……優等生なふたりと一緒に勉強するのは気が重い……ってのが実は一番なのかもしれない
だって私はきっと途中で茶々入れたり横道に逸れたくなったりするに違いない!
まぁ、ふたりの邪魔をしたくないのよ。うん
そんな事を考えながら「私の事は気にしないで!」とにこやかにふたりに告げた
「そうでございますか?……」シェリーはまだ少し納得がいかない感じではあったけど、ここはスルーしよう
人には向き不向き……それが必要な時期はそれぞれなのだ
――つづく――




