表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/107

# 70 ♨️エルドラド♨️オープン~そして

「お待たせしました〜。順番にご案内致します」

ダイアナとアレスが順番待ちの名簿を確認しながら外で待ってくれている人達……お客様を待合室に案内する

従業員の皆さんも急ピッチで準備を整えてくれて、営業開始時間を前倒ししてくれた


まずは洗い場の数の人数を案内して『男湯』『女湯』それぞれの脱衣所へ案内する

脱衣籠の使い方を説明してお客様を浴室へ案内、洗い場担当の従業員さんたちが数人ずつのお客様を担当して洗い場の使用方法を風呂椅子・洗面器から始まり、洗い場の栓を外してのお湯の使い方に体の洗い方までゆっくり説明して行く

最初のお客様を脱衣所に案内したタイミングで外で待っている次のお客様を待合室へ案内する

待合室で待って貰っている間に雑談に交えて入浴の仕方を説明したりして待って貰った


洗い場へ入ったお客様が体を洗い終え、浴槽へ向かった所で次のお客様を洗い場に案内する

トコロテン方式でお客様を案内して流れはスムーズに行った

石鹸は貸出方式にする予定だったが、次々とお客様を案内する事になった為、洗い場に設置したままで入浴して貰う形になった。しばらくはサポートに従業員さんが洗い場に入るから石鹸も都度都度返却しなくても問題無い様に思えた


慣れない入浴でのぼせて具合が悪くなったりする人が出ないか心配していたのだけど……

やっぱり予想通りにお湯に浸かり過ぎる人が出てきた

具合が悪くなった人や火照りが治まらない人は脱衣所に移動してもらいベンチへ案内する

予め用意しておいたポーションをスプーン1杯程を口に含んで貰うと体調も回復した

回復したお客様もだけれど、介抱にあたった従業員の方もその即効性に驚いていた

私は『女湯』でお手伝いをしていたのだが、女性より男性の方がのぼせた人が多かった様だった

『男湯』でお手伝いをしていたアレスとアレクに後から話を聞かされた


お客様だけでなく、長時間洗い場に居た従業員の方にも体調を崩す人が出てきた

交代で洗い場に入る様にしていたが、練習と違い実践となると精神的にも身体的にも負担が大きくなるものだ……

更に予想以上に忙しく、休憩もままならない。皆がフル回転で働いている状況だった


従業員さん達にはポーションを半分程飲んで貰い交代に休憩を入れて貰った

1本全てを飲めば全回復するが、それでは無理を重ねてしまう可能性がある。まずは半量である程度回復、その後に休憩する事で心身共に休息を取って貰いたかったからだ


怒涛のオープン初日を終え、みんな疲労困憊だったがやりきった感も大きく清々しい顔をしていた

支配人から労いの言葉を掛けられ若い従業員さん達も嬉しそうだった

片付けを終えて従業員さん達が帰宅した後、反省点や改善点を話し合った

概ね想定内での営業が出来た事に安堵したが、今日の様な忙しさがしばらくは続くだろう。経営陣も気合いを入れ直した


私たち……シェリー、ダイアナ、アレス、アレクも連日エルドラドのお手伝いに精を出した。天ちゃんも子供たちの相手をしてくれたりと癒し担当で大活躍だった

従業員休憩スペースには軽食を差し入れをした。凄く喜んで貰えて私も嬉しかった


最初は物珍しさや私たちへの厚意て訪れてくれた町の人達だったが、正に身をもって体験して貰えた事で温泉の素晴らしさを実感して貰えた様だった

町の人達の感想も良い物が多く、リピーターも口コミも増えて行った

オープンから1ヶ月が過ぎ、最初の頃の様な大混雑もなくなり、かと言って閑古鳥が鳴くこともなく営業は順調だった


銭湯ドリンクの売上も上々だった

湯上り用の売上もだが、別に用意していた販売用のドリンクの売上も良かった

意外な問い合わせが『ポーション』だった

のぼせたりと具合の悪くなった人達から効果を聞いた人達から「それはなんだ?」と聞いて来る人が居たのだった

とりあえずあれは非売品なので……と返答して貰っていた


そして私は閃いた! ポーションを改良して『栄養ドリンク』を作れないか……と!

ダイアナ達はもちろん従業員さん達にも試作品を試して貰い、無事に『栄養ドリンク』と『エナジードリンク』が完成した

効果はポーションに比べれば少ないが、疲労回復効果のあるドリンクだ

価格もポーションに比べると格安だし、温泉の利用料よりも安い……ちょっとした疲れの回復に最適なドリンクとなった

『栄養ドリンク』は簡単に言えばポーションを薄めた……って言うと語弊があるかもしれないけど……まぁそんな感じの物で、エナジードリンクより効果を高くした

『エナジードリンク』は特有のシュワシュワ感を出す為に『炭酸飲料』を混ぜた物が完成品となった

炭酸飲料を混ぜた分、エナジードリンクの方が少しお高いがこちらの売上も好調だった


温泉の利用客数に影響するのではないかと懸念の声も上がったが、ドリンクの利益もエルドラドの収入になると説明して理解を得た

それに……ドリンクで回復するのと温泉に浸かって心身共に癒されるのは同列ではないのだ。温泉の良さを知った人達はエルドラドも利用してくれる。私にはそんな確信めいた気持ちがあった


そして意外な余波もあった

栄養ドリンク・エナジードリンクはポーションの宣伝にも

なった様なのだ。ポーションはこれらのドリンクよりも高い効果が得られると……

確かに……ことある事にポーションを比較対象にしてドリンク類の説明はしましたけどね……

ただ、私の作ったポーションは結構な高級品として扱われるのだけれど……

ギルドの方に聞いた話では今の所、高ランクの冒険者と騎士団への販売をメインに考えているそうだ


☆☆☆☆


ダンジョンの町にも『♨️エル・ドラド♨️』の建設が決まり工事計画を立てるそうだ

普通はダンジョンが出現してその周りに町が出来て行くのだそうだが、今回はノーム様からダンジョン出現の情報を得られた。調査と並行して町づくり計画も進める事が出来るのだそうだ

ただ……いつダンジョンが生まれるのかまでの推測は難しいそうで……前例がないのだから仕方ないのかな?


「早く生まれないかな〜」と私も楽しみにしている

でっ! ダンジョンに潜ることの出来る一端の冒険者になる為に、私も訓練をする事に決めた!

居心地の良いこの国を離れるのは寂しさもあるけれど、未知なる世界への探究心の方が勝ったのだ!

……なんて言うと大仰だけど……私はこの町以外の場所も見て回りたかった……



旅に出る理由は何でも良かった

私がこの世界に転移した理由はあるのだろうか?

私のなすべきこととは?

私がここに居る意味は?

なんて重い理由付けも出来なくはないけど……

ただ……他の町、他の国をこの目で見て体感したかった

知らない事ばかりのこの世界……見て回る事が出来るのだから……


この国で……暖かな人達に囲まれて……倖せな日々を過ごすのも良いのかもしれない

この国……この町の人達は私の故郷……実家の様なものだと思っている

だから……私は実家を離れて独り立ちをする様な感覚で旅に出たいと思った

『帰る場所』がある。そう思えるから旅に出る事が出来るんだと思う


私は……ううん、私たちはまたここに帰って来る為に出発する


――~完~――






サクラ達の異世界生活はまだまだ続きますが、ここで『完結』とさせて頂きます


ここまで読んで下さりありがとうございました


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ