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#34 王都へ到着

王都への旅は続く……


飛行船の中では私とアレク・アレスが相変わらず精鋭さん達を質問攻めにしていた

ダンジョンの話に、これまで戦って来た魔物の話……それぞれの場所の特性を活かした町の話

町の中でもこれから行く王都の城下町などは特に賑わっているそうだ


私は、これから作る『温泉』の参考になりそうな話が聞きたかった

まずは『お風呂』だ

どうやらこの世界にもお風呂はあるらしい

ただ、やはり浴槽が高価な事と設置にも専門家が必要になる為、一般的には浸透していないらしい

王族や貴族、そして一部の成功者のステータス的なものなのだとか

なるほど〜! 庶民には手が出ないものだとしたら……

一般向けの『大衆浴場』は良いかもしれない……

私は『温泉』が流行る様に頑張ろうと決意を新たにした


王都に着いたら、城下町の見学したいと、皆さんにお願いした

もちろん、快く承諾してくれて案内もするからと言って貰えた

栄えている王都の城下町……

どんなお店があって、どんな品物が並んでいるのか……

私はあれこれ想像するだけでテンションがマックスになるのだった


旅の途中……

精霊のノーム様が合流した

とは言っても『緑色に輝く球体』にはノーム様ご自身はいらっしゃらないが……

この球体を通して全てを見通せるノーム様……

やっぱり『精霊様』って凄いんですね……


☆☆☆☆☆☆


そうそう!

私は『精霊様』呼びを『ノーム様』呼びに変えていた

私は毎夜、露天風呂へ向かう度に精霊様の祠へ行って、その日の出来事等を聞いて貰っていた

「精霊様……精霊様の事、『ノーム様』とお名前で呼ばせて貰えませんか?」とお願いしたのだ

精霊様……ノーム様は快諾して下さった


私にとってノーム様は……

なんて表現すれば良いのか分からないが、家族と居た時の様な安心感を与えてくれる存在になっていた


☆☆☆☆☆☆


ノーム様の話によると、これから訪れる隣国ユーラシアン王国の国王には『新国』の国王とその一行が近いうちに到着する事を告げたそうだ

そして、村に向かっていた一行は追い返したと……

どうやって追い返したのかは聞かせて貰えなかったが、《二度と来んじゃろうて》と楽しそうに笑った……

私はまさか……と一瞬心配したが《殺生はしておらんぞぉ》と先に言われた


《して、サクラ、国の名前は決まったのかのぉ?》

ノーム様の言葉に皆が私に注目する

クラーク国王が「サクラ様、お聞かせ下さい」と、私の言葉を促す

私は深呼吸をひとつ……気持ちを落ち着けた


「はい、候補をふたつ考えたのですが、決めたのは『フォレストグラン』です」

「フォレストグラン」……皆がそれぞれに噛み締めている様だった

「とても直球……って言うか、そのままなのですが……『フォレスト』は『森』、『グラン』には『壮大な、雄大な、すばらしい』などの意味があります

壮大で雄大なすばらしい森の国って意味です」

「おぉ〜」と感嘆……で良いのかな? そんな声が漏れる……

「いかがでしょうか?」私はドキドキしながら聞いてみた

「素晴らしいです」クラーク国王が声を上げる

「あぁ、本当に良い名だ」

「フォレストグラン王国……なんて良い国名だ」

「サクラ様、凄いです」

「ピッタリの名ですね」

次々に賞賛の声が上がって戸惑う……

いや、皆さん手放しで褒めすぎですから……

そんな事を思いつつも、私の考えた国名を受け入れて貰えた事が素直に嬉しかった


「我が国を『フォレストグラン王国』とする!」

クラーク王の凛とした声が飛行船に響いた

「「「おぉ〜!」」」歓声が上がる


「サクラ様、もうひとつの候補だった名を聞かせて頂いても宜しいでしょうか?」

クラーク国王にそう聞かれた

「あっ、はい。もうひとつは『エルドラド』です。

この言葉には『理想郷(りそうきょう)』という意味があります。

『理想郷(りそうきょう)』の『郷(きょう)』は『故郷(ふるさと)』って言う意味もあるのです。

皆さんの理想とする郷(さと)となる様にって想いです」


「そちらも素晴らしい名ですね」

クラーク国王が頷きながら言った

私は少し照れながら

「ありがとうございます。

精霊の森を守って来た皆様の国ですから『森』に関わる名前が良いかなと考えて『フォレストグラン』にしました。これからも精霊様の森……精霊様と共に……って気持ちも込めたつもりです」


「サクラ様……やはり貴女に託して良かった……

我々は『フォレストグラン』の名に恥じない様、良き国を作って行きます」

クラーク国王の瞳は未来へ向かって輝いていた


王都が近づいて来た

今日は少し離れた場所で野営をして明日の朝、馬車で王都へ入る事に決めて地上へ降りた


私はアレクとアレスと共に前回の続き……

『転移魔法』の検証を始めた

まずはお手紙を神官殿に送る

内容は明日は王都へ入る事と、今日も検証に付き合って下さい。等の内容にした

神官殿からはすぐに返事が来た

ペタの村からは大分離れたが、問題なく転移魔法は発動している様だ


次は天ちゃん特製の箱に、ドリンク各種を入れる

牛乳・コーヒー牛乳・オレンジジュース・りんごジュース・紅茶・ミルクティー・麦茶・緑茶・烏龍茶等を入れる

ドリンク各種も天ちゃん特製のビンに入っている


一緒に入れるお手紙には「箱に異常はないか」「中のビンは割れたりヒビが入っていないか」「中身に異臭はないか」「明日も中身に異変が起きていないか」確認して欲しいと記した

そして、「決して口にはしないで欲しい」と念を押す


アレスが、自分の書いた手紙も一緒に送って欲しいと持って来た

「これを読んだら、神官様は絶対に飲み物を口にしませんから」と自信満々だ

なんか……そのドヤ顔……手紙の内容が非常に気になるんですけどぉ!

「サクラ様にはお見せ出来ません」と頑なに拒否られた……うぅ……気になる……


☆☆☆☆☆☆


アレスの書いた手紙には……

ペターソンがパンを食べた事を知ったサクラが、どれほどペターソンの事を心配して動揺していたか。

そして、次もまた中身を口にしたらどうしよう……

検証はもう辞めにした方が良いんじゃないかと悩んでいた事をこと細かく書いてあった

そして最後は、サクラを悲しませたり心配させたりしないで欲しいと締めくくられていた


☆☆☆☆☆☆


「サクラ様の事を大切に想っておられる神官様ですから、この手紙を読んだらサクラ様のお言葉を聞いて下さりますよ」

アレスはにっこり言った


アレスの言葉通り神官殿は、私の要望を聞いてくれるとの返事をくれた

届いた荷物の入っていた箱は全く問題なく、中のビンも綺麗なままだそうだ

中身も異常は感じられない、明日も確認する

と言う内容の手紙が届いた


何度かの検証で分かった事は、転移に要する時間は変わらなかった事

手紙の様な軽い物より重い箱の方が転移魔法を発動する魔力量が必要な気がした事

遠くなった2回目の方が初回より魔力量を必要とした気がした事

転移魔法は送る物の重さと距離によって必要とされる魔力量が違うのではないかと思われた


これで中身に問題がなければ遠方からの転移は問題なさそうだ


実は、変化の検証が出来ると良いと思い、村の私達の部屋にも今回送った物と同じ物を置いてきた

村に戻った時に確認するのが楽しみだ


夕飯を済ませてのんびりしていると、ハイド氏がやって来た

「サクラ様、明日はこちらをお召しくださいと、箱をいくつか渡された


「はい」と大小様々な箱を受け取る

そして中を確認する…………っ! これはっ!

箱を開けて私は驚愕する……

中にはドレスや靴、アクセサリーが入っていた

私はびっくりして声も出せずにハイド氏を見つめた


「サイズが合うと良いのですが……

出発前にお渡し出来なくてすみません」

そう申し訳なさそうにハイド氏は言った


「いえ、ありがとうございます

こんな素敵なドレス……嬉しいです……お借りしますね」

と、ドレス一式を受け取ってテントへ戻った


「シェリー! ドレスだよ〜

シンデレラのドレスみたい〜綺麗だね〜素敵だね〜

私、ちゃんと着れるかな?」

ドレスを身体に当ててクルクル回ってみた……

舞踏会へ出掛けるシンデレラみたいな、ふんわりシルエットのドレスにテンションが上がった


ドレスは少し大き目な感じはしたが、ウエスト部分を締め付けるデザインだったので綺麗なシルエットで着る事が出来た

靴は……ガラスの靴ではなかった……

そりゃそうだよね……

残念ながらサイズが合わなかったので、似た様な靴をネットで探して購入した


――つづく――

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