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♯ 33 王都への旅

途中、降りても大丈夫そうな場所で休憩を取る

「天ちゃん、ありがとね。

いっぱい飛んで疲れてない」と天ちゃんを労う

《うん、ボク平気だよ、サクラさまとずっと一緒で嬉しい》

なんて可愛い事も言ってくれて思わず天ちゃんを抱きしめる

「シェリーもお疲れ様。天ちゃんのナビありがとう」

「サクラ様もお疲れ様です。とても楽しそうで安心致しました」

シェリーの優しい声が何だか緊張した気持ちを和らげてくれる

「ありがとう、シェリー。

シェリーと話すととホッとするよ」


お昼の休憩時間には菓子パンや惣菜パンを皆さんへ差し入れした

ドリンクはオレンジジュースとりんごジュース

まずは果物系の飲み物にした

私の個人的な好みで紅茶も出してみた

紅茶だったらこの世界にもありそうな気がしたのよね

ストレートティーとミルクティー

ちなみに……私は某アフタヌーンティーのミルクティーとピラミッド型のティーバックでお馴染みのメーカーから出ている紙パックのミルクティーがお気に入りだ


飛行船の旅も最初は緊張していた皆様だったが、速度は早いが静かに移動する天ちゃん特製の飛行船に慣れて来たようだ

正装していた皆さんも重そうな武具を外して寛いでいる


アレクとアレスは精鋭の皆様にこれまでの活躍をあれこれと聞いていた

もちろん私も一緒に乗り出し気味に食いついて聞いていた

まだ村から出た事のない2人は外の世界に興味津々だ。

そして私も2人と同じでこの世界を知らない

3人から次々に飛び出す質問や疑問に精鋭さんたちも嬉しそうに答えてくれた

冒険の話も町の話もとても楽しかった

ワクワクして私も旅をしてみたい気持ちになる

もちろん、旅には危険も伴うものなので……

私はこれからも精進して行こうと決意を新たにしたのだった


日が傾きかけて今夜の野営地を探した

魔物が少ない場所を精鋭さんたちが教えてくれる

シェリーにはその情報を元に、最も安全だと思われる場所を選んで天ちゃんに着陸場所をナビゲートしてもらった


飛行船を降りてみんなで野営の準備をする

旅慣れている皆さんの手際には感心するばかりだ

お馬さんたちも最初はキョロキョロ不安そうに見えたが、何度か飛行船から降りた事で慣れてくれた様だ

お馬さんたちのストレスも心配だったが、そちらも問題無さそうだ

天ちゃんも元気だし、体調不良を起こす人もなく、飛行船での移動も問題なさそうでホッとした

エコノミー症候群とか怖いものね

このまま休憩をきちんと取りながら旅を続けて行こう


「少し馬たちに運動させて来ます」

そう言って騎士(ナイト)の皆さんが颯爽と駆けて行く

様になっていて本当に格好良い

ちょっと見蕩れて呆けたが、私もやりたい事があったので自分たちのテントへ引っ込んだ


飛行船へ乗り込む前、神官殿に私の作った『転移魔法の魔法陣』を預けた

アレスに渡すつもりだったのだが、アレスは同行する事になったので神官殿に託した

「旅先でお手紙を送るのでこれで受け取って下さい」と、簡単に転移魔法を試したいと説明をして協力を乞う

忙しい神官殿を巻き込んで申し訳なかったが、転移魔法の習得には絶好のチャンスなのでお願いした


最初の手紙には協力への感謝の言葉と旅の無事の報告、そしてこの手紙を受け取ったらすぐに返事が欲しい事を書いた


魔法陣に手紙を置きペタの村ペターソン氏をイメージ……そして魔力を込めた……

魔法陣が輝き手紙が消えた

これで返事が返って来れば転移魔法の成功だ


見守ってくれているシェリーと天ちゃんが

「神官様に届いていると良いですね」

《わぁ〜ピカピカ綺麗だね〜》

と声を掛けてくれた

そんな会話をして少しして魔法陣が光った

光が収まると魔法陣の中心には手紙と思われる巻かれた紙があった

「やった〜成功したよ!」

天ちゃんを抱きしめてはしゃぐ


はしゃぎ声を聞き付けてアレクとアレスから声が掛かった

2人にもテントへ入って貰い転移魔法の実験について説明する


神官殿のお手紙には「手紙の到着と旅の無事を祈っている」事が書かれてあった

「良し、じゃあ次行くよ〜」

アイテムボックスから天ちゃん特製の箱を取り出す

中には『ロールパン・レーズン入りロールパン・クロワッサン・クルミパン・あんぱん・ジャムパン・クリームパン』をひとつずつ入れた

この箱を魔法陣の中央に置き、箱の上にはお手紙を置く

そしてさっきと同じ様に神官殿を思い浮かべて魔力を込める

魔法陣が輝き、箱が手紙と共に消える

手紙を送った時より必要な魔力量が少し多かった様な気がした


今度の手紙には大きな物も転移出来るかの検証なので、届いたら返事が欲しい事、箱に変形や異常がないか、中のパンに見た目や匂いに異常がないか確認して欲しい事を書いた


程なくして神官殿からの返事が届いた

手紙だけの時より時間が掛かったので失敗したのかな? と少し不安になったが無事に届いていた


箱に異常はなく、中のパンも美味しく頂いた。と書いてあった

…………!!神官殿……パン食べたんだ……

危ないから食べないでって書いとくべきだった……

ごめんなさい! 神官殿……


返事に時間が掛かったのは、食べてみて身体に異変が起きないか確認したかったのだそうだ

パンはどれも美味しかったので問題はないと思ったが、念の為に少し様子をみた……と記してあった

無事だったから良かったけど、もし……って思うと身体が震えた……


もう一度手紙を送る

食べてはダメな事を伝えなくてごめんなさい

そして、安全かどうか分からない物を食べたりしてはダメだって事

神官殿に何かあったら悔やんでも悔やみきれないって事をツラツラと長文で書いた

そして、移動して王都に近づいたらまた荷物を送るけど、今度は口にしないで欲しいと念入りにお願いをした


そして神官殿からのお返事……

心配してくれた事への感謝の言葉と、解毒薬やポーションも用意して、回復魔法の使い手にもそばに居て貰ったから大丈夫ですと書かれていた

明日の荷物も楽しみにしていますとも

最後に旅の無事を祈っていると締められていた


もぉ〜! 神官殿は〜

神官殿からの手紙をみんなに読んで聞かせる

アレクとアレスはもし自分が神官殿の立場だったらパンを食べたし、解毒薬やポーションの準備なんて考えなかったと言った


私は蒼くなった……

アレスに頼まなくて良かった……

心底そう思った……


そんな事を告げると、

「サクラ様の魔法と天ちゃんの作った箱ですよ、危ない訳ないじゃないですか!」

と、自信満々に言われた……


「う〜っ! そんな無条件に私の事を信用するんじゃありませんっ!」軽く拳を振り上げる……


ホントに……私は穴だらけの人間なんだから……

ちょっと落ち込みそうになったけど、気持ちを奮い立たせる……


「とりあえず今日はここまで! 晩御飯にしましょう!」


村の皆さんはもちろん食料も持参してくれていたが、私の出すお食事も食べて欲しい!

って言ってもお取り寄せで私の手料理ではありませんが……


無難な所で『幕の内弁当』をチョイスした

飲み物はお系を数種類……

緑茶や烏龍茶、麦茶にブレンド系のお茶だ

私はお気に入りのお茶……『ハトムギ・玄米・月見草……』等などが入っている某社のお茶


お茶系は天ちゃんに作って貰ったボトルに移し替えてアイテムボックスに入れて置いた

お弁当は……お皿に盛り付け直すのが面倒でそのまま出した……

食べた後の容器は45Lのゴミ袋を用意して、それに入れて貰う様にお願いする


アレクとアレスは私の出す食事を経験済だが、最近村に帰って来た皆さんは初めてで……

戸惑いも見せていたが、アレクとアレク――主にアレクだが――2人の絶賛を受けて口にしてくれた

美味しさは保証しますから!

是非是非食べて下さいね〜


食事を終えて、私たちは旅の初日の疲れを癒す為に早目に就寝した



――つづく――

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