#25 新居案内
聞くのが怖かったけど、やっぱり確認せずにはいられない……
「それで……この家が居心地良さそうなのは分かった」
「はい、お気に召して頂けたようで何よりです」
シェリーがにこやかに言う
……まぁ、確かに部屋に入る度にはしゃいでたら気に入ってるの丸分かりだよね〜ははっ
天ちゃんも付き合いが良いのか?!
一緒にはしゃいでくれてたし……
「うん、凄く気に入ったよ!!ありがとう!!
でも……キッチンとかお風呂……
電気・ガス・水道とかは?
期待しちゃうけど無理だよね? 電力ないもんね……」
こんな素敵な家なのにキッチンもお風呂も使えないなんて……
思い切りしょぼんとしてしまってハッと我に返る
「ごめんっ! 居心地の良い部屋を作ってくれてホント感謝してる! 欲張って我儘な事言った……ごめんなさい……」
更にしょぼくれた私にシェリーが優しい声で話掛ける
「サクラ様……? ワタクシはサクラ様のお役にたちたいのですよ? お任せ下さい!」
シェリーがそう言うと、部屋の明かりが点いた
元々暗くはなかったけど、部屋が更に明るくなった感じだ
「えっ?!なんでっ? 電気……点いた? どうして? どうなってるの?」
びっくりしてシェリーを見る
「サクラ様は魔道具がどの様に使われているのかご存知ですか? 」
「魔道具? 私のファンタジー世界のイメージだと『魔力』を使って動かす道具……
『魔石』を電池の様に使って魔力を流して……って感じ…… 合ってる? 」
「はい、この家は『オール電化』仕様ですので『電力』を『魔力』で賄える様に致しました」
「えっ?!……この明かりは魔力で点いてるって事?!」
「はい、この度の戦闘で手に入れた『魔石』を使用致しております」
「なるほど……凄いねシェリー、『魔力』で電化製品が動く様に出来るなんて! どうやってるの?」
「どう……と言われましても……その様に改良したとしか……」
シェリーが申し訳無さそうに言う
「ごめん、分かった……詳細を聞いてもきっと理解出来ないだろうし……良いよ良いよ」
「ありがとうございます
それから水回りに関してですが、こちらは『貯水タンク』と『浄化槽』を用意致しました
どちらも天ちゃんに作って貰ってます
ご案内致します」とシェリーが移動する
付いて行くと大きなタンクがあった
「こちらが貯水タンクです、水道管から供給される仕組みを貯水タンクから可能に致しました」
「なるほど〜貯水タンクかぁ〜
確かに天ちゃんが居てくれるから水には困らないね! しかも浄水出来るし」
「はい、そしてこちらが生活排水を処理する浄化槽です
こちらも天ちゃんの能力で浄水する事が出来ます」
「うん、うん、凄いね〜
あっ、でも貯水タンクに水を補充したりしないといけないね? それは……」
「もちろん、ワタクシが管理させて頂きますのでご心配は無用です」シェリーが即答する
「浄水・排水処理も定期的に行います」
なるほどなるほど〜
んっ浄水・排水処理って?
「あ〜そっか、使った水は浄化槽に入るけど容量決まってるから排水処理しなきゃダメだよね
何処に排水するの? 」
「はい、アイテムボックスのゴミ箱を考えております」
「お〜ブラックホール的なゴミ箱なら安心だね」
「貯水タンクに入れる水は既に浄水処理されている飲料水なので問題ありません
そして浄化槽には予め天ちゃんの浄水・浄化用の雲を入れておけば問題ないと思われます」
うんうん、仕組みは何となく分かった
でも補給に浄化に排水……大変そうだね……
ん〜……そうだっ!!
「ねぇシェリー、このタンクに浄水処理能力を付ける事って出来ないかな?」
「タンクそのものに浄水処理能力ですか? 」
「うん、そう!!
ねぇ天ちゃん、この貯水タンクと浄化槽、浄水も一緒に出来る様には出来ないかな? 浄水処理が出来る雲をこのタンクに一緒に混ぜるような感じで……」
《う〜ん……うん、分かった!!
やってみる…………………………》
天ちゃんが貯水タンクに雲の触手的な物を伸ばすと、タンクが天ちゃんの雲で覆われた
《出来たよ、この中に入ったお水はすぐにキレイなお水になるよ》
「凄いっ凄い! 天ちゃんサイコー!」そう言いながら天ちゃんを抱きしめる
「そうだっ、天ちゃんこのタンク達に繋がってる管があるでしょう? その中……管の内側のお水が通る所も天ちゃんの雲でコーティング……って分かるかな? 管の内側を天ちゃんの雲で薄く覆うの」
そう言って左手で筒型を作ってその内側を右の指でなぞって見せた
「出来るかな? お水とかが管を通ってここに辿り着くまでにも少しずつキレイになって行くの」
《う〜ん、分かった!!やってみるね
……………………………………出来た!!》
「天ちゃん凄〜い! 何でも出来ちゃうね! ありがと〜」再び天ちゃんを抱き締めて頭を撫でる
《一杯あったからちょっと難しかったけど全部出来たよ》天ちゃんも嬉しそうに頭を擦り付けて来た
「これで完璧だね!!
あとは水の補給と排水だね、やるタイミングが来たら声掛けてね」とシェリーを見る
「作業はワタクシ1人で大丈夫ですので」
言い終わる前に「私も一緒に!!」と言葉を遮る
「一緒にやるの、良いでしょ? ダメかな? そう聞くと
「分かりました……」と複雑そうな声で答えた
「うん、みんなの家なんだから、みんなで協力し合って住み良い家にしよう!!」
《は〜い、ボクも頑張る〜》
「ありがとう天ちゃん、シェリーもありがとう、
こんな素敵な家を作ってくれて」
ふふっと笑って
「出来るだけ散らかさない様に努力しますので……」
と、頭を下げながら付け足した
あっ!!そうだ!!
「天ちゃん、もうひとつお願い聞いてくれる? 」
そう言ってバスルームへ向かった
「天ちゃん、この浴槽を天ちゃんの雲でコーティングしてくれるかな? 」
《うん、いいよ〜》そう言ってアッという間に浴槽がコーティングされた
「ありがとう〜天ちゃん」
天ちゃんの頭を撫でながら
「これで中のお湯が冷めなくなった、いつでも適温よ!!」と得意気に説明した
「さてっと! ここでずっと過ごしていたいけど、そろそろ村に帰らないとね」
名残り惜しそうにリビングを見渡す……
「いつでもこの部屋には来れますから」シェリーが私の気持ちを察してか慰める様に言ってくれる
「うん、そう……だね……」
「ねぇシェリー? この空間って今はテントと繋がってるんだよね? 精霊様の祠みたいに小さな入口みたいなのじゃダメなのかな?
私が通る為にはドア位の大きさがないと無理? 」
そうシェリーに尋ねると、
「いえ、身体の一部が触れる事が出来る大きさであれば問題ないかと……」
「うん、うん、良し!!それで行こう!!
これから旅をすると宿に泊まることもあるでしょう? その時は宿の部屋にここへの入口を付ければ……ふふ〜ん、『どこでもマイホーム』だね」
祠……じゃなくて、入口の代わりになる物って何が良いかな?
部屋の壁にあって不自然ではないもの……
『絵』とか『写真』とか『カレンダー』や『掛け時計』……とか?
この世界にあるのかな?
とりあえず『写真立て(壁掛け可)』をひとつ購入してみた
この亜空間は時間が停止している訳ではないそうだ
リアルな世界とは空間は違うんだろうけど、繋がってるからかケータイも普通に使う事が出来た
リビングから出てテントに戻り、
テントの側面に作られていた入口を写真立てに移して貰った
さて、この写真立ては何処に飾る……しまう? のが良いのかな?
そんな事を考えながら新居を後にした
――つづく――
補足ですが明かりをつけたのはシェリーではなく天ちゃんです
シェリーは演出の為の作戦をしっかり練っておりました
サクラはシェリーがつけたと思ってる……様な気がします




