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あの日の君に出逢うために

「充電切れかよリーコさん怒ってるかな?怒ってるよな怒ってるといいなって俺って変だわ」


と言いながら巧馬はが慌ててスマホの充電をはじめた。


「リーコさんもだけど十矢にも後で連絡するか」


巧馬は出掛ける前に大学で十矢と話した事を思い出していた。


「よう十矢」


と巧馬は気を使いながら声をかけた。そんな巧馬に十矢はいつもと同じように


「巧馬さんこれから授業ですか」


と言った。そんな十矢に巧馬は頭をかきながら


「この間はまあ何て言うか…」


と言うと十矢が


「すみません俺こそ感情的になって」


と頭を下げた。巧馬は慌てて


「いいって俺の方こそ感情的になりすぎてゴメン」


と言った。そんな巧馬を十矢は見上げ


「変なこと聞いていいですか?」


「なんだ?」


と巧馬が聞くとおずおずと


「今はシズナさん、いないんですか?」


と十矢が聞いた。巧馬は


「そう都合よくは出てこないけど聞いてるとは思う」


と言うと十矢は少し残念そうにしたあと思い付き


「じゃあシズナさんに伝えたい事があるんで今言っても良いですか?」


と言った。巧馬が頷き


「ああ良いよ」


と言うと十矢は巧馬をまっすぐ見つめ


「シズナさん、シズナさんの久しぶりのパンチは結構痛かったよ…俺ずっと確認したかったことかあったんだ。俺はリーコさんじゃなくて本当にあんたが好きで、そばに居るだけで良かったの知ってた?」


十矢の言葉にドキッとする巧馬。


これは俺?いや…シズナあんたの心臓の音なのか?


自分の中のシズナに巧馬は問い掛けた。十矢は続けて


「何であのバスに乗ったんだよ。あのバスに乗らなきゃこんな形じゃなくもう一度会えてたら、もっと早く素直に好きだって言えたかも知れないのに」


十矢の言葉に巧馬が


「だったら今からでも本当に大切に出来る人に出逢えば良いじゃないか。今度はちゃんと愛せるはずだから」


そう言って頬笑む巧馬の姿が十矢にはシズナに変わって見えた。


「リーコさんも自分の幸せを見つけろって、二人から離れてやって行けんのかな」


切なそうに言う十矢に


「大丈夫お前なら」


と巧馬は肩に手をおいた


「シズナさん」


十矢が抱きつくと巧馬が思わず


「十矢、俺オレだから」


と焦って言った。そんな巧馬を十矢は確認して


「あっ巧馬さんに戻った。巧馬さんも好きだ」


とまた抱きついた。巧馬は困って


「だから十矢頼むよ~」


そんな2人を見て回りの女子生徒がキャーキャー騒いでいた。


巧馬と別れたあと十矢は事故の前日のシズナとのやり取りを思い出した。


「いい加減にしろリーコさんを巻き込むなって言っただろ」


鋭くにらむシズナに


「じゃあ、あんたが代わりに巻き込まれてくれるの」


と言うとシズナは吐き捨てるように


「断るお前は本当にくだらないな」


と言った。十矢は自嘲めいて


「くだらないってあんたらしいな、でもリーコさんはあんたの気持ちなんて全然知らないんだぞ」


と言うとシズナは凛とした口調で


「それでも私が好きなのも守りたいのもリーコさんだけだ」


と答えた。


ああ二人の間に俺のはいる隙間はないのか


と十矢は思いながら


「どうしてリーコさんなの?普通すぎて納得が行かないな」


と言うとシズナは驚いて十矢を見て


「普通?どこが?あんなに変わった人はどこを探してもいないのに」


と言い微笑んだ笑顔が美しくて十矢は言葉をなくした。


「リーコさんはいつも影を照らす光だった。超不器用でお人好しでワガママだけど可愛くて、一旦心を開けば噛めば噛むほど味が出て回りを優しく包んで見守ってくれる…そんな人なんだ」


十矢はフッと笑って


「それって好きで好きで仕方がないって言ってるみたいだ」


と言うとシズナはキラキラした笑顔をして


「何度生まれ変わっても必ずもう一度出逢いたい人なんだ」


と言った。十矢はチリッと胸が痛むのを感じた。


「でもリーコさんがあんたの思いを受け入れるとは限らないだろ」


と十矢が言うと


「それでも良い、ただ伝えたいんだ出来ればあの場所で」


とシズナが答えた。


あの場所で?


「最後のチャンスかもしれないから、だからお前にはリーコさんに近寄ってほしくない誰にも邪魔をされたくないんだ」


シズナは静かにけれど力強く自分に言い聞かせるように言った。


あの日のシズナの言葉を十矢は口にした。


「何度生まれ変わってももう一度出逢いたいか…シズナさんは思ってもいなかったんだよな、あのあと事故で亡くなるなんて。でもこうやって本当に会っちゃうなんて俺にも会いたかったって言ってほしかった…後悔ばっかりの俺は相当なバカだ」


そして空を見上げた。


なかなか寝付けずにいた巧馬がシズナに問いかけた。


「あんたずっと前から十矢の気持ちに気付いてたんだろ」


するとはぐらかすように


「さあね」


巧馬は納得がいかず


「だってすぐそばにいたのに気付かない分けがないだろ」


と言うとシズナは


「どうかな…でも色々見張ってたあいつは私とよく似てるから」


似てる?


「あいつも私と同じ人一倍のさみしがりやなんだ」


と感慨深げに言った。


そう言えばリーコさんといると寂しくなかったって


「そうか、あんたはリーコさんと出逢えて十矢はリーコさんのおかげであんたと知り合えて、2人とも寂しさが癒えていったんだな」


と巧馬がいうとシズナは少し驚いて巧馬に


「そうだないつも中心にはリーコさんがいた…でもあいつはまだ闇のなかを迷っていたんだ。だからお前の体を使わせてもらった」


と言った。巧馬はあっと思い出し


「十矢を殴ったってやつだろ何日も痛かったんだからな、あんた俺の体を使って何やってくれてんだよ!」


と怒った巧馬にシズナは申し訳なさそうに


「それは悪かった、でも十矢が本気だったなんてなぁ」


と言ったシズナに巧馬は


「あんたも十矢を好きだったんじゃないのか?」


と聞いた。シズナの動揺が巧馬に伝わってくる。


「バカ言うなよ10歳近くも年下なのに」


とシズナが言うと巧馬は少しムッとして


「俺もリーコさんより10才ほど年下なんだぞ、てかあんた十矢の事も何とかしたかったから俺の中にいたんじゃないのか?」


と言うとなんとも言えない優しい思いが巧馬を包んだ。


「私がいなくなってヤツがどうなるのか心配だったんだ。でも案外平気そうなんで安心していたんだ」

「違うね」


巧馬の言葉にシズナは戸惑った。巧馬はそんなシズナに


「十矢はどうしようもなく寂しかった、だからあんたの代わりをリーコさんに求めて執着してたんだ。あんたはそれに気付いて…そうか忘れ去られることが寂しかったんだろ」


シズナの驚きと戸惑いを感じた。シズナは巧馬に


「まったく叶わないなその通り私は寂しかったんだ。本当にお前は何歳なんだ?でもやっぱりお前で良かったリーコさんをまかせられる」


シズナの言葉に


「それどういう意味だよ」


と聞くとシズナは花のように笑い


「お前は戦友で同士だありがとう」


と消えた。


「なんだよ言いっぱなしで、こっちこそリーコさんと会わせてくれてありがとう」


今度は俺があの桜の木の下で二人を会わせる


と誓った。


「あっリーコさんに電話をしないと」


とスマホの電源を入れたとたん着信音がなった。画面を見てため息をついた巧馬が電話に出ると男の声がして


「巧馬久しぶりだなお前が旅行してるなんて意外だよ」


と言った従兄弟の小崎広人は建築学部に通っていて気が向くと世界中の建物をみて回る癖があるのだ。そんな広人に巧馬が


「そりゃあお前に比べたら以外だけど、俺のことより何なんだよ今回は」


と聞くと広人が


「俺さ半年くらい大学を休学するつもりだから母さんに言っといてくれないか」


と突然言われて巧馬は鳩が豆鉄砲を食らったようになり


「ちょっと待て広人それを俺が叔母さんに言うのっておかしいだろ」


と言うと広人が


「だって心配しすぎてうるさいから…大丈夫お前は従兄弟のなかで一番母さんに好かれてるから頼む」


と言うので巧馬は


「なんだよそれ意味がわからない、取り合えず先に俺が言っとくけど後でちゃんと叔母さんに連絡しろよ」

「分かってるありがとう巧馬それじゃあな」


と言い電話が切れた。


俺も広人のことを言えないな連絡しないと


巧馬は李々子に電話をかけた。


「永塚ったらなにやってんのよ何で連絡よこさないのよ」


仕事から帰って来た李々子がプリプリ怒りながら晩御飯の支度をしているとスマホに着信が


「もしもしリーコさん」


スマホから巧馬の声がする。


「リーコさん?」

「永塚、あんたね今どこにいるの何で電話が繋がらないのよ心配したでしょ」


捲し立てるように言う李々子に巧馬は


「充電がなくなってて、なにリーコさん心配して怒ってるとか」

「うっ」


李々子は言い当てられて黙ってしまった。


「あんたのねそう言うところムカつく」


と言うと巧馬はいっそう嬉しそうな声で


「そっか本当に心配して怒ってたのか何かうれしいな、それはどうもすみません」


なによその言い方


「あのねそれ本気で謝ってないでしょ」


と怒って言うと


「謝ってるって」


と嬉しそうに巧馬が答えた。


「いやいや全然謝ってないから」

「じゃあどうすればいいの?」


少しとぼけた口調で巧馬が言うと李々子はムッとしながら


「とりあえず連絡はつくようにしといてよ本当に心配したんだからね」


と言った。巧馬が神妙そうに


「分かりました絶対に約束します」

「なんか急に真面目って嘘臭いんだけど」


と李々子が言った。巧馬は驚いて


「嘘臭いってリーコさんってやっぱり面白いよね」


と笑いだした。


「あんたねそれってそんなに笑う所かよって聞いてる」


李々子の困ったような怒ったような口調に巧馬は


リーコさん可愛い


と思いながら聞いていた。李々子が落ち着いたようなので巧馬が


「そうだ今どこにいると思う?」

「は?何なのよそれ」


キョトンとする李々子に巧馬はもう一度


「だから何処にいると思う」


と聞いた。その質問に


何を言ってるんだこいつと李々子は思いながら


「そんなの分かるわけないでしょ」

「明日あの桜の木の下に行ってこようと思うんだ」


巧馬が言った。


え?あの桜の木の下?


李々子はその言葉の意味を色々考えた。すると巧馬が


「俺のこの眼のドナーが高校生んとき一番好きだった忘れられない場所」


李々子はハッとした。


ドナーってまさか


と李々子は思った。


「俺、怪我で目が見えなくなって色々と諦めてたんだ。でもそんな俺を助けてくれた彼女が…シズナさんがね」


李々子は声を失った。


「シズナさんは俺の中にいたんだリーコさんをずっと見てたんだよ」


李々子の頭の中を色んな事が回った。


至近距離恐怖症って分かったのも私の好きなものや得意料理や他にも何で?って思うもの知ってたのも…そんな事って


巧馬は混乱する李々子に静かな口調で


「リーコさんちゃんと考えて今しか今しか会えないんだよ。会いたい?会いたくない?」


と聞いた。李々子は混乱しながらも


「わたし聞いてない何が言いたかったのか聞きたかったのに。待ってて行くからすぐに行くから待っててね」


と言った。巧馬は李々子がそういうと確信していた。


やっぱりそれでこそリーコさんだよ


「うん待ってる待ってるからね」


通話を切り李々子は急いで帰り支度を始めた。


こんなこと普通ありえないでも何処かでそうかもって思ってた。

会わなきゃ会ってちゃんと聞かなきゃ、手紙にかいてあったあのとき聞けなかった言葉を…


「シズナ待っててね」


李々子は家を飛び出した。


巧馬はホテルの天井を見上げ


リーコさんが来るやっと言える


巧馬は穏やかな思いで眠りについた。


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