松岡が眼鏡を外したら…
松岡編というか、美緒編というかです❗️
1週間もすると巧馬もなれてきてレジ打ちも任されるようになっていた。
相変わらず客の女性陣は巧馬をみながらわちゃわちゃしている。
巧馬と新刊出しをしていた美緒が
「そう言えば永塚さんって確か3年くらい前に目を怪我してましたよね、もういいんですか?」
と言った。突然言われて驚いた巧馬が
「なんで知ってるの?」
と聞くと美緒はやっぱりという顔をして
「永塚さん新牧田高校ですよね私も新牧田高校なんです。だからそうかなって」
「えー後輩なんだ」
と巧馬が言うと美緒は
「それで聞いたんですけど角膜移植したんですよね、どうなんですか具合。痛かったりします?よく見えますか?」
と目をギンギンにして聞いてくるので巧馬はぎょっとしながら
「千石さん目が怖い」
と言うとハッと気付き失礼しましたと美緒は大人しくなった。巧馬は
「そんなに興味があるの?角膜移植に」
と聞くと美緒は
「私こう見えて医学部生なんです。だから全身麻酔の手術中ってなにか見えるのかなとか、麻酔が切れるときってどこからどんな風に痛がるのかとか、術後の経過とか色々と気になって研究材料にしよと思ってるんですよウフフ」
と満面の笑顔で言うではないか。巧馬はひきつりながら
この子って見かけによらず怖い人なのかも
と思っていると
「それに私が切ることでなおるなら素敵じゃないですか…ウフフ」
と笑った美緒に巧馬は恐怖を覚え
ヤバイ、この子に手術をさせたらなにをされるかわからないぞ
才女となんとかは紙一重って言うけど猟奇的すぎるよ
と青ざめていると
「永塚さんまさか私が手術だけがしたい人間だと思ってませんか?そりゃあ手術は好きですよゾクゾクしますから。でもね基本的に私は命を救いたい善良な医学生なんですからね」
と言うので半信半疑ながらも少しだけ胸を撫で下ろした巧馬だった。その時レジからひかる店長が
「美緒ちゃ~ん、ちょっと来て」
と呼んだので美緒は
「はぁい今いきます、永塚さんあとの事お願いしますね」
といい去っていった。
なんだか俺のまわりって変わった人ばかりのような気がする…まさか俺が引き寄せてるのか、いやいや違うって
「そんなことより仕事しなきゃ」
しばらく1人で本出しを頑張っていた巧馬だったが、残りをストックボックスにうまく詰められずうなっていた。そこに李々子が通りかかった。
おっ若人が頑張ってるねぇ
と思いながら李々子が歩いていると巧馬が気付き
「リーコさんちょっといいですか?」
と声をかけた。
「ん?どした?」
と李々子が駆け寄っていくと
「これ、どうすれば良いですか?」
と巧馬は本棚の下のストックボックスを指差した。李々子はあちゃーと思いながら
「こう入れちゃったのか、えっとこれはね」
と巧馬に教えてあげた。そんな李々子と巧馬が2人で仲良く仕事をしている様子を、レジカウンターからひかる店長と美緒が眺めていた。ひかる店長が美緒に
「ね不思議でしょ、あんなに近寄られるの苦手なリーコが違和感ないんだよ」
と言うと美緒が頷きながら
「確かに十矢君以来ですよねリーコさんがあんなに風にテリトリーへの進入を許すの。まぁ年下ってのもあるんでしょうけど」
と言うと、ひかる店長がニヤリと笑い
「あら知らなかったの?あの十矢でもテリトリーにはいるのに1ヶ月はかかったのよ」
と言った。美緒は驚き
「えっあの十矢さんでもそんなにかかったんですか」
「そうよ今となっちゃ弟扱いだけどさ、はじめは固まったような話し方だったのよ」
固まったようなってどんなのよ
と美緒が思っているとひかる店長が
「目も合わさない感じで感情のこもっていない話し方してたわね。」
と言ったあと深いため息をついて
「結局さ大事なのはリーコが感じるフィーリングなのよね」
と感慨深く言うひかる店長に美緒が
なるほどフィーリングねぇ~まあ永塚さんは松岡さんと違っていい線いくかも知れないけど、本人のリーコさんが未だ恋愛モードに入りきってないような、でも…
「これって松岡さん人生最大の危機的状況ですね」
と言うとひかる店長が
「本当に人生は何が起こるか分からないから面白いのよね」
と言うので
主に面白がっているのはここの人達なんですけど…
と言いたいのをグッと我慢しハハハと乾いた笑い声を出した。
そんなひかる店長と美緒の話を知ってか知らずか、少し離れた所から李々子と巧馬をガン見しているもう人物がいた。
その視線に気付きひかる店長が見てみると
「って松岡かよ」
なかば呆れぎみで言った。その時この間の女子高生と友人が松岡に近寄って来た。そんな事には気付いていない無防備な松岡に、友人の方が松岡に思いっきりぶつかって来た。
松岡はその勢いで前に倒れ込み眼鏡が床に飛んだ。その松岡に
「いい気になんな、このクズ」
と言い二人は手を繋いでで走り去っていった。それを見ていたひかる店長と美緒。
「あちゃーまただよ。松岡は上手いこと言えないから逆恨み受けやすいんだよね」
と言うと美緒が
「ですよね松岡さんたら毎回って言っていいほど告白を断った腹いせを受けてますよね」
毎回思うけど彼女達ってひどいわ個人的な知り合いでもないのに。
それに仮にも好きだった人になにやってんのよ
まだ眼鏡を探している松岡を見ていた美緒は、仕方がないなと駆け寄り端の方に飛んでいた眼鏡を拾い探している松岡に
「はい松岡さん眼鏡」
とわたし松岡を見上げて息を飲んだ。
えっなっなに、この乱れた前髪からのぞくクッキリとしたかわいい瞳は、それにお肌もツルツルでこんなに近くで見たことなかったからヤバイ
「松岡さんかわいい」
気付くと呟いていた。松岡は眼鏡をかけたあとキョトンとして
「あのね千石さんそれ間違ってるよ。俺は可愛くないし可愛いっていうのは千石さん達のことだよ」
と言う松岡に
かっ可愛いってなにを言うのよ松岡さんのくせに
と真っ赤になりながらも見とれていると松岡の目元が切れて血が流れ出していた。美緒は驚いて
「松岡さん血が出てる」
「んっああ本当だ、これくらい大丈夫だから」
と言って去ろうとする松岡の腕を美緒はつかみ
「大丈夫じゃないです」
と言いポケットからハンカチと絆創膏を取り出し
「はい眼鏡をとって屈んでください」
と言い松岡が屈むとそのハンカチで血を拭いペタッと絆創膏を貼った。
松岡は慌てて
「千石さんハンカチに血がついちゃってるからかして」
と言うのでハンカチをわたすと
「同じのじゃないかも知れないけど新しいの買ってかえすね」
と松岡が優しく微笑んだ。その微笑みに美緒はドキッとし
松岡さんそれ反則!ヤバイわ
と思っていると、じゃあねと言い松岡が去っていこうとする。美緒はドキドキしながら松岡に
「松岡さん私ダメダメな松岡さんもいいと思います。それとメガネは他の所で外しちゃダメですからね」
と言った。松岡はキョトンとしたあと微笑み
「うん、ありがと」
と去っていった。
いやだ何ドキドキしてるのよ松岡さんなのになんでこんなに…まさか
そんな美緒の耳元で
「私もしかしたら松岡さんの事が好きになっちゃったかも」
ひかる店長がささやいた。
いやぁぁぁぁぁあ
と美緒が飛び退くとニヤニヤしてひかる店長が
「松岡はさあ、気のない子に気のあるふりができないのよね本当に下手よねぇそれで毎回色々あるってどうよ。でも誠実な男子ってカッコいいよね惚れるよね」
と言うと美緒は真っ赤になって
「そりゃあ、そう言う松岡さんって凄くカッコいいとは思いますけどね」
と言うとひかる店長は美緒をみながらふーんと言い去っていった。
なんなの?何が言いたいんですか
あのね松岡さんはリーコさんを好きな残念なイケメンで…
でも本当は思いやりがあって優しいけど男らしくて…
そしてお肌もツルツルで守ってあげたくなる小動物のような可愛い目をしてて…
こう頭をクシャクシャってしたくなる萌え系男子で…やだ
「私ったら松岡さんの事ばっかり考えてるじゃない」
と言うと
「美緒ちゃんがとうとう松岡落ちかぁ、うふふふふ」
うわぁ伊織さんだあ
気が付くと後ろに伊織がいた。いっきに固まる美緒にニヤつく伊織。美緒は焦って
「やだな伊織さんたら勝手に何言ってるんですかもぉ」
と言うと美緒の肩を叩き
「まぁ時間はた~ぷりあるから全然焦らなくていいのよ。ゆっくりゆっくり楽しみましょうね~」
と言い伊織は去っていった。
ど、ど、どうしよう…伊織さんにも言われてしまった。私が松岡さんを…ええ良いなって思いましたよそこは認めますよ!
でもこんな風にあの人達の前で気付くとは…
あの人達の性格は知っているのに私のばかぁ
こうなったら何とかあの2人をごまかさなくっちゃ。いやもう絶望的に無理な気がする…でも言いふらされたら大変だわ
「伊織さん伊織さん待って」
と伊織を追い掛けて美緒は事務所に向かった。
そんな美緒を不思議そうに李々子と巧馬が見ていた。
眼鏡をはずした松岡は長身の可愛い系男子だったんです。




