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アーネストが訝しげにディランを見ると、彼は素っ気ない態度で言った。
「こいつ、俺につけといてください」
「え⁉」
アーネストが反応するよりも先に、ジゼルが驚きの声を上げていた。
ディランがジゼルを見る。二人の目が合った。
「案外、便利だったんで」
ディランは淡々とそれだけを言い残し、そのまま捜査局から出て行ってしまった。
「……ということだ。ジゼル、お前は明日からディランのもとで、捜査官としてしっかり学ぶように……」
「言い逃げですの⁉︎ 待ちなさいよ!」
アーネストの言葉の途中で、ジゼルはディランの後を追いかけて行ってしまった。
「局長の姪っ子さん。とても元気で可愛らしい子ですねぇ」
「……」
のほほんと笑うベティの横で、アーネストは疲れた表情を浮かべた。
捜査局を出てすぐ先の廊下に、ディランの後ろ姿を見つけたジゼルは叫びながら追いかけた。
「ちょっと! 私、貴方と組みたいなんて一言も……」
ディランが突然立ち止まる。するとジゼルは勢い余ってディランの背中にぶつかってしまった。
(うぅ……顔面に魔法を食らったことといい、今といい……今日は厄日ですわ)
ぶつけた鼻を押さえながらジゼルが涙目になっていると、ディランが振り返る。
「文句ある?」
「文句しかありませんわ!」
ディランは眉を顰めると、ジゼルの顔を覗き込むように腰を屈める。
「なんだよ。お前のこと認めるって言ってんのに、なにが不満なんだよ?」
「み、認める……? 私を……?」
まさかディランの口からそんな言葉が出てくると思わず、ジゼルは目をぱちくりとさせた。
驚きのあとから、なぜかじわじわと嬉しさが込み上がってきた。
(今日一日私のこと、邪魔だとか何だと散々言っていたくせに……)
上手く文句が続かない……
驚くジゼルを見つめていたディランは、にやりと意地悪な笑みを浮かべた。
「そ。お前の『解析魔法』だけ、な?」
そう言って、ジゼルの顔のガーゼを軽く弾く。
「何回見ても間抜け顔だな。明日からは気をつけろよー」
ジゼルが顔を押さえている間にディランは愉快そうに笑うと、背を向けて再び歩き出した。
ジゼルは信じられない気持ちで、ディランの背中を睨み付けていた。
「やっぱりあの男、腹が立ちますわー!」
ジゼルの怒りの叫びが廊下に響き渡る。ディランは振り返ることなく、小さく手を上げると、そのまま去っていったのだった。




