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【完結】終末ゾンビ世界から100年後の未来へ避難することにしました —防災オタクと半ゾンビの無人島開拓記  作者: ねねこ


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81 情報共有

「では、ここからは、この島の運用について情報を共有しておきたいです」

「教えてくれ」

「そちらの人数を考えると、集落の空き家を使うのは現実的でないと判断して、一旦ホテルに入ってもらいました。しばらくはそちらで生活してください。これである程度のこちらとの生活区域の線引きができるので、当面はこれでいきたいんですがどうですか?」

「賛成だ。屋根と壁があって、ベッドがあって、ゾンビがいない。それだけで最高の環境だからな」

「ホテルを使用してもらうにあたって、気を付けてほしいことがいくつかあります」

「聞こう」

「まず水ですが、基本的には使えますが、まだパッキンの交換が終わっていないものもあります。だからそれは使わないでください。蛇口に赤いテープが貼ってある水道は使用禁止なので少々手間ですが、使える水道のみ使ってください。それからホテルから見える畑があると思うんですが、あそこには近づかないでください。私たちが作っている畑です。こちらには農業のプロがいますので、基本的には私たちで管理します。そちらで畑を作りたいと言うなら場所は用意しますので」

「ああ」

「次に食事に関してですが、作る場所が限られているのと、備蓄には限りがあります。なので、食事はこちらで作ったものを食べてほしいんです」

「ああ、食料品の管理はそちらでまとめてしてもらうほうがいい。俺たちが増えた分、減りも早くなるだろうしな」

分かってくれてる。

「次にお風呂についてですが、この島には温泉の源泉があるので、それでお風呂を淹れています。ですが、場所が限られてます。なので、男湯と女湯を二か所、時間帯を区切って私たちとそちらで使うようにしましょう。もっと増やしたいところなんですが、現状では難しくて……」

「それは仕方ない。風呂があるだけで全然違う」

「そう言ってもらえると助かります。あとお願いしたいことが」

「なんだ?」

「これに、新しく来た人たちの情報の詳細をお願いします」

 と一冊の新しいノートとペンを渡す。

「何かできることがあるならお願いするためにも、皆さんの職業だったり得意なことだったり、そういうことを把握しておきたいんです。持病があるのならそれも。それにどう対応すればいいかもわかると助かります」

「うん、それは必要だな。ここで暮らしていくなら役割分担は大事だ。持病持ちはいなかったとは思うが、アレルギーとかまでは俺も把握してない」

「はい。今いるみんなは、自分のできることで、この島での生活に貢献してくれています。それを皆さんにもお願いしたいんです」

「納得した。方八馬さん、だったか」


 一度、言葉を切る。


「少なくとも――筋は通ってる」

「でしょ?アタシの相棒だもの」

 なんでそこで迦楼羅が自慢げなの。

「名前で呼んでください。みんなそう呼ぶので」

「じゃあ結花さんと呼ばせてもらおう。俺のことはどっちでもいい」

「では高瀬さんと。そちらはタツヤくんでいいかしら?」

「なんで俺だけ名前なんだよ」

「いや、なんかこう……そのほうが呼びやすい雰囲気があるって言うか」

「まあ好きにしてくれていいけどさ」


 少しハルくんに似た感じのわんこっぽいんだよね、タツヤくんって。


「じゃあまず衛生物資を分けましょう。着いてきてください」

 全員で立ち上がり、市庁舎の一階にある衛生用品を中心にした物資の区画へ向かう。

 新宿で買ってきた物資の整理ももう終わっているので分かりやすい。

「ハルくん、ここまでリヤカー入れてきて」

「はい」

 ハルくんが市庁舎の裏からリヤカーを持ってきてくれる。

「ええと……33人だったわね。じゃあまず歯ブラシを替えも含めて50本。それから歯磨き粉と石鹸とタオルと……」

 次々にリヤカーに積みあがっていく物資に二人は目を丸くしている。

「衛生環境は健康に直結します。だから私たちは衛生環境に力を入れてます。衛生環境の悪化は命に直結します。なので、そちらでも徹底してください。手洗いうがいは必要以上にしてもらって構いません。水はふんだんにあるので。この島には医者はいません。自分の健康は自分で守るしかないんです」

「分かった、きちんと伝える」


 そこにシゲトさんが帰ってきた。

「結花さん、コンポストトイレの設置終わった。ホテルの中庭に三か所だ。ブルーシートでテント状態にして目隠ししてある」

「ありがとう、シゲトさん。そこなら臭いも少ないし大丈夫ね」

 リヤカーに積みあがった物資を表に出して、高瀬さんとタツヤくんに渡す。

「とりあえずこれを皆さんで分けてください。それから昼食ですが、代わり映えしなくて申し訳ないけど、おにぎりを作っておきますので、そのリヤカーで取りに来てください」

「分かった」

 本当はもうちょっと違うものも作りたいけど、人数が人数だけに難しいのよね……。

おかずとかもっと作りたいとも思う。でもそのための食材が圧倒的に足りないのが現状だ。



 今日は大工組が急ピッチで進めている中里家とツバサくんたち四人の暮らす家の修理が終わる予定なので、あとで見に行こう。

 他は、魚が欲しいから空いている人は総出で釣りだ。

 魚が釣れれば、少しは食糧事情も良くなるはず。

 塩もあるから干物を作っておきたいんだよね。


 うん、人数が増えてもやることは同じ。生きるために。

【神集島住人数】

54人

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