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終末ゾンビ世界から100年後の未来へ避難することにしました —防災オタクと半ゾンビの無人島開拓記  作者: ねねこ


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閑話休題 ―獲物

 山の上の廃墟ホテルから下りてきて、周辺を探したが、目当ての軽トラは見つけられなかった。

 それをねぐらにしている建設会社の倉庫に戻って報告するとしこたま殴られた。

 

「何やってんだ、てめえら!!2人やそこらにしてやられたってのかよ!!」

「ゾンビでもねえんだぞ!?ビビッてたのかよ!!」


 違う、あいつらは確かにゾンビではないかもしれないが、もっとこう何か得体のしれない空気があった。

 頭も回る、力もある、おそらくそれなりの拠点を築いてる集団のトップだろう。


「――落ち着け。仕切り直すぞ」


 その声に一気に場は鎮まる。


「まず、今、この世界でまともに生きてる人間はすくねえ。小規模な避難所は人数の少なさでそれなりに生き残ってるみてえだが、それをいちいち探すのもめんどくせえしな」

「……」

「だが、あいつらの拠点は探して奪う旨味はあると思ってる。あいつらが集めていたものは娯楽やら道具やらが多かった。今回集めてたものもそんな感じだったんだろ?」

「はい。ちらっと確認しただけですが、水着やら野菜の種やらでした。水着は子供のものもありましたね」

「……つまり、あいつらの拠点には子どもがいる。これは、使える」

 男の言葉に、何人かが顔を見合わせた。

「……どう使うんです?」

「決まってんだろ」


 男は笑った。

 それは、さっきまでの怒鳴り声よりもずっと冷たかった。


「餌だよ」

 ぞわり、と空気が凍る。

「子どもがいる場所ってのはな、守るもんがあるってことだ。つまり――弱点だらけってことだ」

「……弱点」

「でも、場所が分からないと……」

「だから探すんだろうが。目立つことをしてる奴らをな」


 にやり、と口の端が吊り上がる。


「このご時世に水着だの種だの集めてる連中だ。どう考えても“生活してる”。しかも余裕がある」

「……確かに」

「余裕がある奴は、いずれ必ず“表に出てくる”」

 淡々と、確信をもって言い切る。

「そん時を狙えばいい」

「じゃあ……どうするんです?」

「決まってるだろ」

 男は壁に貼られた、簡易的な地図を叩いた。

「この辺の大型施設。ショッピングモール、ホームセンター、学校、病院」

 指で順に示していく。

「“生活してる連中”は、こういう場所に来る確率が高い」

「……網を張るってことですか」

「そうだ」

 ぐしゃり、と地図の端を掴む。

「それと――もう一つ」

 男は、ゆっくりと周囲を見回した。

「女とガキを見つけたら、確保しろ」

「……っ」

「殺すなよ?」

 にたり、と笑う。

「使えるからな」

 誰も、すぐには返事をしなかった。

 だが。

「……了解です」

 ぽつり、と一人が答えたのを皮切りに、返事が続く。

「了解」

「分かりました」

 男は満足そうに頷いた。

「よし。じゃあ準備しろ」

 鉄パイプを肩に担ぐ。

「これからは狩りの時間だ。いいか、まずはどうにかしてあいつらの拠点を探し出すことだ。とにかくあの街の駅を中心に網を張れ。軽トラのナンバーを全員に周知させろ。特にあの神社周辺。あの辺りには常に見張りを置け」


 拠点がどんなところかまだ見えないが、そこは、俺たちが必ずいただく。

 

 

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