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終末ゾンビ世界から100年後の未来へ避難することにしました —防災オタクと半ゾンビの無人島開拓記  作者: ねねこ


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33 主食保存大作戦!

 「よしここを使おう」


 選んだのは市庁舎の北側の建物。

 裏が山になっているので、元々倉庫として使っていた場所らしい。

 風も通るので湿度もこもらない、北側で日陰なので、温度もあまり上がらない。冷蔵庫が使えない現状では理想的な貯蔵庫だ。


「いいんじゃない?ここなら誰でも来やすいし」

 ドアの蝶番の様子を確かめていた迦楼羅がOKを出す。

「でしょ?よし、基本の貯蔵庫はここにして……。迦楼羅、今からお米のパッキンするの手伝って」

「パッキン?」

「そう。お米って精米したら長持ちしないって知ってる?」

「聞いたことあるわね」

「でも、保存方法によってはこういう冷暗所なら3年くらいは保存する方法があるのよ。ねえ、今、お米炊くときって一回何合くらい?」

「そうね。その日のメニューにもよるけど、今の人数なら一日4合くらいかしらね」

「じゃあ、今開けてる10キロ袋は一つ残しておいて……。精米したお米って何キロくらいあったっけ?」

「そうね……開けていない在庫なら、多分10キロの袋が60袋くらいはあったと思うわ。あちこちで買ったからね」

「玄米は?」

「玄米は10キロの袋が5つくらいかしら」

「ってことは精米が600キロくらいかぁ。パッキンする袋足りるかなぁ……。玄米のほうも同じ様にしておきたいからなぁ……。とりあえずあるだけやるか」

 足りなければまた買いに行けばいい。

 先延ばしにすればするほど面倒になるのが地道な作業と言うものなので、やると決めた時にするのが一番いいのだ。

「よし、じゃあ市庁舎に戻ろう!」

「ええ」



 市庁舎に戻ると、ユウキと彩羽ちゃんがロビーの応接セットで、食い入るようにポータブルプレイヤーを覗き込んでいた。

 何を見てるのかと思えば、猫型ロボットの映画のDVDだった。

「彩羽がこのアニメ大好きなのよね」と桃ちゃんが水を飲みながらカウンターから二人を見守っている。

 千里は……。

 何やら物資の片づけをしてくれてる。ちょうどいい、千里にも作業の手伝いをお願いしよう。

「ちーさと。ねえ、ちょっと別の手伝いしてもらえない?」

 後ろから声をかけると振り向いて首をかしげる。

 うん、やっぱり私の親友可愛い。最近やっと血色も戻ってきて、体のあざも薄くなってきた。

「何するの?」

「お米の長期保存のために袋ごと真空パッキン」

 目の前にあった脱酸素剤と袋のセットを手に取る。

 ギリギリ足りる……かな?

「迦楼羅、お米どこ?」

「未開封の在庫はそっちのブルーシートの下のパレットに積んであるわ」

「分かった。じゃあ三人でお米を袋に入れる作業からしようか。あ、桃ちゃん」

「何よ」

 最近、桃ちゃんって呼んでも反論しなくなってきたなぁ。

「桃ちゃんにも一つお仕事お願いしたいんだけど」

「何?」

「そこにある台車使うから出しておいてくれる?」

「はいはい」



 精米を10キロの袋のまま専用の袋に入れて、脱酸素剤を入れてから、スライダーでしっかり閉じる。それから充電した小型の掃除機で空気を吸い取るバルブ部分から空気を吸い取って、カチカチになるまで真空状態にする。少し残った酸素は脱酸素剤が吸ってくれるので、これでカビも出ないし虫の卵も死ぬ。酸素がないからね。これで2年から3年、保存場所次第では5年はもつらしい。

 お米の保存方法を調べてて知った技だった。真空パックは最強の保存方法だと、好きな配信者さんも言ってた。だから、防災備蓄に電池で動くテーブルの上に使う小型の掃除機入れておいたんだよね。大正解だったな。

 迦楼羅と千里は感心したように私の見本を見ていた。

「ほんっと結花の防災オタクっぷりはすごいわ」

「まあでもそのおかげで、アタシたちも助かってるんだけどね」

「はい!じゃあ残りもやっちゃうよ!」

 三人でやると早い。

 でもどうしても1枚足りなくて、パッキングは玄米を優先した。

 それを台車に乗せて何度も往復して、裏の貯蔵庫のパレットの上に重ねた。

 うん、これだけあれば、今の人数なら2年以上は大丈夫。

「これ、粉類にも使える保存方法らしいから、小麦粉とかもこれで保存しておきたいんだよね……」

「じゃあ、保存袋が必要ってことね」

「うん。ホムセンかドラストに売ってるよ」

「じゃあ次の調達はそれが最優先かしら」

「一緒に脱酸素剤もね」

「了解。あ、結花。次もアタシと桃ちゃんで行くからね」

「え、なんで?」

「……そのほうがいいからよ」

 迦楼羅の厳しい視線に、向こうの状況の悪化を察知する。

 確かにそのほうが安全かもしれない。

「分かった。じゃあリストだけは作るからよろしく。あの袋結構お高めなんだけど、ホムセンなら少しは安いと思うから」

 迦楼羅と桃ちゃんが家にあったという現金をくれたので、これで買える範囲でリストを作らないと。


 2人が持って帰ってきたリスト外の物資に最初はびっくりしたけど、桃ちゃんに必要性を説かれて納得した。

 「避難」はいつも頭にあったけど、今ここで作ろうとしている「生活」には考えが届いていなかったことを反省した。

 そうだ、今ここで作ろうとしているのは「生活」だ。そちらにシフトしないといけないことはたくさんある。

 自分だけが生き延びるためだった「避難」からは今はもう違うのだ。

 島のルール作りも「生活」をメインにアレンジすべきかなぁ……。

 人の「普通の生活」には必要なものが多すぎる。いや、便利にするために必要なものを多くしてきたのが私たち人間なのだ。


「そうなると……島に残ってるものもきちんと調べないといけないなぁ……」

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