閑話休題 ―あの日のユウキ
ちょっとしんどい描写多めです
ママが帰ってこなくなって何日経ったのか分からないけど、ごはんはもう1週間食べてない。
お水を飲んでがまんしてた。
冷蔵庫を勝手に開けたら怒られるけど、お腹が空いてたから開けたけど、中にはママの好きなお酒しかなかった。
……おなかすいたよう。
僕は床に転がっていた100円玉を見つけた。
ママに何度か連れて行ってもらったスーパーを思い出す。
あそこは安くていい、とママが言ってた。じゃあこの100円玉でも買えるごはんがあるかもしれない。
ぼくは靴を履いて家を出た。
あまり外に出たことはなかったけど、スーパーの看板は家から見えていて大きくて目立つから迷子にはならないと思う。
迷子になったら大人の人に助けてもらえばいい。
でも何だろう、大人の人がいっぱいうろうろしてる。なんか痛そうだし、大丈夫かな……。
ママがお酒に酔った時みたいにふらふらしてるし。
僕は狭い道を走ってスーパーに向かった。そこには痛そうなふらふらしてる大人がいっぱいいた。スーパーの入り口近くの電柱に隠れてどうしよう、と悩んでいると、駐車場に一台の車が入ってきた。
小さなトラックだった。
トラックの後ろには何だか色々積んである。
僕はスーパーに入っていった大人二人を見て、このトラックに乗ったら別の場所に行ける、ママももう帰ってこないあの部屋に帰らなくてもいい、と思って、トラックの荷台によじ登った。あの部屋に戻るのが、怖かった。
いろんな袋がある間に潜り込むと暖かくて嬉しかった。
そしてそのまま寝ちゃったんだ……。
ガタンって音がして目が覚めた。
どこか着いた?って思って顔を出したら海が見えた。
テレビでしか見たことがなかった。すごく大きい……。
荷台から降りて周りを見回すと鳥居が見えた。
運転席に大人の人はいなかった。僕は鳥居のほうに走って行って中に入ってみた。そこには小さな建物があった。
僕一人くらいなら寝られるかな……。
それから鳥居の外に出てみると車はなくなっていた。でも車の向こうに大きな建物があって、僕はふらふらと引き寄せられるようにその建物に入ってみた。
誰もいない。でもなんかいろんなものが積んである。あ、さっきの車に積んであったやつもある。
食べるものあるかな……。
僕は、100円で買えるもの、と呟きながら荷物を見た。
パンとかおにぎりのほうがいいんだろうとは分かっていたけど、チョコレートを見つけてしまって思わず手に取っていた。




