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転生天使の変わった日常  作者: ふゆふゆ
久々感の日常編
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121話 再会

 牢獄は天界らしからぬ暗くてじめじめしている。そんな異様な空気感の中、ゆうくんを見つける。


 ゆうくんは最初ボーッとした感じだったけど、私が来たことを認識したのか、徐々に意識がはっきりしてきたようだ。


「な…んでここに…? ……え? うらら……だよな……?」


 ゆうくんは膝で立って柵まで寄ってくる。私は「もちろん」と笑いかける。


 手足は縛られているが身体に傷などは見られない。多少の拷問などはされてないようだし、ゆうくん自体やつれてないようで隔離されながらも不自由は無いのかなとも思う。


 そんなゆうくんを一目見て、私はあの夢を不意に思い出した。


「っっ……! …………っ……」


 夢の中の酷い姿のゆうくんが脳裏に浮かび、私は頭を片手で抑え、涙が我慢したが流れた。夢であると、現実ではないと、信じているがそれでもあの恐怖は簡単には消えない。突然涙をこぼす私にゆうくんは戸惑う。


「おい、大丈夫か?」


「うん……嬉しいから…」


「泣くほどなのかよ」


 会えて嬉しいのも事実。夢の事は念のため話さないでおこう。悟られないように適当に誤魔化した。


 少しして落ち着き、私はあのあとの事を知る。


 人間界に戻る前にキャンベールら現七大天使に連れられ天界に行った。悪魔の美鈴ちゃんとクレアはもちろん、悪魔の力を得たゆうくんの三人は今の形になり事情聴取が開始された。


 クレアは最上位級悪魔だし、美鈴ちゃんはアスタロトの力を継承したし、ゆうくんは天使であるにも関わらず悪魔の奴隷となっていたので話は簡単には収まらない。


 しかし、これは仕方のないことだ。最初に私が動かなければこうはならなかった。日常が壊れることはなかった。


 私はいつもの日常に戻りたいと思っているけど難しい状況になっている。


「うららは悪くなんてないよ」


「え?」


「どーせお前、自分のせいで今のようになったって思ってるだろ? またそうやって自分で抱え込もうとしてる」


 図星である。やっぱり表情がでていたのか、ゆうくんにも今の考えを読まれる。


「大体なぁ、今回の件は全部美鈴のやつが悪い。文句ならあいつに言えよな」


 私が動いたのも美鈴ちゃんの親を助けたいがため。そこから始まったと思っていたけど、元凶は美鈴ちゃんだとゆうくんは仕返しのようにからかって言う。


「そういえば美鈴ちゃんとクレアとは別々だって聞いたけど、会ったりしてないの?」


「そういや会ってないな。自分の事で手一杯だったし」


「何かされたりしなかった?」


「心配ない、質問されただけだ」


「良かった…」


 こんな狭い空間に閉じ込めていたから、いくら天使とはいえ少し不安だった。でも本人から大丈夫と聞けたので胸を撫で下ろす。


 安心したところで私は今知りたいことを聞いてみる。


「ねぇ、これからゆうくんはどうなるの?」


「う~ん。正直分からん。前例も無いし」


「だったらその紋章を、悪魔の力を消せれば……」


「それはダメだ」


「え……?」


 ゆうくんは私の言葉を遮った。もしかして消えないのかな?


「これは……今後俺がちゃんと向き合っていかないといけない…………気がする……んだ…」


 しかし、ゆうくんには考えがあるようで、うつむき、言葉を詰めながら言った。


「そっか……ゆうくんがそう言うなら……私はそれを信じるよ」


「っっ……! 信じ…て……くれるのか……?」


 ゆうくんは顔を上げ私を見てくる。ゆうくんはおそらく無意識にダメだと言った。理屈ではなくとも心がそう命じたんだろう。だったら私がそれを拒否するのは野暮だと思う。


「もちろん。それに美鈴ちゃんやクレア、れいくんとかもいるから今さらだよ」


「………フッ、そうだったな」


 たとえ悪魔の力を持っていたとしても、すでに私たちは悪魔本人と一緒に居るじゃない、と私は笑いかけた。つられてゆうくんも笑う。


 笑いも冷め、一息つく。ずっと笑っていられることはない。悲しいことや辛いことを笑顔で誤魔化しても現実が押し寄せてくるだけ。


「元に……戻りたい………」


 ゆうくんとの楽しい会話は今『檻』という現実に阻まれている。事を行った行為がこの結果。


 もう一度、何の隔たりも無くずっと笑顔でいられるような日常に戻りたい。だが現実という壁が全てを押し潰して無に帰す。


 時間が戻ればどれだけ良いだろうか?

 やり直せたら今が変わっていたかもしれない。私はそう思いながら呟いた。


 現実にうなだれる私を見てゆうくんは言ってきた。


「なぁうらら、元に戻りたいか?」


 あたりまえだ、と、愚問だ、と私は頷く。


「もちろん俺だって前の生活に戻りたい。案外悪くないって思ってるからな。だからさ、……」


 ゆうくんは周りに誰も居ないのに、私にだけ聞こえる音量で続きを言った。


 ◆◆◆◆◆


「おかえり。どうだった、悠翔は?」


「うん、元気そうだった」


「それは良かったね」


 途中で別れたれいくんの元へ戻ってきた。私はさっきの言葉を思い出す。


(ゆうくん……本当にそんなことが……)


「どうかしたの?」


「あ、ううん、何でもない」


 考え込むところをれいくんに問われるが適当にした。怪しすぎる私をれいくんは見つめてきて私の目が泳ぐ。


「ま、いいや。で、次はどうする? 美鈴ちゃんの方にでも行く?」


 れいくんは次を促す。美鈴ちゃんにも会いたい。


 でも今は別の事を考えていた。


「いや、私もう一回ペラシュエルさんの所に行く」


「………怒りにでも行くのかい?」


「そうじゃない」


「そこに僕は?」


「来なくてもなんとかなる……と思う……」


「疑問型なのね…」


 きっとれいくんは具体的に言わなくてもどうせ私を見て行動する。かといってれいくんに頼るわけじゃない。


 どれもこれもペラシュエルに私の話をちゃんと聞いてくれたら、の話なんだけど……


 そうして再び神殿に向かうべく出口へ繋がる通路の途中で、れいくんは立ち止まった。


「っ…! へぇ~……こんなところに、居たんだぁ~……」


 れいくんは通路の先にある牢屋を見ている。何かと思い私も横から顔を出す。


 すると突然魔力を感知。その主はれいくんで、次の瞬間れいくんはその先へ向かって攻撃を始めた。

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