118話 酷い夢
前と書き方を変えました
セリフ前の文字を失くしました
目の前が暗い。体の自由が効かない。何も聞こえない、感じない。
意識している内に視界が徐々に良くなり見えてきた。体も動かせるようになってきた。何か聞こえてきた。そして痛みを……
「………ッハ!!」
気がつけばそこは廃墟だった。それも普通の廃墟ではない。
「あれは……学校?」
崩れた瓦礫やその広さ、構造で想像がつき、私の通ってる学校だった。廃墟になるほど崩れていたのは学校だけではなく、周りの住宅街も同じことが言えた。
いつもの光景が、日常が……
「崩壊……してる…?」
何があった? どうしてこうなった?
直前の覚えている記憶を辿る。
「…あれ……何も思い出せないや………?」
思い出せない、分からない。わけが分からず混乱してきた。
「そうだ皆は?」
先ほどから崩壊している町並みが目に入るだけで、まず人の姿を見ていない。人どころではない。これだけの崩壊がありながら天使や悪魔すら居ないのだ。
「っっつぅ……!」
走りだそうとすると足が痛んだ。足に大きめの切り傷を負っていて血が流れていた。
でも今は状況を判断するために急ぎたい。ある程度傷を癒すとすぐに立ち上がった。多少の痛みは我慢する。
走っているとついに誰かを発見した。しかし、その人は地面に倒れている。近づき確認すると。
「ゆう………くん……?」
ゆうくんらしき人物は片腕片足がもげていて、背中の羽は無残にも全てむしりとられている。止まらない血が辺りを濡らして鉄のようであり生々しい匂いが鼻を突く。
「美…鈴ちゃん……?」
狭かった視界がさらに広くなり辺りを見渡すと近くに美鈴ちゃんも横たわっていた。
「彩さん、お母さん、お姉ちゃん………」
知った顔が次々と見える。全員ゆうくんと同じようにボロボロで血を流しピクリとも動かない。人間の、というより生物として機能できる部分が集中してボロボロだった。
「…………」
私はそんな皆を見て……
何も思わなかった。
何も感じない、悲しいと思わない、悲しいと思えないが正しいか。だから涙も出なかった。
誰がやったのか。その犯人に対しても、怒りは沸かなかった。
あれ?
私……なにしてるんだろ……?
独り孤独の中私は……
◆◆◆◆◆
「……ッハ!!」
私は起き上がった。
(夢……?)
私はそこが自分の部屋、自分のベッドだと気がついた。
(何だったの……あの夢………)
寝起きなので直前の夢をかなり覚えている。酷い夢だった。
「………………うっ!」
思い出していく内に気分が悪くなり吐き気がした急いでトイレで流し顔を洗い心を落ち着かせる。
(大丈夫……まだ悲しいと思える)
夢の時は何も思わなかった。だけど今思い出すと、吐いてしまうほど気持ち悪くなり悲しくなった。
私の感情はまだある……
ルシファーとの戦いから一週間、始祖光の力を酷使した私はその反動なのか、前までの私と何か違うと薄々感じていた。それが感情だったなんてね……
始祖光は強い。強すぎるがゆえに神に近いのではないかと時々思う。神に近いがゆえに、感情が欠落していき冷酷になってきているのかもしれない。
(いやだ………怖い…………)
そう考えると背筋が寒くなる。これからこんな恐怖を抱えていかないといけないの?
「うらら~、お友達来てるわよ~」
「……?」
一人落ち込んでいると下からお母さんの声が聞こえたので向かった。
◆◆◆
「うららちゃん元気か~い?」
家の店は営業中なので裏口から出る。来たのはれいくんだった。れいくんは陽気に挨拶してきた。
「れいくん…………ぅぅ…」
私はそんなれいくんを見てつい無意識に体を寄せて泣いてしまった。
「ちょ、ちょっとどうしたのかな?」
いきなりの行動にさすがのれいくんも戸惑っていた。すると、何かと不思議な彼は私の思っていることを察したのか、優しく抱きついて頭を撫でてきた。
「やっぱり僕の予想は当たってしまったか……」
「…っ………予想…?」
「始祖光を使いすぎたんでしょ? きっとその反動が何かあるんじゃないかなって思ってたんだ」
彼はなんでもお見通しだ。こうなることが分かっていたんだ。でもお見通しだからこそなぜか安心感があった。悩み事を共有出来る相手が居るからなのかな。
だから私はれいくんにさっきの夢のことを話した。話を聞いたれいくんはある提案を持ちかけてきた。
「うららちゃんこの後暇かい?」
「う、うん大丈夫だよ。今日土曜日だから……」
「そうかい、じゃあこれから僕とデートしよう♪」
「…………え?」
え??




