115話 悪魔の王
それはゆうがサルドを倒した時だった。ゆうの異質な力に他が気づかない訳でもなくキャンベールもといコデルロス、ルーバッカ、さらにはイェルマインでさえその異物を注目する。
コ『おいおい、なんなんだあれは?』
ルー『天使なのに悪魔? 悪魔なのに天使?』
キ『……?』
イ『なんだあいつは? 我の魔力に感化されて……いや、利用された?』
イェルマインは驚き思考を凝らす。その瞬間、コデルロスに片手で顔を掴まれた。
コ「おい、あれはいったいなんだ?」
イ「が!……知るか、それはこちらが知りたいくらいだ」
イェルマインはコデルロスの手をはらう。その間もイェルマインは考える。
イ『我の魔力が感化したのならあいつは悪魔ということになる。だが奴は天使だ。相反する力を利用することは出来ない。いったいどういうことだ?』
天使が魔界のゲートを、悪魔が天界のゲートを開けないのと同じで天使が悪魔の魔力を使うことも悪魔が天使を使うことは出来ない。だがゆうは違った。
ゆ「手を貸すぞ」
ゆうはキャンベールの元へ行くが、
キ「待ち人の所にでも行け」
キャンベールはゆうを行かせた。
ルー「キャンちゃん! なぜ始祖光の護衛を、ましてや今何がなんだか分からない奴を行かせたんだ?」
コ「そうだ! 何をしだすか……」
ルーバッカとコデルロスは異質なゆうを疑う。
キ「自分で言っただろう。あいつは始祖光の護衛だ。だから行かせた」
キャンベールはそう言い切る。2人はまた何かを言い出そうとするが口を閉じた。
そしてルーバッカがリュカの相手をしている間にブォウンは独り呟いた。
ブ「輝ける光は始祖の光。落ち行く闇でさえ始祖の前では全て還る。それはたとえ……」
ブォウンの言ったその最後の言葉は天魔の関係を根幹から覆すような言葉だった。
◆◇◆◇◆◇
ルシファーが私から距離をおき魔力を手元で集めだした。
ルシ「そろそろ沈んでもらおう」
その魔力はどんどん膨れ上がっていく。
ゆ「うらら!」
ゆうくんが私の隣に追い付いて立った。これは私の問題なのに、私がどうにかしないといけないのに、なぜかゆうくんと一緒に来てほしいと思ってしまう。
でもそれは間違いではない。選択肢の一つとしてあるだけ。私が1人で全部抱え込むから心配される。それは今までがそうだったから。
今では私が1人じゃないことを知っている。私が1人で背負わなくても良いことを知った。美鈴ちゃんやクレアには1人でやるとは言ったけど、ゆうくんにはむしろ手伝ってほしいと思った。
別に美鈴ちゃんとゆうくんに格差があるわけじゃない。だけど私が出来ないことをゆうくんなら補ってくれると思ったから私はゆうくんを選択肢の一つとして選ぶ。
ルシ「おとなしくしていれば済むものを。痛みを与えないと分からないようだな」
ルシファーは集めた魔力を撃ち放たんとする。私はゆうくんと目を合わせお互いコクンと頷き私は左手、ゆうくんは右手でパチンと叩いた。
ルシ「これが悪魔の王たる力だ!」
ルシファーの魔力は拡散し四方に飛び散る。ルシファーを中心に周りに魔力がぶつかると同時に爆発して地面がえぐれていく。周りを一切気にしない破壊行動。
私とゆうくんは魔力が放たれたと同時にルシファーに向かって飛び出した。『力の共有』マークが輝き2人とも素早く避け、素早く近づいていく。
私は近づきながらも勢いでゆうくんに向かって魔力を放った。ゆうくんも同じく避けながら近づくけど避けた先に別の魔力があり避けられそうにもなかった。
しかしその魔力は私がゆうくんに向かって放った魔力がぶつかりゆうくんに当たる前に爆発した。爆発の煙の中からゆうくんはそれでも先に進む。まるでこうなることも分かっていたかのように。私もゆうくんを助けるためにそうなることが分かっていた。
ゆうくんは地面を蹴り一気にルシファーとの距離を縮めた。その勢いのまま剣を振るう。しかしルシファーはそれを避ける。ほんの瞬間であったのに避けられた。
しかしルシファーは避けた先で私が事前に曲線に撃っていた魔力を横から受けた。
ルシ「ぐあっ!」『なんだこいつらは? 急に動きが変わった?』
ルシファーは態勢を立て直すとすでに下からゆうくんが剣を振り上げようとしていた。さらに私もゆうくんと同じタイミングで上から魔力を撃とうとした。
それでもルシファーは魔力でガードした。上を手で、下は足で。しかし私たちが圧しているのはこれまた事実。
ルシ「ぐ……ぬぅ……ぅぅぉおおおお!」
圧されるルシファーは力を振り絞り魔力による衝撃波で私たちを押し返す。
ゆ「うお!」
う「ふっ……!」
その拍子、私は押し返えされながらも息を止めとっさにルシファーの下に魔法陣を作り出し指先を上に向ける。すると魔法陣から光が立ち昇りルシファーは光に呑まれた。息を止めたのは急だった事と力を込めるため。
ルシ「ぐぅぅうわぁ!」
ルシファーが悲鳴をあげる。だけどすぐに同じくらいの魔力で弾き返した。
ルシ「はぁ……はぁ……なぜだ……我は悪魔の王であるぞ……」
ルシファーは息を切らしこちらをにらんでくる。
ルシ「お前は少し力を持ったぐらいで、しかも貴様はたかがそこらの底辺と同じ……」
ルシファーは自分を基準に考え戸惑う。昔と今ねぇ……あの悪魔の王をみるとついそう思う。
そこまでして昔と今が違うのか、それとも他がルシファーに追い付かなくてルシファーが自分に過信してたゆえなのか。それは分からない。
だけどこれが本当に悪魔の王なの?
強いんだけど少し拍子抜けというか……
なんて事をつい思っていると美鈴ちゃんの声が聞こえてきた。
み「ちょっと待ちなさい!」
レッケルがルシファーの近くに寄り、
レ「ルシファー様、ぜひとも私の力をお使いください。それと……」
それと、から聞き取れなかったけどルシファーはレッケルの言葉を聞いてニヤリとした。
う「はっ! いけない!」
私は止めようとしたけど見えない魔力を感じたので避ける。しかしその間にルシファーはレッケルの胸辺りに手をあてた。ゆうくんも飛び出すけどこれまた魔力で阻害される。
レッケルは魔力をとられたのか全身が黒くなり倒れてしまいそれっきりピクリとも動かなくなった。レッケルの力を奪ったルシファーはクレアの結界のある所に向かい破壊した。まさか!
う「クレア!」
ゆ「おい!」
私はクレアの元へ向かった。結界が破壊され中からクレアとムスタファ、ダヴィッドが出てくる。
ルシ「フハハッ」
ルシファーは背中の翼でムスタファとダヴィッドを貫いた。そのままルシファーは手をクレアに向け魔力を放つ。
だけど私はクレアの前に飛び込み守った。
ク「な! うらら?」
貫かれた2人はレッケルと同じように黒くなり倒れた。ルシファーは他人の魔力を奪い不敵に嗤いはじめた。
ルシ「ハハハハハッ! 力が漲ってくるぞ! 昔のように!」
う「っ……! 他人の力を奪っておいて何も思わないの?」
私はこう言うも意味はなく、
ルシ「この我がそんな事思うはずがない。他人など所詮他人、どうでもいい」
う「っっ……!」
やっぱり悪魔は考え方が最低だ。私は下唇を噛む。ルシファーは高く飛んだ。
ゆうくんと美鈴ちゃんが近くまで来る。
ク「ちょ、どういうこと?」汗
み「ヤバそうなのは分かるわ」汗
ゆ「……」汗
皆冷や汗をかくぐらい今の状況を理解しようとする。
私はどうやら勘違いしていたみたい。ルシファーが弱いわけなかった。ルシファーも七大天使と同じように大戦で力を失っていた。それで今回復活したとはいえアスタロトの力を借りただけで不完全だった。
きっと本当はもっと強かったはず。それで今アスタロトだけでなくレッケルらの力まで取り組み元のルシファーの力に近づいて行っている。
私がもっと早く気づいて決着をつけられていたら……
う「美鈴ちゃんゆうくん」
ゆ、み「ん?」「なにうららちゃん?」
ク「あれ私は?」
私は2人に言う。
う「私って悩んでばっかりだと思う?」
ゆ、み「あたりまえだ(よ)!」
う「っっ?!」ビクッ!
引くぐらい即答の速さで答えられた。でもそれはそれで少し安心というか……
う「私まだ本気を出してないって言ったの覚えてる?」
ゆ「っっ?!」
み「えっ?! ヴィンフリートの時の?」
う「そう。正直私だってどうなるか分からない。だから……」
世界のバランスを保つために始祖光が居る。そんな私が本気を出すとどうなるか分からなかった。
ゆ「分かってる。それで悩んでたんだろ?」
う「え?」
み「もちろんフォローするわよ」
ク「何の話か分かんないけど私もよ」
また即答気味で答えられる。それは安心というか、信頼してるからだよね。
う「皆……ありがとう」
み「礼を言うのは後よ」
う「うん」
そうして私はとりあえず悩む事を止め本気でぶつかろうと力を込めた。
なんかまた久しぶりの更新になってしまったようです。(他人事)
でも最近またモチベ上がってきたからペース上がるかも。(願望w)(@^^)/~~~では




