113話 葛藤
記憶、もはやそれは私だけのものではなくなっている。いや元から私が始祖光になった時からかもしれないけれど。私の記憶は始祖光の記憶ともう同一化してる。
私は天使の、昔の大戦の記憶がある……とは実は言いがたい。どっちなんだと思われるけれど、大戦があったことは分かる。だけどその詳細が詳しく分からない。天使の集合体の記憶なのにも関わらず、よ。何者かがそうなるように仕組んだんだきっと……
だけどそんな記憶を頼りに確信が持てるものもある。
ルシ「我を……助ける……だと?」
う「そのままの意味よ。私は破壊なんて望んでない、力だけが支配の象徴なんて結果的に意味が無い。そんな思考から私は助けると言ったの」
ルシファーを助けるということはミカエルさんだって助けることにも繋がる。
ルシ「結果的に意味が無いだと?」
う「そう、力で支配したところで誰も信用なんてしてくれないよ。ましてや個の強い悪魔ならなおさら……」
ルシ「知るか」
う「っっ!」
ルシファーは私の言葉を遮る。
ルシ「我が始祖光を欲していることは支配にも繋がるとでも考えたのか? だがそれは貴様の考えだろう? まあ大方違っていないこともない」
するとルシファーは目に見えぬスピードで私の隣に立ち私の耳元で囁いた。
ルシ「我は始祖光を得て神になりそして我を愚弄した天界を滅ぼすことだ」
う「っっ?!」
私はルシファーと距離を置いた。何も攻撃してこなかった。
う『愚弄? 何か大戦であったの? あったから憎んでるんだろうけど……』
ルシ「それでもなおお前は破壊衝動しかない我を助けると?」
ルシファーは目的を話した上で私に問いかけてくる。
ルシファーがこうなった理由は何? それに執着する理由も……それでも……
う「……えぇ、もちろん。元よりあなたが復活したのならそれを止めるのが私の役目だから」
ルシ「ハハ、頂上決戦だな」
こんなのただの私の感情だけで動いていると言っても過言は無いことは自分で一番分かってる。誰かの助けになりたいと良かれと思って私は動いていしまう性格上、私に優しくしてくれた人に贔屓してるようなもの。それが間違ってるかもしれないのに……
それを言うと私だって相手の尊重をねじ伏せて私自身の尊重を押し付けていることは悪魔となんら代わり無い。今まで悪いと思っていた敵の方が正しかったなんてこともあるかもしれない。
それを私だけで決めるなんて私が許せない。私が始祖光だから? 天使の集合体だから? そう考えるともう何がなんだか、何が正解なのかが分からないよ……
ミ『気にやむ必要はありません』
う「っっ……?」
頭に直接何か聞こえた。ミカエルさんの声だ。
ミ『今回はそんなに考えることもないですよ始祖光。ルシファーは自分が神になろうとしてその傲慢さがゆえに多くの者といがみ合い争いが起こったのです』
夢で見たあの記憶のことか。
ミ『今になって復讐だとか逆恨みでしかありません。彼しか得をしません。あなたの性格はよく知っています。ですがあなたは私たちのために怒ってくれたではありませんか』
っっ! 私が、さっき暴走した時……
う『でも、それが感情的になってるってことじゃ……』
ミ『私はそれが未熟だとは思いませんし正しくないとも思いません』
う『え? どういうことですか?』
ミ『それが知的生命体だからです』
知的生命体、知性を持つ生物のことで人間や天使、悪魔などの考えて行動する生き物をさす。
ミ『誰だって誰かのために何かをしたいと思う気持ちは持っています。それは簡単に止めることは出来ません。だから争いが起こるのですが……しかし一方的な感情はやがて自滅するだけです』
う『つ、つまり……』
ミ『はい、あなたの言う通りルシファーは誰からも信用してくれないですし誰も味方など居ません』
う『っっ?!』
私は目を見開いた。たとえ私が感情的になってルシファーを倒したところで誰もルシファーの味方はおらず何も問題ない、と。な、なんでそんな考え方が出来るのよ? これじゃあミカエルさんがよっぽど悪魔っぽい考え方をしてるじゃない……
ミ『争いなんてものは些細なことからいくらでも生まれてくるのです。天使でもそう思うときもあります。あなたの怒りもそうやって生まれたのでは?』
そ、そうだ……私の暴走は大切な人が傷ついたから怒ったものだ。つまりミカエルさんはこう言いたいんだ……
「御託なんてどうでもいいからルシファーを討て」
「いちいち迷うな面倒くさい」と……
今までだってそうだ。フェリさんやウリエルさんとか天使は皆すごい好戦的だった。私のイメージと全然違った。天使はもっと優しくて慈悲深いと思ってた。大まかにはあってる。
だけど悪魔に対してならどうでもいいんだ……
堕天使は天使にとって裏切り者だから、裏切られたから。天使も許せないということなんだ。
ルシ「ん? どうした?」
私はルシファーが前に居て戦う気満々だったのに自ら膝を着いて頭を抱え込んだ。
み「え?! うららちゃん?!」
遠くから美鈴ちゃんの声が聞こえてくる。そんな美鈴ちゃんもクレアと一緒にレッケルの相手をしていた。なのに美鈴は私にも注目してる。ルシファーを私に任せたのだから見守るのも当然だからだ。
う「私……私、は…………」
ルシ「……?」
ルシファーでさえ私の行動に戸惑うようで何もしてこない。
私が1人で勝手に崩れ落ち頭を抱えたから。
私が1人で勝手に迷い始めたから。
私が1人で勝手に葛藤してたから。
私が1人で勝手に……自信を失ったから……
私は、私はそんな天使のために悪魔を相手していたの?
私の理想はそんな結果だったっけ?
私のやりたいこと……目的……?
ミ『しゅ、始祖光?! どうしたのですか? 早く立たないとやられてしまいますよ?』
ルシ「おい、いきなりなんだお前?」
2人の天使と悪魔が言い寄る。私はどっちを選ぶべきなの?
ミカエルさんの言う通り悪魔は倒すべく敵だと決めて私の御託を無視するのか……
それとも、
私の御託を優先して想像つかない結果を目指すのか……
どちらにしても厳しい選択になってしまうと思う。楽をするか苦労するかの違いだ。楽を選ぶと私が私でなくなってしまうかもしれないし苦労を選んでもただただ大変なだけ。
もしかしてこうなることも最初から決まっていた? 私が始祖光になった時から?
そうか、私が始祖光として同一化したから決まっていたのかもね……お父さんの運命が決まってたように私の運命も……
私は1人で勝手に絶望しているとまた声が聞こえてきた。それは頭に直接ではなく、
ゆ「うららーー! 来たぞー!」
う「………ぇ?」
ゆうくんが近づいているのが見えた。
うららが天使になったことに絶望する様子を書こうとしたら1話分になってしまった! どう表現したらいいのか迷って書くのに時間がかかってしまいました。うまく伝わったかすら分かりませんが。
戦闘まで持っていきたかったけどそれはまた次回ということで。汗(@^^)/~~~では




