111話 嫌な声
人って嫌いな奴がいるとそいつがなにをやってもその全てが嫌いになると思う。その姿を見るのも、近寄られるのも、声ですら……
?『情けないぞ……ゆう』
ゆ「っっ……?」
それは天使だって同じ事。自我を持っている生き物ならごく普通に起こりえる出来事である。そんな嫌な声は頭の中で響く。この声は……
ゆ『なんであんたの声がするんだよ! ベルドラム!』
ベ『悪魔がそう素直だと思う方がおかしい』
俺の嫌いな奴……ベルドラム、奴の声が聞こえてきた。すると俺は地面に倒れていたと思っていたが、いつの間にかベルドラムと対面する形で立っていた。
ゆ『っっ?!』
ベ『元気そうだったが今のはダサい』
ダサ……!
ゆ『な、なんなんだよこれは? それにお前は死んだはずじゃ……』
ベ『貴様らのいう最上位級悪魔がそう簡単に死ぬと思うか? まあ、肉体的には確かに死んだ。だが今の我は意識、あるいは魂と言うべきか?』
意識? 魂? ってことは……
ゆ『あぁ……なるほど……やっぱり俺は死んでしまったのか……』
体を見てもさっきの傷は無い。痛みも無い。
っっ?!
そ、そうだ……俺が死んだら……キャンベールの言葉が脳裏によぎる。
ゆ『お、俺は……』
そう考えると何か込み上げてくるものが……
ベ『……ブッ、ハッハッハハハハハハハ』
ゆ『……』
ベルドラムは急に吹き出した。
ベ『ハハハーー………いやぁすまんすまん。無様な顔だったからつい』
こいつ……!
ベ『勘違い、ここはゆうの意識の中だ』
ゆ『え?』
いや意味分かんない……
ベルドラムは俺に指差して続ける。
ベ『ゆうはまだ死んでない、意識を失っただけ。じきに目覚める。そんな事より久々に我と会ったんだ……何か感想は?』
ゆ『あるわけねぇだろ』
そんな事って……
俺はそんな事よりベルドラムに会いたくはなかったよ。なんでこんなところで……
ベ『マークは順調か?』
ゆ『コレがなんだって?』
ベ『フム……ただ光らせてるだけで利用はしてないのか』
ゆ『は?』
ベルドラムはいきなり話を手のマークについてしゃべりだした。
ゆ『いやいや、俺はコレのおかげでいつも以上に動けていたが……』
ベ『でも結果がアレだと……』
ゆ『ぐっ!!』
そ、そうだ、力の共有しているはずなのにやられたのは指摘されたくない。でもベルドラムは利用していないと言った。
ベ『バカだな、光ってるだけで強くなったと思うのはただの錯覚だ』
ゆ『……』
ベ『悪魔の我が天使に助言などバカげているが、ゆうだから教えてやろう。利用するとは2つの存在で2人にして1人の感覚で動く、ということだ。それでマークの利用と言えよう』
2人にして1人の感覚?
ゆ『つまり合体?』
ベ『2つの存在でと言った。2人で1人という意味だ』
なるほど、確かにベルドラムと戦った時にうららとすごい連携とれてた気がする。あれが利用出来てたということなのか?
ベ『結局のところお互い離れた場所では真価は発揮しないということだな』
なんだよそれぇぇ。俺はてっきりマークがあればと……
ゆ『まあ少し分かったからいいや……それよりなんで俺にわざわざ教えたんだ?』
ベ『簡単に言えば強くなってほしいからだな』
ゆ『はあ?』
だからなんで敵にそんな事を言う? ベルドラムは本当に何考えてるか分からない。
ベ『ゆうはそれで強くなったと思い込ませておいて実は我が裏から操っていたというようにしたいのだ。いわばゆうは死してなおの我の手駒』
ゆ『は? 俺がお前の手駒?』
ベ『そうだ。せいぜい頑張れ。ゆうが強くなればなるほど我が得をするようにしているからな』
ゆ『いや意味わかんねぇよ』
マジでこいつはなんなんだ?
ベ『最初はただただ始祖光の力が欲しかっただけというのもある。だがそれを必死になって守ろうとするゆうを見て我はピーンと面白いことを思い付いたから我はゆうを連れていったのだよ』
面白いことだと? 確かにベルドラムの実力ならあの時にうららをすでに奪っている。なのにわざわざ俺を連れていった。その理由が結局のところ分かっていない。
ゆ『お前の目的はなんなんだよ?』
ベ『案ずるな、じきに分かる』
ゆ『っっ……』チッ
どうやら俺はベルドラムに呪われているらしい。
ベ『そうだな。始祖光と再開する前にそろそろ目覚めさせてやろう』
ゆ『は……?』
ベルドラムはそう言って俺に向けて手を伸ばし魔力を放ってきた。いきなりのことで俺は避けられそうになく腕でガードしようとして……
◆◆◆◆◆
目を開けると誰かの足が見えた。
ゆ「……痛っっつぅ?!」
思い出したかのように腹の傷が傷んだ。すると、
キ「あれだけの深い傷だ。あたりまえだろう」
ゆ「え?」
俺は視線を上げ見えた足の人物の顔を見るとキャンベールが魔力で回復させている途中だった。時間にしてそれほど経っていないようでキャンベールの傷もまだ残っている。
キ「戻ってきたかと思えばこれか……」
ゆ「……すまない」
キ「誰かが引き留めていたような感じだな」
ゆ「え?」
誰か……嫌なことにたぶんそれはベルドラムだろう。俺が死なないように。
ってそうだ! あいつ最後に何を……
ゆ「ぐっ!」
キ「おいまだ動くな」
キャンベールを無視して俺は立ち上がった。傷はあるがキャンベールのおかげで立てないというわけではない。自分の体を調べるもサルドから受けた傷だけで変わったところはない。
ゆ「わざわざ俺のためにありがとう。これだけ動ければ十分だ」
キ「ふん、別にお前のためじゃない。もう好きにしろ」
キャンベールは羽を広げ飛んで行った。なんだかんだ言ってキャンベールが俺を助けたのも一周回ってうららのためだからだろう。それは俺でも分かりきってる。
キャンベールが俺の側に居たがサルドは居なかったので再びサルドを探すことにした。あれだけの乱戦だが、すぐに見つかるだろう。
すぐに戦えるように剣を作る。その時に異変を感じた。
ゆ「っっ……?! ……ざけんじゃねぇぇぞぉぉぉあのクソ悪魔ああああああぁぁぁ!!」
剣が、いや魔力がさっきより強くなっていた。そして胸の辺りに紋章が刻まれていた。さっきから謎の胸の痛みの原因はコレのようだ。
この紋章は悪魔が使用するもので使用者の奴隷がつけられるもの。つまり隷属されること。だが、この紋章があると使用者の力の恩恵を受けることが出来て実質的に強くなれる。
ふざけるな、なんで天使の俺が悪魔の奴隷なんだ。こんなもの他の奴らに見られたら……
俺は死してなおベルドラムの手のひらの上で転がされるようで、その怒りで満溢れた。これだから嫌いな奴は全てが嫌いになるんだ。
うららと美鈴が覚醒する中でゆうの覚醒です。もちろんこうやってこうしようと道筋は決めていてようやく書くことができたので自分の中では満足です。
最近戦闘描写?(戦闘と言えてるのか分からないけど)ばかりで筆が進みにくいのが現状、、、ごめんなさいもっと頑張ります精進します。
次回はまたこの続きです。(@^^)/~~~では




