91話 日常のその裏で
朝、学校にて私は大きなため息をしていた。
う「はぁぁぁぁ……」
こ「珍しく気分沈んでるわね」
う「別になんでもないよ……というかなんで分かるの……?」
こ「友達何年やってると思ってるのよ、それにうららちゃんは分かりやすいからね」
分かりやすいってなに……?
り「おっはよ~! どったのうらら、元気無いじゃん?」
凛花ちゃんまで……そんなに分かりやすいのかな?
ゆ「……おはよう」
り、こ「お、ゆうじゃん、おはよう」「おはようゆう」
ゆうくんもいつも通り教室に入って来る。私はゆうくんが視界に入らないようにする。
ゆ「っっっ……」『や、やっぱりまだ……』
り「ほうほう、さては喧嘩でもしたのかな?」
こ「なるほどだから……」
う「///っっな?! ち、違うよ!」
こ「ほ~ら分かりやすい」
う「も~~!! 違うってぇぇ!」
視界に入らないようにするだけでそれだけ言われた。ど、どうしてそんなに分かるの? そんなに分かりやすいの?
◆◆◆◆◆
ここは『魔界』、1人の悪魔が足音だけを鳴らし歩いていく。その足音はある牢屋の前で止まった。
?「悪魔序列5位であろう悪魔が……無様だな……」
ア「……ゴフッ………はぁ、はぁ、………ルシファーお墨付きのレッケルか……」
レ「これはどうも、大悪魔の公爵様に知られているとは光栄です」
レッケルは深々とお辞儀する。アスタロトはボロボロになりまた鎖に繋がれていた。
ア「フンッ……で、今さら何用だ……?」
レ「ここのところ、始祖光及びその周りにいる者が力を付けてきました。それも甲斐あり、一度あなたもその手を借り脱出、暴れまわったと聞きました」
レッケルは報告でしか知らない。それをわざわざアスタロトに告げる。
レ「さすが5位の実力です。ムスタファとダヴィッドはかなり手負いを受けた、と……」
ア「ぬかせ……今の悪魔の方が断然脅威的になっているのは分かっているだろうに」
レ「まあそれは認めましょうか。では本題に入りたいと思います」
レッケルはいつになく真剣な顔つきになり話す。
レ「先ほども言いましたが始祖光及びその護衛の者が力を付けています。あなたを一度逃がすまでに……さらにそこには始祖光は居なかったと聞きます。つまり護衛の者がそれほどの手練れだったのでしょう」
ア「あれはただの無謀だ」
レ「そうかもしれません。しかし、護衛もそうですが何より始祖光の成長が早い、我々の予想よりも早いのです。このままでは逆にこちらが脅威に晒されます」
ア「何が言いたい……」
レッケルは目を光らせ、
レ「おや?分からないのですか? 我々があなたの力を使ってあげようというお話ですよ……」
◆◆◆◆◆
そしてまたまた『人間界』にもどる。私は学校が終わりお母さんの手伝いとして店番をやっていた。
う「はぁぁ、今日皆なんなの?」
今日は朝から散々からかわれた。この前のゆうくんの態度に怒っているのを隠してただけなのに……
か「ため息した分幸せが逃げちゃうよ」
う「別に良いもん、今複雑な気持ちだし……」
隣に私と同じ店の制服を着る叶夏ちゃんに言われる。叶夏ちゃんはここのところ毎日店番してる。前から思ってたけどもうここで働いてるのかなぁ?
母「叶夏ちゃん今日もありがとうね。私より働いているんじゃないかしら?」
か「いえいえとんでもない!私が今ここに居られるのは紗愛さんのおかげなんですから、それくらいやって当然です! あ!もちろんうららちゃんも!」
私はついでですか……
か「はい!」
う「っっ?!」ビクッ!
か「ん?どうかした?」
う「いや……」
ビックリしたぁ。考えてる事と「はい」がタイミングバッチリだった。そんな感じでしばらく店番していると、
?「何この変な物? 白や黒、茶色とか色とりどりなやは……」
お客さんがしゃがんでいて気がつかなかった。
う「っっあぁ?!い、いらっしゃい…ま……せ………っっ?!」
そのお客さんは以前に会ったことのある、最上位級悪魔のクレメンティア、クレアだった。
ク「これなんなの……って、うらら?!うららじゃん!」
う「え?あ……」
私のこと分かって来たんじゃ……それとも普通にお客さんとして? するとクレアは周りを外も含めキョロキョロした後、
ク「うらら、こっち来て」
う「え?うん?」
敵だと分かってるのに断れなかった。これが私のミスだった。
◆◆◆◆◆
う「……っっ………っっぅ………っんん……?」
………あれ?ここどこ? 気がつけば私はどこかとても古臭い民家みたいなところの壁を背に床に座っていた。寝てた?
さっきまで何してたっけ? 確か店番しててクレアが来て……ってクレア?!
そこまで思い出したところでドアが開きクレアが入ってきた。
ク「ここまでくれば……あ?!起きてたの!」
う「クレア?クレアだよね? これはどういう……?」
ク「シッ! 静かにして。訳はちゃんと話すから」
すると外から声が聞こえてきた。
?1「確かこの辺りに逃げたと思うんだが……」
?2「すばしっこい奴め! 正体を現したらレッケル様に絶対にその首くれてやる!」
ク「もうこんなところまで……」
クレアは下唇を噛んでいた。
?1「必ず探しだせ! 捕らえるだけなら殺さない程度で抑えておけ!」
?「「ハッ!!」」
そうしてたくさんの足音は遠くに消えていった。そしてクレアは息を一つ、
ク「はぁぁ、ここももうダメね……ごめんね巻き込んじゃって」
う「う、うん、理由を聞かせて」
クレアから事情を聞く。ここ最近、というかゆうくんを連れ去ったベルドラムが死んだ後『魔界』はとにかく騒然としていたらしい。
まず最上位級悪魔の一角が落ちたこと。上位級ならまだしも最上位級ともなれば話は別だ。ベルドラムの治めていた地域付近で統率が崩れ、周辺悪魔や魔物らが暴れだしたという。
そしてもう一つ、始祖光の成長。最上位級を倒すくらいの力を持つようになった始祖光が『魔界』にとっての脅威になりつつあるということ。これが今の『魔界』の現状だそう。
そして驚いたことに美鈴ちゃんのお父さんのアスタロトのことも聞いた。今アスタロトはクレアの拠点、つまり『魔界』の奥の方に囚われているということ。『魔界』の監獄なんかよりヘタすれば脱け出すことは不可能まであるような場所だった。
そこで今、アスタロトは魔力を抽出する機械に繋がれて力を奪われているらしい。
う「そんな?!」
ク「声が大きいわよ! だけど全部本当なの。私が悪魔でもそれだけはウソじゃないわ」
う「っっ……じゃあどうして私に言ったの?敵なんでしょ?」
ク「実は私もこの件に関わっていてレッケルにああしろこうしろって言われているのよ。前にも言った通り私は始祖光を得るという目的が合っていたから協力しただけでレッケルとかの事情に手を貸そうとも思ってないの」
う「そ、それを私に言うの……」
ク「まあまあ、で、うららを魔界に連れてきた理由は……」
?「勝手な行動をするなと言ったはずだクレメンティア」
突然図太い声が家に響いた。ドアが勢いよく蹴り飛ばされ現れたのは、
ク「っっ?!イ、イェルマイン?!」
クレアも驚くほどの者のような悪魔が居た。
本当に久しぶりに出てきた人物が約3名、ってことでそろそろクレアらを本格始動させようと思います。次回はそのいざこざと+αです。(@^^)/~~~では




