閉塞の地探索:海底トンネル②
荷物に不審物がないかを見つつ、使える備品を確認した。全員の説明が終わったと王女の報告を聞いて、装甲車に乗り込んだ。
座席は五人分。ソフィアに助手席に乗るように言われて、前方の独立した席に座らされた。耳当てとシートベルトをすると、レバーやボタンがある箱を間に挟んだ先の運転席にソフィアの従者さんが座り、ちいさく会釈された。会釈をかえすと、後ろの席にいるソフィアが顔を出してきた。
「運転は彼にお任せを。可能な限りゆっくりと進ませますが、お義兄様は障害物がないかを確認しながら、指示してくださいまし」
多くのテントが立ち並ぶ周りに、装甲車は残っていない。後ろに続く王女の装甲車のためにも、先行した人たちが事故を起こしていたら、真っ先に気付かないといけないのか。
「わかりました。速度はお任せします」
運転席に座る従者さんに改めてお辞儀すると、がこん、と重い扉が開く音がした。後ろを見れば、ソフィアのもうひとりの従者さんが降りてきた梯子を上っていく。弟も梯子に手をかけた。
「じゃ、僕は外にいるね」
そういって魔弾銃があるはずの天井に出ていった。なぜか満面の笑みで、ちょっと怖い。
扉が閉まると天井から足音がして、最後に「発射防止安全装置、確認、よし」という声が窓越しに響いた。車内に橙色の照明がつくと、車が身震いをした。ソフィアがレバーの箱にある蓋を開いて、螺旋を描く黒い線に繋がったマイクを口の前に向けて言った。
「定刻一二〇〇、海底トンネルに向かって進入開始」
「進入開始命令、了解。発進」
外から「ふー!」と甲高い弟の声がして、車窓が明るく光る。トンネルの壁に這う線が見えたと思った瞬間、身体が背もたれに押し付けられた。キャタピラは大きな音を立てて、正面の窓の上にトンネルにある配線がものすごい速度で流れていく。
「はっや……!」
キャタピラってこんなに早い物だっけ?!座席の手すりにつかまっていると、外から「いえー!」と弟の楽しげな声が聞こえる。そこにソフィアがマイクで指示を出す。
「アレン、照明を前方にして」
明るい車窓が暗くなって、正面の暗い穴に続く壁が見やすくなった。すると大きな箱を見つける。指をさして叫ぶ。
「箱が……!」
瞬間、滝つぼの傍に居るような音と共に、箱が吹き飛んだ。耳を押さえて首をすぼめると、ソフィアの顔がこちらを覗き込んできた。
「騒がしいけれど、慣れて下さいまし」
不意に車体が浮く。着地して身体が上下に揺れて収まったところで、思い出した。
「ここは危険なので、急ぎますわよ」
そう言えば、天蓋島の中で一番危険な場所だった。錆びついて回りにくい首を前にして、言われた仕事に集中することにした。
海底トンネルは列車を通すために作られたらしく、かすかにカーブした一本道だ。迷う事もないし、基本的に障害物はない。時々道を阻むようにある物は、閉塞の地からくる凶暴な生物に対処する人々の痕跡である。弟たちがどのような仕事をしているかを見ることが出来ると思っていたが、それどころではなかった。
魔弾銃を撃つ音に、跳ねる車体。慣れない環境の中、弟が操る照明に入った瞬間に発砲の指示を出していると、不意に動くものが見えた。
「動く不審物確認」
あれこれ叫んでいては身が持たない。事実を短く伝えることだけに努めていると、不意に影が車体の前にふってきて、明るく照らされている壁が少し前に移動した。眩しい光源が車体の下に移動したと思うと、光が揺れて照明の位置は元に戻った。
なにがなんだかわからない。まばたきをしていると、ソフィアがマイクを握った。
「アレン、前に出ないで」
短い指示に、遠くから「はーい」とつまらなそうな声が聞こえた。ソフィアはため息交じりにマイクを置いた。
「まったく、張り切り過ぎよ」
弟の情緒がおかしいことは無視して、他の気になっていることを訊いてみた。
「あの……狂化動物って、けっこういるものですか?」
「ええ。小型生物は、放電と火炎放射の後、二千度で焼却しないと後が面倒ですわ。大型になると、アレンが必須ですね」
弟が必須とは。箱や木の破片があると伝えて、砲撃の音が鳴りやむと、ソフィアは言った。
「魔素を貯め込んでいたりするので、魔素を吸収してくれる灯光の証が必須です。ただ、トンネルを通れなくなるほどの巨体や群体となると、範囲攻撃と殺傷力を併せ持つアレンが活躍しますわ」
「へ、へえ……」
「冬前には狩りつくしているはずなので、大型は出てこないでしょう。単独の中型ならわたくしや殿下でも倒せますが、アレンの方が手っ取り早いのです」
弟が持っている聖剣を含む、聖具を扱う面々は、誰もが一騎当千の実力者だ。そんな人物が何人もいれば、海底トンネルも少数で突破できるのかもしれない。弟が軍隊なんていらないと言いたげに笑ったのもうなずける。そこに、何処か楽しむような弟の叫び声が聞こえた。無視できなくて呟いた。
「なんで、アレンは楽しそうなのですかね」
「頑張ったらキスしてあげる、と言ったからです」
「なる、ほど」
だから笑顔だったのか。納得していると、光の中に物が映る。指示通りに障害物はことごとく打ち壊され、キャタピラが進む速度が緩む事はない。
どんな相手にも、全力の技巧を駆使してこそ強者というものなのだろう。車体の上で圧倒的な存在感を放つ弟を心配しつつ、トンネルを進んでいった。
明るく照らされても尚続く暗闇に、白い点が見えた。段々と大きくなっていく白い点に、車体の影を見た。
「前方にトンネル出口を発見。車列が見えます」
「速度、落とせ」
「了解、速度落とせ」
ソフィアの指示で、キャタピラの駆動音が落ち着いた。身体にかかっていた圧も緩む。大きく息をはけば、ソフィアの扇子が肩を叩いてきた。
「トンネルを出るまでは、前方確認を維持してください」
「はい」
前を向いたまま返事をすると、正面の車窓の前に弟が立った。頭をずらして前を見ると、キャタピラの車が止まっている。
「車が止まっています」
「停止した車を発見。その場で待機」
「待機指示、了解。駆動維持したまま、停車します」
車窓の風景が止まると、弟が足を大きく開いて左手を腰にある鞘に構えた。右手の淡く白い光がゆらめく剣が、弟ともども照らしてくる。
眩しいのだけど。手をひさしに目を細めて前方の車を見ていると、出口の方から白い服を着た人が歩いて来ていた。
「前方、白い服を着た人物が……三名、車体に接近中」
目を凝らしてみえた事を伝えると、ソフィアはマイクの傍にあるボタンを押した。
「白い服を着た三名、静止し、所属を教えなさい」
「すみません!前方で故障車が出ました!」
「今、運び出していますが、時間がかかるそうです!」
「降りて設営に行ってください!」
手を振る三人の声が、かすかに聞こえた。弟は前を向いて構えたままで、ソフィアはマイク越しに三人へ命令した。
「所属を言いなさい」
「私たちは、灯光教会の者です!」
「白はシリス様付きの方のみが身に着けられるというのに。嘘ですね。アレン、前方にいる三名を捕縛」
窓に居た弟の影が消えた。天井に呻き声が聞こえたと思えば、弟が戻ってきていた。かわらず背を向けて構える姿に、ソフィアははっきりと言った。
「その場で停車せよ」
指示通り車から音がしなくなると、ソフィアはシートベルトを外す。そして「預かっていてくださいまし」と扇子を私に放り投げた。何とかつかみ取ると、ソフィアは扉から外に出て、叫んだ。
「総員、その場に掴まれ!」
ぐっと身構えると、車が浮いた。湯船の中に浮かんでいるようで、履いている登山靴が足元から僅かに見えた。どこかに飛んでいくのではと手すりを掴んで腕を押し付けると、音もなく車体が前進し始めた。前に停まっていた車の影も同じ様にトンネルの出口に向かっていた。
浮遊感に驚いていたら、雪が降りしきる外に出た。車窓の下には、テントや装甲車が並んでいる。設営真っ盛りのなかで、兵士たちはこちらを見上げてぽっかりと口を開けている。車列はトンネルを塞ぐように列をなしていた。
どれが壊れた車なのだろうか。探す間もなく車はテントの上を通り越して、白い雪原に降り立った。数分ぶりの身体の重さに落ち着くと、車の扉が開いてソフィアが乗り込みマイクを掴んだ。
「これより設営を行う。各員は各々の仕事をこなせ」
指示が通ってすぐに、運転していた従者さんと魔弾銃を撃っていた従者さんが車を降りた。入れ替わるようにソフィアが車の中に入り扉が閉まると、大きくため息をついた。シートベルトを外して扇子を渡してから振り返ると、ソフィアは扇子で顔を全て隠すように開いた。
「まったく……」
息を宥めるように呟いたソフィアの扇子は、かすかに震えていた。聖具を呼び出して使ったのだろう。欲しい物がないかと声をかけようとしたら、車の扉が大きく開いた。
「ソフィ、何しているの?」
弟だった。聖剣を鞘に納めていて眩しくはないが、何故か呆れたように苦笑いを浮かべていた。ソフィアは震えながら言った。
「だって……無理よ……」
座席に滑り込んだ弟がソフィアの顔を隠す扇子を剥がそうとすると、動いた扇子の奥にソフィアの口を必死に引き結んで涙目の真っ赤な顔が見えた。弟は片眉をあげていて、楽しそうである。ソフィアは観念したのか、扇子を閉じて叫んだ。
「無理よ!」
「何が?」
「こんなにも馬鹿な事をしてきて、笑うなって言うのが、無理なのよ!!」
肩を震わせて、弟の腕を扇子のない手で叩きはじめた。声を必死にこらえているが、明らかに笑っている。そして堪えきれなくなったのか、声をあげて笑い出した。
「わたくしが、いるのに……そうろ、ぼうが、い……く、ふふ、ふ!」
「そうだねー。ソフィには無意味だねー」
弟はソフィアの拳を受け止めながら、満面の笑みで肩を抱いている。夫婦の顔を見ている気がして、そっと座席を立ったら、弟が唇の前に人差し指を立てて微笑んだ。音を立てないように扉を閉めれば、ソフィアの笑い声は聞こえなくなる。キャタピラの半分が埋まった雪原に降りようかと迷っていたら、王女が侍女さんを伴って宙を飛んできた。
「ソフィアはどうした」
「……軍師と淑女の仮面を外しております」
悩みつつも事実を言えば、王女は装甲車の箱を見て「そうか」と微笑んだ。
「では、設営を行おう」
雪が降る中に、細やかに笑い声が聞こえる。何が面白いのか、まったくわからなかった。装甲車の貨物室の扉を開けて、バックパックを背負って荷物を運び出し始めた。
雪の上に着地した結果、雪を踏みしめるほどに沈んでいく。先に設営をしていたテントの方からは湯気が上がっていて、空の灰色もすこし暗い色になってきた。キャタピラの上で地図を頼りにトンネルの位置関係を見ていたら、ブライアンが怒涛の勢いでハンマーを振り下ろし始めた。
黒いハンマーの頭が振り下ろされた周囲の白い雪が一段、また一段と押し固められていく。雪を掘る手間より、押し固めた方が楽という事か。足場が整うまで待とうと、持ってきた笠を頭にかぶって紐を結ぶ。するとフォスターが隣の装甲車から、こちらのキャタピラに飛びのってきた。
フォスターは帽子と大きなゴーグルをしていて、表情が一切、確かめられなくなっていた。
「レイさん、その頭の道具は、盾ですか?」
「東方の帽子の一種ですよ。日よけにも、雨雪もしのげるもので、軽くてよく使うのです」
「頭上の視界が狭くなって使いにくそうですね」
そんなことを考え事がなかった。何事も護衛に意識が向く人なのだろうな。曖昧に笑えば、フォスターは隣に立ってブライアンの方を見た。足場は装甲車が四台ほど収まる広さになり、雪の壁が立ち上がったかのように凹んでいっている。
「本当にすごいですね」
「そうですね、ブライアンさんの体力が心配です」
雪山で無駄な行動は控えろと、耳が痛くなるほど教え込まれた。出来たとしても絶対にしない行動をしているブライアンに感心していると、フォスターが「いえ、違います」と手を横に振った。
「すごいのは、レイさんですよ」
首をかしげると、フォスターは布で隠れた首元を指でさして言った。
「貴方のそばに居るだけで、こんなにも息が楽とは思いませんでした」
「……すみません、この場の魔素濃度はどれほどですか?」
「先ほど計器で見た限りでは、4に近かったです」
安全に生活できる魔素濃度を越えているようだ。その割に、侍女さんにモーガンはキャタピラの上に荷物を出しているし、ブライアンはこともなげに動いている。違和感に気付くと、フォスターはため息交じりに言った。
「私とレイさん以外は、全員が灯光の証持ちです。この程度の濃度では、気にも留めないでしょう」
灯光の証に周りの魔素を吸収させれば、体内の魔素を消費せずに済むから、むしろ楽なのかもしれない。ソフィアの侍従さんたちも灯光の証持ちとは思わなかったな。他の面々の動きの良さを理解して、フォスターの顔を覗き込む。
「私のテントで休みますか?」
この人も灯光の証がないとなれば、この場で最も息苦しい思いをしているはず。寒冷地の呼吸器の問題は悪化しやすい。提案をすると、フォスターはこちらを見上げたあと、ハンマーを振り下ろし続けるブライアンの方に視線を戻した。
「単独のテントではなく、皆と共同のテントにお休み頂ければ十分です」
「よろしいのですか?狭い方が、効率良いのですが……」
全員が入れるテントに集まって、換気をしつつ暖をとれる方が燃料や魔法具の消費も抑えられる。すると、フォスターの腕から棒が伸びて、私の脇腹を突いた。
「うぐ……!」
「男と一緒に寝るなど、ありえません」
そして視線を切るように、そっぽを向いて言った。列車の中では侍女服を着ていたけれど、変装かもと疑っていた。「大変失礼いたしました」と胸に手を当てて謝れば、フォスターは腕を組んだ。
「殿下に手出しするような事があれば、刺します」
苛立ちを隠さない声に、生唾を呑んだ。戦場で男のテントに女性を誘う愚か者認定されたかもしれない。一言間違えただけで、信用が地に落ちたかも。
この間違いの代償は甘んじて引き受けるべきだ。フォスターに向き直って頭を下げた。
「女性に手を出すことなどいたしません。ご不快な事があれば、言葉の刃で刺してください」
「……良いでしょう。今の言葉を違えた時は、殺します」
ざっくりと強い言葉で刺されながらも、許してもらえたらしい。頭をあげて一息つけば、「テントを立てるぞ」とブライアンが声をあげた。
トンネルに入る前に使っていたテントと同じ物を張っていく。中に温度調節ができる空調の魔法具を置いて、換気の為に入口を開けたままの荷物置場のテントとつなげて、足元に簀の子とマットを引く。靴を脱いで、それぞれが寝床の準備を始めた。
皆がさらに簀の子にマットを置いて寝袋を整えている横で、折り畳みのベッドを組み立てていると、隣に寝袋を置いた弟が眼を輝かせていた。
「なにそれ、折り畳みのベッド?カッコイイ……!」
「業者さんに特注で作ってもらった」
笑みを作って、組み立て終わったベッドに小型のマットを引いて、寝袋を置いた。腰掛けて隣に来るように赤い寝袋を叩けば、弟は私のベッドに座って、目と口を大きく開けてこちらを見た。寝袋を両手でさすり始め、ついには中に手を突っ込み、眉を寄せて悔しそうに言った。
「すごくいい寝袋じゃないかー!!ずるいよー!!」
「装備に手抜きは許されないからね」
自宅にある高級品の中でも五指に入るほど、質とお値段が高いもの。超がつくほどフカフカで、そして自分が初めて貰った給料で得た、思い出深い寝袋とベッドである。探索者の端くれなのだ。舐めるなよと笑みを作ったまま腕を組めば、弟は悔しがりながら寝袋をさする手を止めなかった。
煙突を出したストーブには鍋が置かれ、温かい熱と共に美味しそうな香りが漂い始めた。料理は王女と侍女さん、モーガンが作るらしい。食前の薬を飲もうとバックパックの横のポケットを漁っていると、侍女さんが声をかけてきた。
「レイ様、お時間をいただけますか」
「はい、何でしょう」
姿勢よく表情を一切崩さない彼女についていくと、煮炊きする鍋の前に立たされた。寸胴鍋ではないが、大きな金属の鍋に具沢山なとろみのあるスープが満たされている。侍女さんはスープをおたまですくい取り、小皿によそって渡してきた。
「毒見をしていただきたく」
「わかりました」
スープをすすって、舌の上にのせる。塩味は程よいのに、具の味が溶け出ていないように思えた。侍女さんはもうふたつ小皿にスープを出して、隣のストーブの火を調節しているモーガンに渡し、彼女もすすった。モーガンがそっと呟く。
「殿下が先に味付けしていました」
「やはりそうですか」
侍女さんはおたまで鍋の中をひと回しして、目を伏せた。その後そっとこちらを見たので、小皿を返して伝えた。
「毒はないようです。……もう少し煮て、チーズか乳製品をいれてみるのは如何でしょうか」
「検討いたします」
侍女さんは小さく会釈して小皿を受け取ってくれた。けれど、もう用事はないと言いたげに、ふたりは手を動かしている。乳製品の追加は不採用の様だ。ふと炒り豆を思い出して置いてあるバックパックを漁り、引っ張り出して煙突の下に戻ってきた。鍋に蓋をして、侍女さんは黒い四角パンを切っていた。
「あの、こちらを入れるというのは如何でしょう」
「黒大豆ですか?」
一瞥しただけですぐに素材が解るのだから、料理の造詣が深いのだろう。炒り豆の袋を開けて、数粒を手のひらに広げた。
「先んじて乾煎りしてあるものです。具材を足せば、塩味を和らげてくれるかと」
「豆は長く煮るものでは?」
モーガンが大量の水を注いだ寸胴鍋を火にかけた。水の鍋に蓋をしたモーガンに、侍女さんは早口で言った。
「炒り大豆は、お湯に十五分ほど入れるだけでお茶になり、ふやけた大豆も食べられます」
「そうなのですか」
「レイ様、こちらを頂いても宜しいでしょうか」
炒り大豆の追加は採用されたらしい。うってかわって、ゆったりとした口調になった侍女さんに、微笑んで袋を渡した。
「どうぞ、すべてお持ちください」
手のひらに残る炒り豆を口に放り込んで噛むと、硬い音が響く。モーガンがかすかに眉を寄せたが、侍女さんの目元が和らいだ。
「ありがとうございます」
夕食のスープは赤みのあるスープになったが、具材の味が溶け出ていた。薬を飲んでパンと一緒に食べていると、隣に座るブライアンが囁いた。
「落ち着く味だ」
どんなに違う生活をしていても、通じるものはある。ほっと息を吐く姿に、胸も暖かくなった気がした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次話は制作中です。2026.9.11




