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僕の勝手気ままでアンオフィシャルなものがたり考  作者: 南瀬匡躬


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舞台背景と物語、下見取材について

 今回はジャンルによって必要な話。まずはロー・ファンタジーと日常系SFという括り。ロー・ファンタジーは僕の中でカテゴライズの基準にしているのは、いつもの世界観の中に、妖怪やあやかし、神さま、妖精、魔女などの非日常的な存在を登場させるものだ。そして日常系SFはやはり同じくいつもの生活の中にタイムマシンやテレポーテーション、パワースーツ、スペースオペラなどの超能力や超常現象、亜空間などが登場する世界観と考えている。そう、全部とは言わないが、文芸とエッセイ以外の僕の作品はほとんどがこれら二つの枠内である。

 実はこれらのジャンルで描いた僕の作品は、虚構なのはプロットと設定だけでほとんどの土地は実在している。ぼやかしていたのは最初期の頃の『時神と暦人』だけ。あとは実在する町が多い。町名や番地などまでいくとさすがに虚構であるが、街の雰囲気を伝えたいという気持ちで市町村名は活かすようになっている。


 これが、この試みが同時に僕の感じた弱点でもある。いや、これ僕だけの弱点かな? 実生活が基本なので、本来は取材が必要なのだ。土地勘のある足利や湘南、横浜は特に下調べはいらないのだが、葛西や伊勢は確認しないといけない。「物語」とその「舞台」の作品上の媒介作用である。

 最近だと葛西の地下鉄博物館や臨海公園に足を運んでいる。ほかにも東京タワーの内部はわざわざ小説のためだけに確認しに行っている。


 近場の場合はいいのだが、ちょっと行ってくる、と言って、簡単に移動できない伊勢にはお手上げだ。しかも僕の中にある伊勢市の風景は十二、三年前のままだ。なので筆が進まないのもその原因の一つだ。

 記憶確認のために必ず旅行ガイドのサイトなどで裏を取る。だがそれでもその情報自体に誤まった情報があることに気付かずでやってしまうときもたまにあった。きっと僕が見たWEBの旅行ガイドは炬燵記事でかき上げた観光地ガイドだったのだろう。それ以来資料は信頼できる確かなものを三つ以上で確認するようになった。JTBとかるるぶとか、各市町村の観光協会のサイトなどだ。


 そういった誤情報を避けるために、いわゆる職業小説家の皆さんが行うのが現地確認、つまり取材旅行の類である。トラベルミステリーの作家などは現地視察は必須と聞く。密室の舞台になる部屋さえも参考になる建物に行くそうだ。また実際に時刻表通りに乗り継ぎが出来るのか、というような検証などもしているという。

 でもまあ僕の書いているのはそんな格好いい作品ではない。おまけに経済的に余裕もなく、遠方に頻繁には出かけられないけど、それでも正確さを有する調査は必要だ。過去に二三回やらかして訂正している。

 プロット上、その場所とご利益を物語、プロットの転回シーンに使うため、その情報をサーチエンジンで引っ張った検索順上位の旅行サイトを参考にしたことがある。その時も一応念のため二つ程度のウェブページを見ることにしていた。でも見事に二つとも誤情報で、悲しく笑った僕がいた。勘弁してくれが第一声である。でも結局は念を入れて調べなかった僕の手落ちだ。いくつもの資料を見ればよかったと後悔である。今はもうその訂正個所は改稿して、正しいものに変更しているが、後味の悪い訂正だった。だって真実を言うにも人のせいにしているように見えなくもないからだ。言い訳に取られたら感じ悪いし(笑)。あまり有名でない知る人ぞ知るような観光地、さらりと出すと格好いいけど下調べは丁寧に行った方が良い。ダメダメな僕の少しマシになって得た教訓である。


 近いうちに家と言うか、家系と言うかの用事で、伊勢に行く予定がある。そこでこのエッセイでも話題に出来たらなんて思うけど、どうかな? 十数年ぶりの三重県だ。伊勢も結構変わったのだろうな。人生の通過儀礼の大切な時期なので、愛着のある伊勢と神宮のために、いろいろとおじさんの最後の頑張りである。でもこんな節約格安ひとり旅で体力持つかな?


 そんなわけで未来の猫型ロボットは自宅の勉強部屋の机の引き出しから出てくるが、暦人は神社の境内の片隅に朝日を浴びて現れるタイムゲートから出てくるのだ。そして潮風食堂のメニューには、「幸運の隠し味」が入っている。そんなローファンタジーと日常SFの世界は、いまや大した趣味もない僕にとっては唯一となりつつあるライフワークである。生きているって実感できる文章書きの日常である。

 音楽、文章、歴史紀行。趣味とライフワーク。ではまた。



 


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