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あぶないきちじょうじだんじょん

 「よし、とりあえずこれで準備は完了したな」

「おにいちゃん、ところでこれって水筒とか取り出すには変身解除しないといけないのかな?」

「うーん、確かに。試しに水筒があったところをつかんで取り出してみてよ」

「やってみる」


 千紗は腰のあたりに手をやってゴソゴソしだす。


「なんかあるー! とお!」


 千紗がつかみ上げるとそこには千紗の水筒が現れた。


「やっぱり見た目とかの五感を誤魔化しているだけなのかな。そこにあるとはっきり意識すれば取り出せるようだな」

「本当です。水筒が取れました」


 リザもやってみたようでその手に水筒を握っていた。

 その手を離すとまた消える。


「おー、なんか面白い」


 やはり見た目だけが正解らしい。

 まあ、アイテムによっては完全に分解されて別物になっている可能性もない訳では無いが。

 そもそもURアイテムだからこの手の情報は少ない。

 持ち物を見えなくするってのは、対人で戦うなんてことになったら決め手になりかねない能力だから、同じようなアイテムを持っている人も、たとえその能力を知ったとしても公開しない可能性が高い。


「とりあえず準備もできたしそろそろ出発するぞ」

「「「はーい」」」


 マジックショーのように水筒を出したり消したりしている二人に注意を促す。


「先頭は千紗だ。その後ろがリザと純華ちゃん。そして僕が後方警戒に当たる」

「わかったー」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「わかりました。リザちゃん、左右どっちがいい?」

「妾は左側にする。左手での魔法制御がまだあまりうまくないから、左側に純華ちゃんがいると危ないかもしれません」

「わかった。じゃあ、わたしは右側を歩くね。リザちゃんが攻撃するときはしゃがむようにするよ」

「僕もそうするから後ろも頼むね」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「基本的にはリザが魔法で一撃浴びせて、千紗が撃ち漏らしを叩くような感じで行く」

「わかったー」

「みんなステータスは出しっぱなしで。ちょっと邪魔だけどHPとMPの量は常に把握しておくこと。千紗もスキルを使えばMPが減るからね。純華ちゃんはまだスキルが発動していないけど、歩いている間軽く練習してみてね。索敵をおろそかにしない程度にだけど」

「わかりました」

「オープンフィールドだから、敵が正面から来るとは限らない。一応後ろは僕が気にしているけど、みんなも前方だけでなく後方も確認するように。いつの間にか後ろの人が消えてるとか、ホラーかサスペンスみたいなことも稀によくあるらしいから」

「おー。ホラー映画の定番だね!」

「ダンジョンはそういうお約束を外さない」


 僕の場合はエロアイテムのドロップだけどね!

 URカードのエロ率高すぎだろ!

 ダンジョンって不思議現象のはずなのに人間の常識思考知識なんかを網羅しているんだよなぁ。

 もしかしたらダンジョンが先ではなくダンジョンを作るスキルを持った人が先に現れて、ダンジョンを作ったのかもしれないな。

 まあ、そんな事を考えていても仕方がないけど。


「では出発する。目標は吉祥寺ダンジョンだ」

「えっ? 仙川ダンジョンに戻るんじゃないの?」


 最初は仙川に戻ることを考えていたけど、アイテムボックスまで使ったわけだから、籠城するのであれば吉祥寺のほうが都合がいい。


「仙川ダンジョン付近は荒野と草原と森林と水辺フィールドが混ざりあった複合フィールドだ。地形にバリエーションが有るため、たくさんのフィールドを体験するならいいんだが、実際の戦闘となるとたくさんの地形に対応する必要があるからその切替が難しい。湧くモンスターもある程度地形に依存するから、沢山の種類が出てくる可能性がある。草原と言っても草が結構長く伸びている所も多いし、途中に見通しの悪い森もあるから避けていく必要がある。その点吉祥寺はここからなら荒野フィールドしかない。草木が少ないから見通しもいいし、岩なんかも時々転がっているから、隠れたり拠点にすることもできる」

「なるほどー」

「あとは吉祥寺のほうが人気ダンジョンで、単純に人が多いってのもあるね。誰かと合流できれば、安全性が増す」


 まあ、第二層にいるのなんて足手まといでしか無いかもしれないけど。

 最低限のレベル上げで二層に来ていると、いいところレベル二だ。

 二層はレベル五で安全圏なのでレベル三か四でボスに挑むことになる。

 三層での安全圏はレベル十だからレベル七~八くらいがボス戦適正値で、ザコ敵ならレベル五もあれば問題無い。

 人数と装備によってはもう少し低くてもいける。

 そんな感じなのでレベル四~五まで二層ボス部屋でレベリングして三層へ行くという流れが効率厨の間で人気のやり方らしい。

 そのため二層にいるのはレベル四までになるだろう。

 それでもリザのレベル十一とは比べ物にならない弱さだ。


 とはいえ、素の強さもステータスに上乗せされるから、それなりの武器を用意していれば、千紗が鉄のポールを持った程度のATKはあるだろう。

 もちろんレベル二や三じゃスキルは生えていないだろうから、肉弾戦以外できないだろうけど。

 女の子たちを変な目で見たり、装備すらまともに持っていないやつだと、足手まといどころか危険ですらあるから追い払う他無いけどね。


 人が多いってことはそれだけ危ないやつも多いってことだ。

 管理局がパーティー間の接近を制限しているのも、モンスター以上に人間のほうが危険だからだ。

 日本じゃ過剰なくらい規制しているが、海外ではほぼ規制がなく、犯罪も多いらしい。

 ダンジョンの中には監視カメラもないし人通りも少ない。

 死体や証拠となるもののほとんどはスライムが食べてくれる。

 今は監視カメラの接続も解除されているから、人の多い吉祥寺ダンジョンは別の意味で危ないとは言える。気をつけないと。


 人が多いということは、にわか冒険者も多く、そんな連中の多くはろくな食糧も装備も持たずに入ってくるらしいからな。

 アミューズメント層だと必要ないといえば無いんだが、万が一がないとは言えないし、実際万が一の事態にあるわけだし。

 そういう輩はすまないけど排除する他無い。

 見ず知らずの他人より、親御さんから預かった子どもたちのほうが重要だからね。

 僕はこの手を血に染めようと彼女たちを守ると心に誓う。

 ステータスの伸びは悪いけど、レベルだけは一二もあるからね。

 ステータスはレベル六相当はあるし、片手は使えないけどメイスは重量があるだけに、当たればその威力は抜群だ。


 怪我する前のメイン武器は剣だったが、モンスターを切れば光になるまで血油が付着し切れ味が落ちるし、刃こぼれだってする。

 そのために予備として持っていたメイスだから、それなりに良い品だ。

 ATK補正値がついたダンジョン産ではないとはいえ、素の能力を上げてくれる代物だから、ちゃんとレベルやステータスが上がる人なら十層でも使える品物。

 アミューズメント層に来ている程度の者ならなら負ける要素はない。


「理解したら隊列を組め!」

「「「はい!」」」

「千紗は先頭だからペース配分に気をつけろ。ゆっくり散歩する程度の気持ちでいいからな」

「わかったー」


 千紗が歩き始める。

 その後ろをリザと純華ちゃんが続く。

 そのさらに後ろを僕が見守る。

 くぎばっと少女、まほう少女、体操服ブルマ少女。

 その跡をつける怪しいお兄さんw

 同人誌即売会でもなければ通報されてもおかしくない状況だな。

 良い子のみんな。通報はやめてね。

 ボス部屋周回厨ばかりで、一般フィールドには人っ子一人いないからいいけどさ。


 現在位置は仙川ダンジョンと吉祥寺ダンジョンのちょうど中間あたり。気持ち仙川寄りか?

 直線距離にして約三キロほど。

 途中岩山があったり渓谷のようなところがあったりで、真っ直ぐ進めるわけじゃないから、歩く距離は倍の六キロは見ておく必要があるか。

 途中坂道もあるし、来るときよりゆったりとしたペースで歩いているから、戦闘がなくても二時間はかかるかもね。


「千紗、気持ち左側に進路変更だ。右は渓谷があって、道が分断されているからね」

「わかったー」


 僕はスマホでダンジョンマップを確認しながら進む方向を指示する。

 GPSはうまく動かないが、本来のダンジョンマップはカメラと連動し、地形を読み取って現在位置をAIが判断。

 地形の映像に進路を重ねて表示してくれるすぐれものだ。

 エリアや階層、大体の位置を入力しておく必要はあるが、目的に応じた進路情報を表示してくれるから、初めてきたような場所でも迷うことはない。

 しかし今は通信が不安定なので、AI判定が働かずこのような通信障害時に対応するためのローカルダウンロードデータのみ表示される単なるマップと化している。


 まあ、ダンジョンのオープンフィールドならどこでも石の柱が見えるから、AIサポートがなくてもまず迷子になることはないんだけど。

 地図がないと厄介な場所へ紛れ込んでしまうことはあるから、知らない場所へ踏み込まないのが一番なのだが。

 マップ様々だね。

 だけどスマホが使えない、あるいは壊れる可能性もあるから、頼りっきりでもいけない。

 一応仙川を中心にご近所の地形は頭に入れてきているから、スマホが使えず、知らない場所まで追いかけられるとか無い限りはだいじょうぶだろう。

 これもフラグか?


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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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