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うわさのかみなりまほう

「じゃあ、もうすぐ十分経つから、カメラのスイッチ入れようか」

「導師、その前にもう一つ報告が」

「なんだい、リザ」

「レベルが十一に上がりました。あと【かみなりまほう】が生えました」

「なぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 成長早すぎませんか? エリザベートさんや。

 いや、僕が愛で過ぎたせいかもしれん。

 君、意外と隙が多いんだよ!

 今回はいきなり丸裸になっちゃうし!


「リザちゃんすごいよ!」

「えっと、また先生のせいですか? わたしもレベル五に上がってました」

「えっ! 上がってないのは千紗だけぇ?」


 そんな目で見ないで純華ちゃん!

 なんかゾクゾクしちゃうw

 幼女に蔑まされたってのに!

 千紗くんは今回、隙がなかったからね!


「へ、変身が彼女のいい経験になったからじゃないかなー。僕の影響はあるにしても、君たち自身が様々な経験をして成長しないとレベルは上がらないと思うな」

「……とりあえずそういうことにしておきます」


 セーフ?


「その話はまた今度にしよう。どうせ今でもオーバーキルなんだ。練習は後回しにしてもふもふしようぜ!」

「同意」

「じゃあ、みんなカメラ戻してね!」

「「「はーい」」」


 なんとか警報が鳴る前にライブカメラの映像と音声を戻す。


「これから荒野フィールド、つまり吉祥寺方面へ向かうけど、できるだけ静かに歩いてね。この階層のモンスターは何かの拍子にアクティブになると大抵は逃げるから。ある程度近づいてからアクティブになると、突っかかってくるんだが」

「わかったー」

「了解です」

「はい、気をつけます」

「んじゃ行こっか」


 僕たちは草原フィールドと、荒野フィールドの中間辺りまでやってくる。


「この辺に陣地を作ろうか。陣地を作ったら一休みして周囲の探索だね」

「「「はーい」」」


 いつものように少女達の陣地構築をみまもり、先に休憩させる。

 その間におトイレの確保だ。

 さっきはキープ君は愚か本命さえ使ってもらえなかったからね!

 せっかく夜なべして作った旗が無駄になっちゃったよ。


「うん。いい具合にスライムがいるね!」


 やはり討伐が追いついていないのか、ちょっとあたりを回っただけで再びキープ君w まで確保できた。

 この辺は少し草原側なので、まだアースはいないようだ。

 荒野だと下がゴツゴツして座りにくいしペグも打ち込みにくい。

 場合によってはせっかく夜なべして作ってきた旗が立たないとかあるので、陣地は草原フィールドに作るに限るよね。


「おにいちゃん! 見張り変わるね!」

「おう。たのむ」


 しまった! 余分なスライム処分するのが忙しすぎて、少女達のもぐもぐタイム見逃しちゃったぜ!

 リザちゃんもお着替えならぬ、変身解除しちゃってるし。

 魔法少女になった時は変身バンクが有ったけど、解除の時はどうだったんだろうな。


「スライム結構いるから要注意ね。ここらにいるのはクリアとウィンドくらいだからとりつかれない限り危険はないけど、転んで頭っから突っ込んだりすると危ないから」

「千紗はそんな間抜けじゃないもん!」

「ならけっこう。おトイレ用のクリアは十分確保してあるから好きなの使ってくれ」

「わかったー」


 早速手に持った汚物を処分しに行く。


「君らも処分しておいで。ウィンドもいるからそいつは一応避けてね」

「「はーい」」


 二人もそれぞれポイして戻ってくる。


「じゃあ、僕もちょっと休憩してくる。まずは周囲のスライムを殲滅させて安全確保だ。僕が戻ったら、もふもふを探しに行ってもいいぞ。ただし、モフるのは拠点でね」

「わかったー」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「がんばります!」


 一人気合の入ってるのがいるね!

 純華ちゃん、君のことだよ。

 よっぽどさっきの毛玉が気に入ったらしい。

 こりゃあ、休憩を早めに切り上げないとね!


 僕は急いてテントに戻り、チョコレートバーを麦茶で流し込む。

 トイレを済ませてとんぼ返りだ。

 五分と経っていないw


「おまたせー」

「もういいの?」

「問題ない」


 基本的に何もしていないからな!

 せいぜいおトイレを確保したくらいだしw


「スライムは片付いたか?」

「問題ありません。妾が見つけ次第光に変えましたので、目につく範囲ではマークしたものだけです」

「ならけっこう。拠点の見張りは僕がするから、君らはもふもふ探索に行っておいで。ただしテントが見えないところにいかないように」

「やったー」

「では行ってきます」

「みんな、行きますよ!」

「「おー!」」


 純華ちゃんの掛け声で歩き出す三人。

 僕はそれを見送り、周囲のスライム掃討に移る。

 彼女たちがもふもふを堪能w している間に邪魔が入ってもつまらん。


「それにしてもスライム多いな。リザが手当たり次第光にしたってのに」


 どの程度までモンスターが増えればあふれるのかわからないが、危険水域に確実に近づいているのはわかる。

 アミューズメント層の自衛隊員の周辺にだってスライムが群がっているだろうから、この状況はわかっているはず。

 それで放置しているということはまだ余裕があるのかもしれないな。

 モンスター溢れ起こしたエリアは不人気エリアだったようだし、東京エリアはまだ人が多い方だ。

 全員がボス部屋周回しているわけでもないだろうから、スライムが放置されているだけで他のモンスターはそれなりに狩られているのかもしれない。

 二層で女の子たちにとって初見になるやつはこれまで見かけなかったし。

 スライムやるより二層でもふもふ相手にしていたほうが経験値的には美味しいからね。

 それなりに間引きされているから遭遇確率も減っているのかもしれない。


 一層ボスはすぐに順番待ちになるだろうから、そうそう周回もできないだろうし、一層を最低レベルでクリアしたばかりだと二層ボスはきつい。

 そういう連中はもふもふ狩りである程度レベルを上げてから、二層ボスに挑むだろうからね。

 そう考えれば、モンスターの総数はそう増えていないのかもしれない。


「僕が心配してもしょうがないんだが、女の子たちの安全がかかっているからね。心配しすぎて無駄にはならんだろう」


 いつもよりもスライムが多いってのも一応異常事態だしね。

 場合によってはスライム溢れなら政府が許容しているのかもな。

 スライムだけ選択的に溢れさせられるかはしらんけど、触らない限りはまず危険はないし、モンスター溢れの場合、地面と地面に固定されているものはダンジョン内のオブジェクトと同等の扱いになっているらしく、スライムも食わないからね。

 自動車なんかは食われるらしいが、溶かす速度はそれほど速くないので、ぴんく以外なら手づかみでも引っ剥がせる。

 職業ないとダメージを与えられないけど、持ち上げたりできないわけじゃないからね。

 ビニール袋にでもぶち込んでおけばとりあえず無害化は可能だ。


 学校にもゴム手袋とゴム長靴、ポンチョにビニール袋を早めに常備してもらったほうがいいかもしれない。

 みんなが職業を得られるのはまだだいぶ先だし、低学年はそもそもダンジョン教育対象外だしね。


 モンスター溢れについては事例が少ないし、起きたとしても全部が全部、状況を検証して公開しているわけでもない。

 日本を除けばモンスター溢れを起こしているのは政情不安定な国だけだ。

 きちんとした検証が行われているかすら怪しいし、されていたとしても隠蔽することも十分考えられる。

 参考になるのは日本のデータだけだろう。


「これもまあ、連休が終わってからだね。相談しようにも教頭先生とかはお休みだし、業者だってお休みだ。各家庭で用意してもらうにもまずは通知してからだから時間がかかるだろう」


 今はできることはないか。

 なら、ちょっとリザの教育方針について考えてみようか。

 今でも過剰戦力なんだが、さらに雷魔法ときては、もう低階層では無敵だね、エリザベートちゃんw

 ただ、雷魔法は火魔法以上に制御が難しいからなぁ。

 失敗すれば自爆率は火魔法の比ではないらしい。

 これまた厄介なものを引いたね。


 電気というやつは基本的に抵抗の弱い方へと流れていく。

 火は上に登りたがるけど、雷の場合方向が読めない。

 それを抑え込んで目的の位置に飛ばすのはかなり難しいとか。

 静電気でさえけっこう痛いからね。

 まあダンジョンなら、HPやDEFあるいはRESがあるから、軽いノックバック程度で済むはずだけど、DEFならともかくRESはステータスでは見えないからなぁ。

 実際にあたってみたらものすごく低い値だったなんてことも考えられる。

 やってみてダメでしたで済む話じゃない。


「ネットだとアースを何本もぶっ立てて練習する方法があったけど、けっこう大変そうだったな」


 あれ、適当に金属の棒を挿せばいいってものじゃないようだ。

 家庭用なんかでも何ミリ以上の銅線を何センチ以上湿った粘土質の地面に埋めるとか基準が有って、高圧高電流に対応しようとすれば銅線は太くなりより深く埋めないといけないとか。

 本格的にやるのであれば接地抵抗計なるもので、地面との抵抗値を測って、一定値以下にしないといけないとか、ものすごく面倒なことをしていた。

 なんでも人体の抵抗は約千Ωくらいだそうで、接地抵抗がそれより低ければそっちに多くの電流が流れるわけだね。

 しかしこれを実現しようとすれば、数十センチ以上も埋めないといけないらしい。

 動画だとぶっとい銅線を一メートル以上埋めてたね。

 なにしろモンスターを焼き殺すほどの電圧と電流を発生させるのだ。

 なまじっかなアースでは屁の突っ張りにもならないらしい。


 更に厄介な問題が雷は地面を伝って来る場合があるということだ。

 いくらアースしても地中の抵抗値が高いと人体の方に流れてくる可能性がないとも言えない。

 ちゃんと接地抵抗を計らずに深く埋めただけで安心してはいけないのだ。

 しかもダンジョン様の作った大地。

 地上と同じ地質なら同じような抵抗値になるかも不明なのだから。

 地上だって乾いた砂地とかは人体より抵抗値が高いとか言うし。


「うん、めんどくさい。もっと火魔法や氷魔法の扱いに慣れてから練習させよう」


 魔法というやつは違う系統でも全部が覚え直しというわけじゃないみたいだからね。

 魔力の制御は応用が効く。

 氷魔法より扱いにくい火魔法でも、リザはもうかなり使いこなしているし。

 もうすこし実践経験を積ませてから雷魔法の練習させるほうがいいだろう。


 そう考えればこの魔法の取得順は非常に理にかなったものだったな。

 最初が雷魔法だったら詰んでいたか、リスクを取って練習しないといけなかったかもしれない。

 まさかこれも僕の職業かスキルの仕業ってことはないよね?

 あまりにも都合が良すぎる。


「いや、予断はやめよう。あるがままに報告して、その結果を待ったほうがいいだろう」


 まあ、結果が偶然だろうが必然だろうが、制御できない以上、どちらでもあまり関係ないんだけどね!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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